研究分担者 |
加藤 進 京都大学, 名誉教授 (10025827)
福西 浩 東北大学, 理学部, 教授 (90099937)
近藤 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20110752)
小川 利紘 東京大学, 理学部, 教授 (70011616)
山形 俊男 東京大学, 理学部, 教授 (50091400)
岩坂 泰信 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20022709)
山中 大学 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30183982)
住 明正 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (10179294)
木村 磐根 京都大学, 工学部, 教授 (00025884)
小川 忠彦 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (60271607)
上田 博 北海道大学, 理学部, 助教授 (80184935)
高橋 劭 九州大学, 理学部, 教授 (20197742)
中村 健治 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (20262917)
村上 勝人 気象庁, 気象研究所, 室長
新田 勍 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (00014762)
中村 卓司 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (40217857)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30115886)
宮原 三郎 九州大学, 理学部, 教授 (70037282)
田中 浩 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00115594)
廣田 勇 京都大学, 理学部, 教授 (70025485)
WIRYOSUMARTO H. 航空宇宙庁, インドネシア, 長官
KARJOTO 気象庁, インドネシア, 長官
HARIJONO S.W 技術応用評価庁, インドネシア, 部長
山本 衛 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (20210560)
KARJOTO インドネシア, 気象庁, 長官
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研究概要 |
地球環境変動メカニズムの完全な解明のためには、「海洋大陸」と呼ばれるインドネシア諸島全域を面的にカバーする観測網を構築し、各種の気象現象を総合的かつ詳細に解析し研究することが必須である。現在インドネシア国内でも定常観測や研究観測が行なわれているが、欧米や日本のようにデータを交換・集積する観測網の整備は全く立ち遅れている。そこで本研究では、インドネシア国内の各種の大気観測・データ収集・解析システムを詳細に調査し、将来本格的研究の可能な観測網を同国内に構築するための基礎研究を行なうこととした。またこのような面的な観測システムと、国際学術組織提案の大気圏上下をカバーする大型拠点システムの、相補的な役割についても具体的に検討を進めた。 本年度は主として収集したデータの基礎的解析、将来のシステム検討、ならびに調査研究結果全体の集約を行った: (1)定常気象観測に関する調査研究: インドネシア気象庁(BMG)所有の約80地点の雨量に関する最近数年の定常観測データの収集を完了し、基礎的解析を行って今後の共同研究推進方策を確立した。 (2)特別研究観測に関する調査研究: インドネシア技術応用評価庁(BPPT)、航空宇宙庁(LAPAN)、科学院(LIPI)ならびにバンドン工科大学(ITB)など同国内の各大学等で実施されている研究観測の実態調査を完了し、将来の研究体制について検討した。 (3)先端的科学技術移転に関する調査研究: インドネシア人研究者との交流を一層緊密化するとともに、本研究結果を踏まえた将来計画について議論した。 (4)総合観測システムの立案: 引続きインドネシア国内の訪問先におけるセミナーや研究会を開催するとともに、年度末にはBandungで本研究の成果全体を集約するための研究会を開催して、赤道大気の総合的観測ネットワークをインドネシア国内に設立するための素案を得た。 上記の中でも特に(1)の基礎的データ解析においては,インドネシア地域における雨量の経年変動として,約4年(エルニーニョ南方振動と関連),約2年さらにこれらよりずっと長い時間スケールの変動などの存在が確認された.季節変動については,これまでの断片的研究と矛盾しない半年周期(スマトラなどの赤道直下領域)および年周期(ジャワ・バリなどの南半球側)が確認されたが,本研究ではさらにこれらがインド洋モンスーン(北半球冬季の西風侵入)などと密接に関連している(西から東へ減少する傾向がある)こと,緯経度1度以内にある多点データの比較により高度方向に顕著な変化をしている(スマトラ島のインド洋側では高度とともに増加する稜線を超えると急激に減少;ジャワ島のジャワ海側ではやはり高度とともに増加し、稜線を超えると乾季においてもかなり激しい降雨がある)ことが新たに得られた.さらにこれまでにない1日より細かい雨量データの解析から、季節内振動(30〜60日,約20日などの周期性)や波動的変動(約4日など)が見出され,これらはジャカルタ境界層レーダーや気象庁客観解析による風速変動,気象衛星の雲分布などとも対応がつけられた.また1日の中で降雨が集中する時間帯として16時頃および20時頃(特にスマトラ)などが得られ,フラクタル解析からは降雨の特徴的継続時間スケールとして15分程度,停止時間スケールとして1日(前述の波動的変動や日変化と対応)や7分(個々の雲の寿命と対応)などが得られた. これらの知見は,極めて新しくかつ地球大気環境研究上重要な成果であり,(2)の国内他研究との比較や(4)での詳細な議論をも踏まえて,間もなく国際学術誌に本研究グループの連名で投稿される予定である(未投稿のため後の業績リストには含めていない).
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