研究課題/領域番号 |
06041097
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
三和 良一 青山学院大学, 経済学部, 教授 (90082669)
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研究分担者 |
宮島 英昭 早稲田大学, 商学部, 助教授 (60182028)
沢井 実 大阪大学, 経済学部, 助教授 (90162536)
永岑 三千輝 立正大学, 経済学部, 教授 (70062867)
皆村 武一 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00041103)
遠藤 公嗣 神奈川大学, 短期大学部, 教授 (20143521)
伊藤 正直 東京大学, 経済学部, 教授 (70107499)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1994年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | 占領政策 / 枢軸国 / 連合国 / ジョセフ・ドッジ / 戦時動員政策 / 工作機械 / 査定制度 |
研究概要 |
本研究の実施によって得られた成果を研究者の海外渡航順に記すと、まず研究代表者の三和は、イギリスの国立公文書館などを中心に、主としてイギリスの対日占領政策に関する資料を収集した。アメリカに比べてイギリスの対日占領政策に関する研究は立ち遅れているが、収集資料を中心にして、今後造船業や綿工業といったイギリスとの競争が課題となった諸産業の、戦後復興政策に対するイギリス側の働きかけの実態が、より明らかになるものと思われる。 イタリア担当の皆村は、ローマ大学経済学部、イタリア銀行図書館、ミラノ大学、モデナ大学などにおいて、連合国の対イタリア占領政策ならびに戦時期の財政金融政策に関する資料収集するとともに、ミラノ大学、モデナ大学の研究者とイタリアにおける占領政策史研究の現状について研究交流を行った。収集資料は今後連合国の日独伊3国に対する占領政策の比較研究を進める上で貴重なものである。なお本研究の成果の一部は、平成7年度中の刊行を計画している著書に収録される予定である。遠藤は、カリフォルニア大学バークレイ校、アメリカン大学、議会図書館、労働省図書館、人的資源管理委員会などを訪問して、米国の査定制度の歴史と現状に関する資料を収集したが、その中でも1945年作成の査定制度論文に関する包括的な文献目録などは、きわめて有益なものである。きらに遠藤は、人事査定制度やその前提となる従業員分類の実際について、各大学の研究者と研究交流を行うとともに、アップルコンピュータ社、インテルサット社などの民間大手企業の担当者に対する聞き取り調査も実施した。 ドイツ担当の永岑は、ドイツ連邦文書館(コプレンツ)にて、二次大戦末期の崩壊期の経済状態に関する資料、連合国(アメリカ占領軍)資料(USGCC文書)、ドイツ連邦文書館支所(ポツダム)にてライヒ経済省、ライヒスバンク(中央銀行)などの戦時動員政策に関する資料、イ・ゲ・フアンベル社、ドイツ銀行などの資料をそれぞれ収集した。対象と時期をを限定しても各文書館に保存されている関連資料は膨大であり、今後の継続的な調査の必要性も強く感じた。 沢井は、シンシナチ歴史協会図書館、シンシナチ国立図書館にて、シンシナチ市周辺の工作機械企業の社史類、財務資料、経営者関連資料。G・A・グレー社の受注原簿類などを閲覧・収集し、国立公文書館では戦時期のアメリカの対日工作機械禁輸前夜の在米日系企業の活動に関する資料などを収集した。戦時中の断絶を挟んで、戦前・戦後を通じて一貫して工作機械輸入の最大の相手先であったアメリカの工作機械企業、およびその製品を仲介した商社関連の資料は、アメリカからの技術の導入・普及を考える上で貴重である。 宮島は、ミュンヘンの現代史研究所において、連合国によるドイツ占領およびドイツ側の対応に関連する資料を収集し、ブリュッセル自由大学では占領期の比較史研究の現状・問題点などについて研究交流を深め、さらにベルリンのWissenschaft Zentromでは、ドイツの占領改革、戦後復興に関する資料を収集するとともに、研究者との研究交流を深めた。ここでも現地資料の継続的収集および各国の研究者とのより一層の研究交流の必要性を痛感した。 伊藤は、デトロイト公立図書館にてジョセフ・ドッジ文書などの収集を行い、さらにワシントンD.C.の連邦準備制度理事会およびニューヨーク連邦準備銀行において,第二次大戦後のアメリカの財政金融政策および対日政策の形成過程に関する資料を収集するとともに、関係者に対する聞き取り調査を実施した。とくにジョセフ・ドッジ文書は、ドッジライン研究だけでなく、占領政策の日独比較を進める上でも重要な資料である。 以上のように本研究の大きな成果としては、英・米・独・伊4国における占領改革期を中心に、その前後の戦時・戦後期も含む多様な資料・統計類などの収集、関係者への聞き取り調査の実施、各国の研究者との研究交流などを上げることができる。各文書館・図書館が所蔵する関連文書は膨大であり、今後の継続的体系的収集が強く望まれるところである。
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