研究課題/領域番号 |
06041105
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
藤木 三千人 東洋大学, 社会学部, 教授 (30057955)
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研究分担者 |
大坪 省三 東洋大学, 社会学部, 教授 (00090671)
紀 葉子 東洋大学, 社会学部, 助教授 (40246781)
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00183731)
喜多川 豊宇 東洋大学, 社会学部, 助教授 (40103569)
園田 恭一 東洋大学, 社会学部, 教授 (20009898)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
1996年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1995年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1994年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 日系人還流現象 / 適応過程 / エスニック・アイデンティティ / 在伯コリアン / 共生 / 生活構造 / 生活史調査 / 健康・保健行動 / 出稼ぎ / 日系人 / エスニックコミュニティー / 生活史 / 日系コロニア / エスニックアイデンティティー / 海外援助 / 海外協力 / エスニシティ / 同化 / 奥地型日本社会 / 日系文化 / 大都市型日系社会 / ドイツ系ブラジル人 / イタリア系ブラジル人 / 日系ブラジル人 / 生活意識 / 出稼ぎ問題 / 保健・医療 |
研究概要 |
明治以来国策としてブラジルに移民を送り続けてきた日本は、戦中一時中断したが、戦後移住再開後も、高度経済成長期頃まで継続して送り出しが続いていた。しかし、新入管法の施行によって、日系人二世、三世とその家族の定住が認められると、還流現象が活発化し、過去85年間に、ブラジルに25万人余の移民を送りだしたものが、これを超える日系ブラジル人の来住をみた。このような状況のなかで、双方の社会では、摩擦や適応、挫折や永住、空洞化や老令化の諸社会問題が発生した。 1)この調査研究は、出稼ぎの送り出し側ブラジル国における日系移民社会の生活構造および意識の変化を、日系人還流現象に視点を合わせ、総合的な観点から実証的に調査研究を進めてきた。受け入れ側の日本での実態調査も同時に進行させたが、本研究の中心は送り出し側ブラジルにおける日系人の現地社会調査においた。 2)また、ブラジルは30数カ国の移民から成り立つ多人種、多文化が存在する社会であるが、日本文化や社会の、多元文化社会での適応過程の研究も実施し、日本文化の異文化との芝生状況とその共生の可能性について調査をすすめた。併せて、ドイツ系、イタリヤ系、ポルトガル系などヨーロッパ系ブラジル人や最近ニューカマ-ズとして、とみにその数と経済力を増加しつつある在伯コリアンの文化・社会の適応過程の実態調査を行った。 3)さらに、日系ブラジル人の生活構造の分析をより充実した内容とするために、従来研究実績が乏しいと言われてきた、日系人の健康とそれに関連したライフスタイル、保健行動についての調査を加えた。 4)最後に本研究のまとめとして、戦後移民個々人の生活史調査を企画した。戦後に移住した人たちはすでに高令に達してはいるがまだ、なお現在のブラジル社会で一定の地位をもち、それぞれの役割を果たしている。調査可能な地域で対象者を選び各面接調査を実施した。 1.日系人の生活構造・意識調査については、コロニヤを中心に調査地点を選び、各対象地点毎に担当者をきめて実施した。(1)サンパウロ州サンパウロ市、(2)スザノ市、(3)バストス市、(4)パラナ州アサイ市(喜多川担当)、(5)パラ州トメアス-、(6)モンテアレグレ(藤木担当)。調査実施方法(面接、留置、集合)は対象地点により異なるが、計画書で示している基本・重点調査項目(各14項目)を質問紙形式の調査票にまとめて実施した。いず
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れの地点からも日本への出稼ぎが多数輩出されているが、奥地およびアマゾン地域の農業生産地では、二世、三世の高学歴化に伴って、都市への流出が激しくなってきている。全般的に都市化のすすんでいるところほど、ブラジル社会への文化適応が著しい。だが、アサイやアマゾン、トメアス-のように日本人による入植が先行したところでは、日本文化の継承度は非常に高く、出稼ぎによって日本文化の回帰現象が顕著にみられる。 2.(1)ドイツ系、イタリヤ系など欧州系ブラジル人、在伯コリアンの調査は主としてサンパウロ市内で実施した。調査対象はクラブ、学校を中心に配票自記法によって質問紙調査を行った。伊系ブラジル人のブラジルへの同化は著しく、ブラジル文化の骨格を形成しているといえるが、民族的なアイデンティティはドイツ人がはるかに強い。だがドイツ語を自由に話せるものは少なく、日系人の日本語を含めた日本文化の継承度は欧州系よりもはるかに高い。 (2)在伯コリアン調査はサンパウロ市ブラ-ス地区における韓国系移住者の生活文化とそのなかにある女性のエスニック・アイデンティティを中心に質問紙調査を実施した。殆どが、在伯の年数がまだ浅い一世ではあるが、朝鮮伝統文化の継承度は非常に高く、と同時にブラジル社会で成功するために学習したブラジル語の習熟度もかなり高いものがみられた。 3.日系人の健康・保健行動の調査は、サンパウロ州バストス市、パラナ州アサイ市、ロンドリーナ市、マリンガ市と南マットグロッソ州カンポグランデ市の5地域において、質問紙調査を集合および留置の方法で、園田、朝倉が担当して実施した。この調査では、(1)移住の世代別特徴が精神的健康に関連する要因、(2)世代、年令による健康像、健康習慣の変化、(3)日本への出稼ぎ渡航の健康、生活への影響について日本に常在する日本人と比較検討する貴重な資料が、かなり高い回収率で得られることになった。 4.(1)戦後日系移民一世を対象とする生活史調査。調査対象として(1)アサイ市9名、(2)バストス市27名、(3)スザノ市2名(以上喜多川担当)、(4)トメアス-30名、(5)モンテアレグレ15名、(6)マナオス市および近郊5名(以上藤木担当)、計88(名)事例について個別面接調査を実施し、日本、ブラジルでの家族、職業、地域に関する生活展開、(2)渡伯移住の動機とその過程、(3)渡日出稼ぎの動機とその過程等を明らかにしたい。 隠す
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