研究分担者 |
中井 浩二 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40028155)
森信 俊平 九州大学, 理学部・物理, 教授 (50016078)
永江 知文 東京大学, 原子核研究所・中間エネルギー部, 助教授 (50198298)
木村 喜久雄 長崎総合科学大学, 電気工学科, 教授 (60108636)
田中 義人 長崎総合科学大学, 電気工学科, 助手 (30269089)
村上 哲也 京都大学, 理学部・物理, 助手 (50219896)
吉井 正人 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助手 (00200931)
酒井 泉 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助手 (30141972)
佐藤 晧 (佐藤 皓) 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 教授 (80100816)
沼尻 正晴 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助手 (20189385)
伴 秀一 高エネルギー物理学研究所, 放射線安全管理センター, 助教授 (70141976)
野海 博之 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (10222192)
家入 正治 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (50192472)
千葉 順成 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (50126124)
高崎 稔 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (70044782)
庄司 善彦 高エネルギー物理学研究所, 加速器, 助手 (90196585)
三浦 太一 高エネルギー物理学研究所, 放管, 助手 (80209717)
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研究概要 |
近年わが国においても高エネルギー加速器において、陽子のみならず、重陽子,α粒子、炭素原子核、酸素原子核などが加速され、原子核物理学の研究に用いられようとしているが、このような核ビームを加速器ら取り出し、実験標的まで輸送する場合に、 (1)加速される粒子数が陽子の場合に比べてけた違いに少なく、 (2)かつ輸送中にもフラグメンテイションで失われてゆき、 (3)フラグメンテイションで生成した二次粒子も、陽子数・中性子数比が元の核と同じ場合には、分離する事なく同時に輸送されてしまう(標的上での粒子の純度が悪くなる)、 といった陽子には無い困難がある。また粒子強度の絶対測定を行う場合、陽子については指標となる核反応の断面積ガ多数蓄積されており、容易に放射化学的方法で決定可能であるのに対して、核ビームの場合には信頼しうる方法は確立されているとはいえない状況にある。本研究の目的は、この様な核ビーム輸送方法に関する技術的問題に対する世界にの『核ビームを用いている研究機関』の取り組み状況を調査し、わが国における核ビームを用いた実験に資することである。 昨年度より開始したこの調査は、まず我が国の唯一のGeV領域のハドロン加速器である高エネルギー物理学研究所12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)における核ビーム加速とその輸送、実験への利用、を想定して実施された。全世界に高エネルギー核ビームの加速施設としては、KEK-PSと同程度のエネルギーである核子当り1〜10GeV領域のものが、ドイツ(GSI)、フランス(SATURNE),アメリカ合衆国(ENL-AGS)で稼働中である。また不幸にして既に閉鎖されてしまったアメリカ合衆国のBeV alac加速器施設には、このエネルギー領域の核ビーム技術に関する長年の蓄積がある。またKEK-PSよりはるかに高いエネルギーである核子当り100GeV領域のものは、スイス(CERN)で稼働中であり、アメリカ合衆国で建設中(BNL-RHIC)である。そこでまず、これら各地の核ビーム施設(アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、ロシア等)に研究者を派遣し、それぞれの施設における核ビームへの対応技術の現状を調査した。特にビームモニターとビームトランスポート、及びビーム強度の絶対校正に関する調査を中心に実施した。ビームモニターについては、できるだけ実物(または図面)を入手できるように努めたが、不可能な場合は図面等を入手し、国内で試作した。一部は、KEK-PSからの遅い取り出しビームラインに設置して試運転をおこない、また九州大学タンデム加速器施設、筑波大学タンデム加速器センターにおいて低エネルギー核ビームの提供を受け、モニター類の性能検査を実施した。 二年目は、核加速及び核ビームを用いた実験と核ビーム輸送技術は密接に関連しているので、上記の施設における核ビーム加速技術、実験関連のビーム技術、実験プログラムなども併せて調査する事とした。またビームトランスポート系全体の運転に関するソフトな技術(インターロックシステム)についても同時に調査をおこなった。また、核ビーム加速、技術開発は各地のタンデム加速器、サイクロトロン施設でもおこなわれており、種々の興味深いビームモニター等が開発されている。これらの高エネルギー領域での応用の可能性をさぐるために、これらの施設(米国インデアナ大、ミシガン州立大、ロシア・サンクトペテルスブルグ核研、フィンランド・ユバキュスラ大、タンペレ工大)等へも研究者を派遣し調査を実施した。核ビームに限らず、固定標的を用いた実験を行っている加速器施設にはそれぞれ独特の加速、モニター技術が蓄積されている。それらのある部分は核ビームに利用できそうである。特に電子線加速器はその独特の時間構造から、将来の核ビームのパルス運転を行う場合に参考になる。そこで陽子加速器施設(英国ラザフォード研、米国FNAL)電子線施設(米国SLAC、CEBAF、北京高能研、独ボン大)等に研究者を派遣、または立ち寄らせて、調査を実施した。またカナダ国立中間子工場(TRIUMF)、ロシア核研(INR)より研究者を招待し、討論、聞き取り調査等を実施した。 これらの調査の結果の一部は一連の学術雑誌に掲載し、また掲載決定済みであり、また高エネルギー物理学研究所物理学研究部ビームチャンネル・グループにおいて整理、保管されている。
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