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タイ国シャム湾におけるサンゴ礁生物群集に対する人為的撹乱の影響

研究課題

研究課題/領域番号 06041089
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関琉球大学

研究代表者

土屋 誠  琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)

研究分担者 SUWANBORIRAX カニト  チュラロンコン大学, 薬学部, 助手
SUDARA Surap  チュラロンコン大学, 理学部, 助教授
MENASVETA Pi  チュラロンコン大学, 水産資源研究所, 教授
西平 守孝  東北大学, 理学部, 教授 (80004357)
田中 淳一  琉球大学, 理学部, 助手 (20163529)
酒井 一彦  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (50153838)
香村 眞徳  琉球大学, 理学部, 教授 (90044982)
山里 清  琉球大学, 理学部, 教授 (80044973)
SUWANBORIRUX Khanit  Chulalongkorn University, Instructor
MANASVETA Piamsak  Chulalongkorn University, Professor
SUWANBORIRUX カニト  チュラロンコン大学, 薬学部, 助手
研究期間 (年度) 1994 – 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
1995年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1994年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
キーワードタイ国シャム湾 / サンゴ礁 / 人為的撹乱 / 共存 / 適応 / 生物群集 / 生理活性物質 / 種間関係 / 生物の共存
研究概要

研究地はタイ国シャム湾奥部であり、コブハマサンゴを優占種とする極めて特徴的なサンゴ礁生物群集が発達している。私たちは過去10年以上に渡って当地におけるタイ国との共同研究を実施しており、頻繁に行われている議論の中で、サンゴ礁生物群集に対する人為的攪乱の影響が顕著になりつつあることを憂慮していた。
本研究はその攪乱の実態を把握するとともに、サンゴ礁の保全に関する理論の確立をめざすものであり、1)野外調査によるサンゴ礁生物群集の現状把握と過去のデータとの比較と、2)屋外・室内実験による人為的攪乱に対する反応過程を研究した後、、3)結果を総合的に考察した。
岩礁域のサンゴ群集については永久方形区における調査の結果、シコロサンゴの一種について群体の入れ替わりが認められたこと以外には顕著な群集組成の変化は認められなかった。優占種であるコブハマサンゴが年間直径1cm程度成長するという成長率が算出された。新規定着個体を年間を通して調査し、サンゴ群集の成立過程に関する情報を得、さらに人為的攪乱との関連性について議論した。
砂磔〜砂泥底に生息する造礁サンゴ群集については大きな変化が認められた。20種確認された中で、1987年までかなり高密度に生息していた自由生活を営むスツボサンゴ、ムシスノチョウジガイ、オオワレクサビライシ、ワレクサビライシの4種は今回の調査ではほとんど姿を消していた。潮間帯においては湾港工事が実施されている近辺での土砂の堆積が顕著でカキ類の死亡率が高かった。一方ではある区域の砂浜の消失が認められた。これらの点は周囲における人為的環境改変の影響の結果である可能性が高い。植物相ではスズメダイの縄張りの中に生息している管状緑藻の減少が顕著であった。
本調査域は元来懸濁物が多い水域であり、人為的攪乱によりさらにその傾向が強まっていると考えられる。次に多量の懸濁物が堆積する過程でそのような影響をサンゴ礁生物群集に及ぼすかについて検討した。同時に河川水の影響についても解析を加えた。
雨期、造礁サンゴ群集は干潮時には塩分が25以下の希釈された海水(懸濁物質量も多い)で覆われることがわかった。また室内実験によりコブハマサンゴは塩分10で5日間生存可能で、かつ塩分29で白化を起こすが逆にクロロフィルa量が増加する事が明らかになった。何らかの補償機構の存在が予測される。
また懸濁物質のサイズや量を変化させ、数種サンゴを用いてそれらに対する耐性や粘液による除去量を調べた結果、多くの知見を得た。種による際は明確であったので、現在環境との関係についてデータを解析中である。
海底に沈降堆積する、あるいは降り懸かる懸濁物はさまざまな堆積物食者や懸濁物食者の食物となり、これらの動物はこの環境浄化機能によりサンゴ礁域を一定の環境に維持していると考えられる。特に穿孔性二枚枚やカキ類などの懸濁物食者については室内実験により濾過量を測定し、その機能を定量的に評価した。
海綿類、ホヤ類等に含まれている毒性物質の抽出を試み、サンゴ群集に対する影響等を解析している。現在精力的に分析中であるが人為的攪乱の程度が高い水域において特徴的な出現する海綿の種が発見され、今後の解析が期待されている。
現在までに得られている知見を総合的に考察すると、シャム湾奥部のサンゴ礁においては多量の懸濁物と雨期における低塩分水が複雑に作用し合って群集構造を構築し、人為的攪乱に伴う懸濁物質の増加と海流の変化が特定の生物群や環境に強く影響していることが示唆された。今後これらの結果を踏まえ、当該水域の保全に関して何らかの提言をしたい。
本研究の結果は、1996年10月タイ国において開催されるシャム湾のサンゴ礁の生態学に関するシンポジウムで発表され、その後会議録や関連雑誌に学術論文として印刷公表される予定である。

報告書

(2件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 土屋 誠: "Environmental purification in coral reets : Maintenance of beautiful land-scape by biological activities" International workshop on Responce of Coral Reefs to Global Changes : Abstracts. 50-51 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 西平守孝,酒井一彦: "いろいろな種類のサンゴの共存「共生の生態学5 サンゴ礁」" 平凡社, 232 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 土屋 誠: "サンゴ礁のマイクロエコシステム「共生の生態学5 サンゴ礁」" 平凡社, 232 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 西平守孝: "足場の生態学" 平凡社(印刷中),

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUCHIYA,Makoto: "Environmental purification in coral reefs : Maintenance of beautiful landscape by biological activities" Int.Workshop on Responce of Coral Reefs to Global Changes ; Abstracts. 50-51 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] SAKAI,Kazuhiko and NISHIHIRA Moritaka: Heibonsha Ltd.Coexistence of corals in The Ecology of Symbiosis 5 Coral Reefs, 15-80 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TSUCHIYA,Makoto: Heibonsha Ltd.Microecosystem in coral reefs in The Ecology of Symbiosis 5 Coral Reefs, 119-168 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] NISHIHIRA,Moritaka: Heibonsha Ltd. (in press). Ecology of Foothold,

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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