研究課題/領域番号 |
06041039
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
垣本 史雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (00092544)
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研究分担者 |
VELARDE Alfo ボリビア国立サンアンドレス大学, 理学部, 教授
荻尾 彰一 東京工業大学, 理学部, 助手 (20242258)
吉井 尚 愛媛大学, 教養学部, 教授 (00036360)
金子 達之助 岡山大学, 理学部, 教授 (10032799)
ALFONSO Vera ボリビア国立サンアンドレス大学, 理学部, 教授
村上 一昭 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (40087359)
西 克夫 理化学研究所, 研究基盤技術部, 室長
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
1995年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1994年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 宇宙線 / 空気シャワー / 核組成 / Knee領域 / 空気チェレンコフ光 / 縦方向発達 / 到着時間分布 / 加速源 |
研究概要 |
平成6年8月に観測装置を船積みし、9月下旬にボリビアにて取り出した。この間、予想に反して長時間を要したが、これはボリビアの国内事情による。荷物受け取り後、現地研究分担者アルフォンソ・ベラルデなどの協力を得、荻尾彰一(研究分担者)、白崎裕治、ネルソン・ヒロンダ(以上2名、研究協力者)が観測装置の設置を行った。設置場所はチャカルタヤ山(標高5200m)宇宙物理学観測所にある既存の空気シャワーアレイ(SASアレイ)で、特に、空気チェレンコフ光の受光装置は中心から約150m離れた2つの地点に設置した。10月中は観測装置の設置と平行して、装置のキャリブレーションを行った。準備実験は11月の新月前後6日間に垣本史雄、白崎、ヒロンダが行った。観測装置はSASアレイの空気シャワートリガー信号でトリガーされ、ディジタルオシロスコープで記録した空気チェレンコフ光波形が8mmデータテープに記録保存された。既に現地は雨季に入っており、天候には恵まれなかったが、装置の動作テスト、装置全体の時間応答特性、実験場所における夜光量などの基礎データのほか、空気シャワーに連動した空気チェレンコフ光波形データの収集を行うことができた。11月中旬以降は本格的な雨季となったため、予定どおり11月下旬に全員が帰国した。また、平成7年2月下旬に研究分担者、及び、研究協力者による会合を開催し、研究経過の報告、及び、解析結果に基づく平成7年度の研究計画について検討した。また、平成7年3月に開催された日本物理学会に以上で得られた結果について報告を行った。 平成7年度は、垣本、荻尾、白崎、ネルソンを派遣し、雨季があける6月より観測態勢に入った。観測は10月28日までの新月を挟む前後それぞれ約2週間の計526時間行った。晴天率は非常に高く、観測効率18%を達成した。日本では観測効率が5から6%であり、この種の実験場所としてチャカルタヤ山宇宙物理学観測所がいかに最適かが分かる。 以上の観測で得られたデータは、付随する空気シャワーデータとともに日本にて解析が行われた。担当したのは、上記観測実施者と研究分担者である金子、吉井である。観測に先立って行ったシミュレーション計算結果から、空気チェレンコフ光波形を特徴づけるパラメータとして、その時間積分波形の立ち上がり時間T10-90を用いることを決定した。測定したT10-90は、付随する空気シャワーのサイズ(一次宇宙線のエネルギーに相当)、到来方向、空気シャワー軸と観測地点までの距離により分類し、それぞれシミュレーション計算結果と比較し、一次宇宙線の核組成を決定する。具体的には、各原子核が大気に入射したときに期待されるT10-90の分布をシミュレーション計算により得ておき、これを基準に観測データから最尤法を用いて、それぞれの成分混合比を決定する。最終結果を得るには、最低あと2年分のデータが必要である。平成7年8月までに得られたデータの解析結果をまとめると、特に興味深いKnee領域と呼ばれる10^<14>〜^<15>eVについて 1.一次宇宙線の平均原子核質量数はA=9〜15 2.陽子と鉄の成分比率はupper limit値でそれぞれ25%と50 3.(He+CNO+Ne〜S)成分の比率のlower limit値は40% である。また、10^<14>eV代での結果は直接測定で得られたそれ以下の結果と一致している。また、一次宇宙線の平均原子核質量数はKnee領域を越えると増加してくることも分かった。以上から、Knee領域領域宇宙線の起源は少なくとも、陽子を主成分とする活動的銀河核モデルでは説明できないと結論できる。以上の結果は、平成7年度秋の物理学会、及び第24回国際宇宙線会議にて報告した。また、継続的に行っているシミュレーション計算結果により、上記T10-90のほか波形の波高値の情報を解析に考慮することにより、各成分比が10%以下の精度で決定できることが分かった。 平成8年度科学研究費国際学術調査費がさらに認められたので、平成8年度実施と同規模の観測を行いデータ蓄積量を増やすととともに、直接測定と比較できる10^<13>eV代での観測を実現する予定である。
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