研究課題/領域番号 |
06041046
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 弘明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (40101472)
|
研究分担者 |
エンゴラ オエップ カメルーン国科学技術省科学技術協力局, 研究員
ACHILLE Biko カメルーン国, 科学技術省, 研究員
澤田 昌人 山口大学, 教育学部, 講師 (30211949)
星野 次郎 姫路獨協大学, 一般教育部, 助教授 (60199479)
川村 協平 山梨大学, 教育学部, 教授 (60126646)
中条 廣義 中部大学, 国際関係学部, 教授 (80207315)
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098)
OYEP Engola Department of Cooperation of Science and Technology, Ministry of Science and Tec
BIKOI Achille Department of Cooperation of Science and Technology, Ministry of Science and Tec
オエップ エンゴラ カメルーン国科学技術省, 科学技術協力局, 研究員
BIKOI Achill カメルーン国, 科学技術省, 研究員
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
23,600千円 (直接経費: 23,600千円)
1996年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
1995年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1994年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
|
キーワード | カメルーン / コンゴ / 熱帯雨林 / 人口支持力 / 狩猟採集民 / 焼畑農耕民 / 土地利用 / 森林の持続的利用 / 森林利用 / 民族科学的知識 / 狩猟採集民バカ族 / 農耕民ムバエ族 / 焼畑 |
研究概要 |
本研究は、近年、急速に進行しつつあるアフリカ熱帯雨林の保護対策は、人間を排除する形のものではなく、森を利用して生きてきた住民にも利益をもたらすものでないと実効性を持たないという立場から、熱帯雨林住民の多様な森林利用の実態と人口動態に関する資料を収集し、それを基にアフリカ熱帯雨林の人口支持力を検討し、熱帯雨林と人間が共存しうる生活形態の探求を目指す。平成6年度はカメルーン国南部熱帯雨林地帯の東部、中部、西部の3地域において、平成7年度は前年度に引き続いてカメルーン国南東部と南西部の2地域と森林環境の異なるコンゴ国北部1地域において、ピグミー系狩猟採集民および焼畑農耕民の森林利用活動、森林資源に関する伝統的知識、人口動態等に関する現地調査を実施した。平成8年度は、カメルーン国南東部とコンゴ国北部1地域において、前年度までの調査の継続・深化および補充と適応的視点から狩猟採集民と焼畑農耕民の健康状況に関する調査を実施した。結果の概要は以下の通りである。 1.カメルーン南東部ヨカドマ・モロンドゥ地域では同地域のピグミー系狩猟採集民Bakaのほぼ全集楽を訪問し、人口学的調査および精霊儀礼の分布調査を実施した。前者については現在資料を分析中であり、後者については、森林環境と精霊との密接な関係、精霊儀礼の多様性、儀礼の多様性と社会構造の関連が明らかにされた(都留:1996)。 2.同上地域、ンゴラ地区において、Bakaの森林資源利用活動に関する観察調査のほかに森の動物の民話や伝承などを数多く収集し、Bakaと森の関係を民族昆虫学、民族動物学等、民族科学的知識の側面から調査し、現在、資料の整理を進めている。 3.同上地域、ロトン地区においては、農耕民の焼畑農耕活動について6カ所の調査サイトで土壌生態と植生の遷移に関する調査、および、当該地区の焼畑手法の観察調査を実施した。その結果、いくつかの調査サイトのかなり古いと考えられる地層から炭が採集され(現在、年代を分析中)、当該森林における焼畑農耕の長い歴史の可能性がうかがわれた。また、熱帯雨林の環境変異に応じた多様な農法の存在がコンゴ北部地域およびカメルーン・ベルトゥア地域のサバンナ境界林における焼畑農耕の調査により確認された。現在、資料の検討を続けているが、熱帯雨林における伝統的焼畑農法の持続的土地利用システムを考察する上でこれらの資料は重要である。 4.同上地域、モロンドゥ地区においては、Bakaの生業活動の観察調査と植物資源、とくに野生ヤムの資源分布を異なる6カ所のbelt-transect調査および根茎の標本採集を通して検討した。一部資料(平成7年度分)の解析は終え、熱帯雨林における野生ヤム依存生活の可能性が示唆されたが(第一回生態人類学会シンポジウム:1996)、ヤム資源の分布は森林タイプで異なり、同じ森でも小環境的に異なる可能性があり、追加調査分(平成8年度)の資料の解析を待って検討する予定である。同地区においては、また、人口支持力を検討する上で重要な基礎資料となる熱帯雨林住民の社会構造、身体特性、行動特性に関する資料をBakaの森林利用活動の時間空間構造およびエネルギー消費や身体能力と活動の負荷の把握、人口動態等の調査を通して収集した。現在、資料整理中である。 5.より湿ったタイプの熱帯雨林地帯のコンゴ北部地域においては、狩猟採集民Akaの熱帯雨林の野生食物資源利用活動および食物分配について観察調査を実施した。前者についてはAkaの野生食物資源利用の季節性が指摘されたが(Kitanishi:1995)、後者については、食物分配が食物の安定供給および社会結合に関わる重要な行動であることが示唆された(Kitanishi:1996)。また、同地域においては、焼畑農耕民Bondongoの森林利用活動、獲得および生産される動植物資源の質・量、地域集団の人口動態に関する調査も実施された。現在、資料の整理中である。 以上の3年間の現地調査により、湿った熱帯雨林、乾燥した熱帯雨林、サバンナ境界の熱帯雨林、それぞれにおける農耕民と狩猟採集民の資源利用、人口動態に関する資料がほぼ当初の目的通り得られた。今後、その結果をもとに熱帯雨林の人口支持力の検討を行っていきたい.
|