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ムツロゴウ・トビハゼ類の適応放散酸と系統進化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 06041085
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関長崎大学

研究代表者

夏苅 豊  長崎大学, 水産学部, 教授 (10039729)

研究分担者 LIMBONG Dani  サムラトランギ大学, 講師
征矢野 清  長崎大学, 水産学部, 助手 (80260735)
DAHRIL Tenk  リアウ, イスラム大学, 学長
AHMAD H.Much  リアウ国立大学, 副学長
HASSAN Anar  マレーシア農科大学, 講師
飯間 雅文  長崎大学, 水産学部, 助教授 (80202836)
橘 勝康  長崎大学, 水産学部, 助教授 (20171712)
玉置 昭夫  長崎大学, 水産学部, 助教授 (40183470)
石松 惇  長崎大学, 水産学部, 助教授 (00184565)
原 研治  長崎大学, 水産学部, 助教授 (10039737)
森井 秀昭  長崎大学, 水産学部, 教授 (60039724)
田北 徹  長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
H.MUCHTAR Ah  リアウ国立大学, 副学長
瀬口 昌洋  佐賀大学, 農学部, 助教授 (20093974)
萩原 篤志  長崎大学, 海洋生産科学研究科, 助手 (50208419)
白木原 國雄  長崎大学, 水産学部, 助教授 (90196618)
多部田 修  長崎大学, 水産学部, 教授 (50217171)
平山 和次  長崎大学, 水産学部, 教授 (80039718)
研究期間 (年度) 1994 – 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
1995年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1994年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
キーワード干潟生物 / 空気呼吸魚 / ムツゴロウ / トビハゼ / 系統発生 / 適応放散
研究概要

本年度はインドネシアの1地域(スマトラ島東岸のブンカリス)マレーシアの2地域(ペナン島とクアラルンプル近郊)の計3個所で調査した。
これらの3地域で計6属10種の生息を確認した。何れの地域でも、生息場の環境を観測するとともに干潟上での行動を観察し、行動の一部をVTRに収録しするとともに、標本の採集を行った。
以下に2ヶ年に亘って行った調査で得られた成果を述べる。
等電点電気泳動像の比較及びアイソザイム分析の結果、属レベルの比較では、タビラクチはかなり異なる、ムツゴロウ属の3種とトビハゼ属・オオトビハゼ属(仮称)はそれぞれ互いに近いと推察された。
同属内の異種間のレベルで見ると、ムツゴロウ属の3種は何れも遺伝的に近かった。トビハゼ属については日本産のものを含め3種を解析したが、そのうちの1種が他の2種とは遺伝的に異なっていることが分かった。後述の核型分析でも、染色体数がかなり異なるものがあったことを考えあわせると、トビハゼ属は1系統ではなくて複数の系統があるのか、あるいは適応放散の程度が大きいグループであろうと考えられる。
トカゲハゼについては、沖縄産、スマトラ東岸産、マレーシア・ペナン島産の3者について分析したが、沖縄産のものの遺伝距離が一般に地方群レベルの差違とされている違いよりも大きかった。沖縄産の本種には、東南アジアとの地理的距離から予測される差違よりも大きな差違が生じていると推察される。
Pseudapocryptes属についてはスマトラ東岸産とペナン島産との2群を比較した。アイソザイム分析によると、両者にはかなりの遺伝的距離がある。形態的にも多少異なるし、干潟上の行動も微妙に違うので、地理的に近く、かつよく似た環境に生息しているが、それぞれ別種であると考えるべきであろう。しかし、ペナン島産のものはその形態からP.lanceolatusと同定できるが、スマトラ東岸産のものは同属の他の1種、P.borneensisの形態に合致しない。後者は今までにマレー半島東岸からのみ知られおり、スマトラ島東岸にはペナン島と同じ前者が生息するとされている。本属はジャワ島東岸からインド半島東岸にかけての狭い地域に2種が分布するが、この狭い地域のよく似た干潟環境で如何に分化したのか興味深い。
核型分析は3属6種について行った。ムツゴロウ属の3種の染色体数は何れも2n=46であったが、核型は3種それぞれ異なった。トビハゼ属(Periophthalmus)の2種、日本産のトビハゼと、東南アジア産のP.chrysospilosを比べると、前者は2n=46、後者は同56であった。今回核型を分析した6種の中では空気呼吸に最も適応していない(すなわち、ムツゴロウ・トビハゼ類が一つの先祖型から進化したと考えたときの先祖型にもっとも近い)と考えられるタビラクチの染色体数が2n=42であったことと、日本のトビハゼはトビハゼ属の分布の周縁域に生息していることを考えあわせると、P.chrysospilosは同属の中では新しい種であろうと推測される。
表皮の構造については6属10種を調べたが、干潟上で長時間体を露出させて活動する種類では、表皮に毛細血管が密に発達しているが、主に水中にいる種類ではそれは発達していない。また、表皮の乳頭状突起や粘液腺の発達にも属間または種間の違いが認められ、干潟上での生活への適応の度合いと皮膚の構造に明瞭な平行現象が認められた。
空気呼吸生理については、体が大きく実験の実施しやすかったPeriophthalmod on schlosseriについて主に解析した。呼吸生理についての実験室での分析に平行して、生息孔の海水とガスについて野外調査を試みた。その結果、生息孔中の海水はほとんど無酸素状態であることと、生息孔の中には空気とほぼ同じ組成のガスが蓄積されていることとが分かった。本種以外の種では生息孔の出口で口腔に空気をためて生息孔内に運んでいるらしい行動が観察されていることを考えると、本種の生息孔に蓄えられている、組成が空気に近いガスは同種によって生息孔外から運び込まれたものと推察されるし、このような習性はムツゴロウ・トビハゼ類に共通するものであろうとみられる。

報告書

(2件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] 夏苅 豊ほか: "ムツゴロウ・トビハゼ類のアロザイム変異" Comp.Biochem.Phys.(予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 夏苅 豊ほか: "ムツゴロウ・トビハゼ類のアイソザイム分析" Comp.Biochem.Phys.(予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田北 徹ほか: "ムツゴロウ・トビハゼ類の核型分析" 魚類学雑誌. (予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田北 徹ほか: "ムツゴロウ・トビハゼ類の地理分布" 魚類学雑誌. (予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 田北 徹ほか: "ムツゴロウ・トビハゼ類の干潟上での行動" 魚類学雑誌. (予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 石松 惇ほか: "Respiratory physiology and anatomy,and nitrogen metobolism in a mudskipper Periophthalmcdon schlosseri" Comp.Biochem.Phys.(予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Natsukari, Y.et al.: "Allozyme variation in the mudskippers" Comp.Biochem.Phys.(In preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Natsukari, Y.et al.: "Allozyme analysis on the mudskippers" (In preparation). Comp, Biochem.Phys.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takita, T.et al.: "Karyological analysis on the mudskippers" Jpn.J.Ichthyology. (In preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takita, T.et al.: "Geographical distribution of the mudskippers" Jpn.J.Ichthyology. (In preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takita, T.et al.: "Behavior of the mudskippers on mud flat" Jpn.J.Ichthyology. (In preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Ishimatsu, A.et al.: "Respiratory physiology and anatomy, and nitrogen metabolism in a mudskipper Periophthalmodon schlosseri" (In preparation). Comp.Biochem.Phys.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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