研究課題/領域番号 |
06041053
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
磯村 思无 名古屋大学, 医学部, 教授 (00064832)
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研究分担者 |
NGUYEN Thi D ホーチミン市熱帯病センター, 研究員
NGUYEN The D ホーチミン市熱帯病センター, 研究部長
TRINH Kim An チョーライ病院, 院長
CHANSUDA Won 陸軍医科学研究所, 主任研究員
木村 政継 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60195378)
山本 直彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (40220488)
川本 文彦 名古屋大学, 医学部, 講師 (40115556)
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 教授 (90127598)
脇 誠治 群馬県立医療短期大学, 教授 (10056286)
WONGSRICHANALAI Chansuda Armed Forces Res.Inst.Med.Sci., Thailand Chief Researcher
NGUYEN Hoan ホーチミン市熱帯病センター, 研究員
TRAN Tim Hie ホーチミン市熱帯病センター, 副所長
三宅 恭司 愛知県衛生研究所, 部長
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
1995年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | ベトナム / マラリア / 迅速診断法 / 遺伝子診断法 / 新型変異株 / ウイルス性下痢症 / ロタウイルス / エンテロウイルス / 小児感染症 / 新型マラリア原虫 / 卵形マラリア / 下痢症ウイルス |
研究概要 |
マラリア感染症:平成6年度〜平成7年度にかけて、ベトナムのソンベ省、ラムドン省、カンホア省、ダックラック省においてマラリアの疫学調査を実施し、合計650名のマラリア陽性者を検出した。 1.アクリジンオレンジ染色による迅速診断(AO)法とマイクロプレートを利用した遺伝子診断(MPH)法を比較した所、基本的にはMPH法が優れていた。しかし、AO法は迅速性と経済性に優れていた。 2.AO法で診断された卵形様マラリアはMPH法で陰性となり、4種のヒトマラリア原虫のプローブと反応せず、新型の変異株か新型のヒトマラリアと予測された。18SリボゾームRNA遺伝子のターゲット部分の遺伝子解析から、卵形マラリアの新型変異株と判明した。 3.AO法で診断された熱帯熱マラリアの5例はMPH法による遺伝子診断法で陰性となり新型の変異株と予測されたが、遺伝子配列を検討した結果、リボゾームRNA遺伝子のターゲット部分の一塩基が従来型と異った新型の変異株と判明した。この変異株のみを検出するネスティドPCR法を考案し、野外調査で得られた標本を用いて調査した結果、多数の感染例が見いだされ、この変異株はベトナムに広く分布しているものと考えられた。 4.迅速診断法により熱帯熱マラリアと診断された小児から得られた血液を用いてアルテミシニン、アルテスネート、メフロキン、クロロキンに対する薬剤抵抗性について調査した。アルテミシニン抵抗性を示す株が4例見いだされたが、何れもアルテミシニン誘導体であるアルテスネートに対しては感受性であった。 小児腸管系ウイルス感染症、平成6年度から7年度においてベトナム・ラムドン省ドウイトイ地区(人口約10万、典型的ベトナム南部農村)居住小児下痢患者の糞便から腸管系ウイルスの検査を定期的に実施し同一年齢、同一地区居住の健康児対照群と比較して下痢の病原ウイルスを検討した。対象者:5歳以下の下痢患児116名、健康児108名。 (1)ロタウイルス陽性率は下痢患児50.9%、健康移5.6%。下痢患児のロタウイルスの多くがA群、型判別が困難で現在検討中の株も多いが血清学的にはIV型が主体であった。罹患年齢は1歳以下、季節は雨季に集中していた。C型ロタウイルス陽性例は下痢児と健康児に差はなく共に少数例であった。この地区の乳幼児下痢症の原因としてA型ロタウイルスが重要であり、血清型別困難な株があることやC型ロタがこの地区でも発見されたことが注目され最初のベトナム農村部の調査報告として意義は大きいと思われる。今後、型別判定と分子疫学的検索の予定。 2)エンテロウイルス陽性率は下痢患児25.0%,健康児20.3%と両群に差は認められなかった。陽性者の年齢や季節分布は巾があり、不顕性感染を含んでこの地域に広くエンテロウイルスが侵襲していることを示唆していた。ポリオ生ワクチン一斉接種運動と関連させて今後分離ウイルスの型別検査、病原性検査、分子疫学的検索の予定。 (3)腸管アデノウイルス、アストロウイルスに関しては下痢患児の少数例に陽性者が認められただけであった。現在これらの株について分子疫学的検索中である。
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