研究分担者 |
チャチャワン アピチャル チェンマイ大学, 医学部, 助手
ヴィラサクディ チョング ソンクラ大学, 医学部, 助教授
ラダ モスワン ソンクラ大学, 医学部, 助教授
ヴィチャーン バンニッチ ソンクラ大学, 医学部, 教授
ニサラット オバルトキア マヒドン大学, 医学部, 助教授
アーノンド ブンヤラフォ マヒドン大学, 医学部, 教授
スタット フチャロエン マヒドン大学, 医学部, 教授
巽 典之 大阪市立大学, 医学部, 教授 (90101287)
片岡 陳正 神戸大学, 医学部, 助教授 (80071398)
平田 まり 神戸大学, 医学部, 助手 (90173244)
宇賀 昭二 神戸大学, 医学部, 助教授 (90071399)
堀田 博 神戸大学, 医学部, 教授 (40116249)
船原 芳範 神戸大学, 医学部, 助教授 (90030840)
VICHARN Vicharn Faculty of Medicine Prince of Songkla University, Professor
OPARTKIATTIKUL Nisarat Faculty of Medicine, Mahidol University・Associate Professor
BUNYARATVEJ Ahnond Faculty of Medicine, Mahidol University・Professor
FUCHAROEN Suthat Faculty of Medicine, Mahidol University・Professor
MOSUWAN Ladda Faculty of Medicine Prince of Songkla University, Associate Professor
APICHART Chachawan Faculty of Medicine Chiang Mai University, Research Associate
CHNONGSUVITATWONG Virasa Faculty of Medicine, Prince of Songkla University, Associate Professor
ヴィチャーン パンニッチ ソンクラ大学, 医学部, 教授
ニサラット オパルトキア マヒドン大学, 医学部, 助教授
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研究概要 |
タイ南部のパタルング県のパタルング病院(PT)(パタルング地区の人口10万)及びクアンカヌング病院(KK)(クアンカヌング地区の人口7万)の外来にて妊娠6周までの妊婦につきタイなど東南アジア地域に多発するヘモグロビン異常症のスクリーニングテストを行った。その結果、ヘモグロビン遺伝子が正常と見做された妊婦はPT36名(19%);KK49名(38%)であり、HtはPT36±2.7;KK38±2.7:MCVはPT83±5;KK84±5.6で、その他の妊婦にはヘモグロビン遺伝子になんらかの異常を示唆する所見を得た。その中でαサラセミア症遺伝子のキャリヤ-が疑われた妊婦がPTで66/192(34%)、KKで33/128(26%);βサラセミア症遺伝子のキャリヤ-が疑われた妊婦がPTで20/192(10%)、KKで9/128(7%);ヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-が疑われた妊婦がPTで67/192(35%)、KKで37/128(29%)検出された。 αサラセミア症遺伝子のキャリヤ-を示唆する検査成績は鉄欠乏性貧血との鑑別診断を必要とするため、その確定診断にはさらに詳細な検査を必要とするが、βサラセミア症遺伝子およびヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-の診断は両病院で施行したテスト(ヘモグロビンの電気泳動、Osmotic Fragility Test,Dichlorophenolindophenol"DCIP"Precipitation Test)の総合的な判定から確定診断が可能である。従って、当地域ではヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-は異常に高率であることが明らかとなった。この値が検査対象地域(PT,KK)の女性に特異的であるか否かを確認するため、ヘモグロビン遺伝子に異常を認めた妊婦の夫の血液につき妊婦と同様の検査を行った。その結果、αサラセミヤ症遺伝子のキャリヤ-を示唆する検査成績はPTで12/126(10%)、KKで4/81(5%);βサラセミア症遺伝子のキャリヤ-示唆する検査成績はPTで5/126(4%)、KKで4/81(5%);ヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-はPTで17/126(17%)、KKで6/81(7%)であった。 ヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-数に成人では男女差を認めた為、学童期の男女(男子生徒144人、女子生徒153人)を対象にスクリーニング検査を施行
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した。その結果、男子は18/144(12.4%)、女子は24/153(15%)であり、男女に差を認めなかった。なお、ヘモグロビン遺伝子に異常を認めなかった男子生徒は107/144(74%)、女子生徒は78/153(50%)であった。 これらの結果から、女子ではヘモグロビンE症遺伝子のキャリヤ-数が成人では増加していると見做されるが、その原因として同地域の社会的背景の解析が必要と考えられる。 妊婦及び夫が異常ヘモグロビン遺伝子のキャリヤ-である場合、胎児がホモ接合体になれば、胎児に異常をきたすため、その予知の目的で男女とも異常ヘモグロビン遺伝子のキャリヤ-であるカップルの5例で胎児組織を用いたDNA診断を行ったが、胎児にはホモ接合型を認めなかった。 βサラセミア遺伝子のDNA解析では、その変異は22種類にものぼり極めて多様性に富むことが明らかとなった。タイ中部ではコドン41/42のフレームシフト変異、コドン17ナンセンス変異が多く、東北部ではこれらの変異の他にコドン71/72のフレームシフト変異が比較的多いのに比較して、南部ではIVS-1,5位及びコドン19のスプライシング変異の頻度が他の地域より高かった。これらの結果をもとにして、PCR法を用いたβサラセミア遺伝子のDNA診断法を確立し、上記の胎児診断に適用した。 パタルング地域の土壌媒介性線虫の汚染状況の調査のため、39ケ所の住宅の周辺から土壌を採取し、遠心沈殿法で処理して虫卵の検出を試みた。その結果、線虫卵8種、条虫卵1種および原虫卵1種を検出した。汚染率は乾期では56%(7種の卵を検出)、雨期では79%(9種の卵を検出)であり、乾期に比べ雨期に土壌媒介性線虫が感染する可能性が高いことが示唆された。 下痢症の発症と衛生環境、衛生行動との関係を調査した。又体格指数から一般的な健康・発育状態を推定し、衛生環境、地域(市街と農村)、親の職業との関係の解析を行った。 成人病の調査に関しては、プリンスソンクラ大学の情報システムと連動してPT及KKでの情報がコンピューターへ登録することが可能になった。 本国際学術研究の成果は平成8年7月25、26日にソンクラ大学にて開催されるセミナーにて発表し、Southeast Asian Journal of Tropical Medicne and Public Healthの特集号として出版する。演題項目、発表者などについてはタイ側共同研究者と調整している。 隠す
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