研究課題/領域番号 |
06041116
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
大和田 守 (1995) 国立科学博物館, 動物研究部, 室長 (40113419)
上野 俊一 (1994) 国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (00000109)
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研究分担者 |
斉藤 明子 千葉県立中央博物館, 自然史歴史研究部, 科長代理 (90250141)
西川 喜朗 追手門学院大学, 文学部, 教授 (90079385)
佐藤 正孝 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (70065340)
上野 俊一 国立科学博物館, 名誉研究員 (00000109)
加納 六郎 東京医科市価大学, 名誉教授 (10013773)
小野 展嗣 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50167326)
友国 雅章 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (90110105)
篠原 明彦 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50183835)
大和田 守 国立科学博物館, 動物研究部, 室長 (40113419)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1995年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1994年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | ベトナム / 昆虫類 / 分類 / 分布 / 由来 |
研究概要 |
1.平成6年度は春季の調査を予定していたが、予算成立の遅れのため、秋季に変更して調査を行なった。 (1).タムダオ山地は環境条件も良好で、学術上きわめて重要な種や新種を得ることができた。そのうち、いくつかの甲虫類(Trechinae. Microdytes. Laena)、およびヤチグモ(Coelotes)については分類学的な研究結果に基づき論文を発表した(研究発表の項参照)。とくに、チビゴミムシ亜科(Treachinae)においては、非常に小さい特異な種が発見され、親族新種(Vietotrechus minutissimus)として記載された。 (2)サバを中心としたファンシバン山地は、道路事情が悪く十分な調査ができなかったが、オサムシ科(Carabidae)の新種(Eobroscus)およびBembidiinae)が得られた。 (3)ホアビンは重要な地域の一つであるが、台風により調査が行なえなかった。 (4)ケプの東方の地域では、洞窟に生息するワラジムシ(甲殻類)や、ザトウムシ(クモ目)の新族新種(Sungsotia uenoi)など、興味深い動物が採集され、それぞれ専門家によって論文が発表された。 2.平成7年度は、前年度の調査隊員を中心にして春季にホアビン、ソンラ-、ライチャウ地域を含めた調査を行ない、秋季には隊員を一新してサバ、タムダオ、ククホンなど、重要と思われる地域を集中的に調査した。前年度の成果も含めて、本年度に公表できた論文の概要は次の通りである。 (1)ベトナム北部の熱帯域に限って見られる特異なチビゴミムシ族の属(Trechiotes)の1新種を含む再検討とと、新属新種(Paratrechiotes ocydromoides)の類縁関係が考察された。また、既知種の基産地において、耕作地の開発に伴う生息地の消失が指摘された。 (2)ファンシバン山地で、インドシナ半島から記録のなかったヒメハナカミキリ属が発見され、新種(Pidonia insperata)として発表された。この種は、亜属Cryptopidoniaに含まれる。この亜属は、従来、台湾と中国福建省から2種が知られていたにすぎない。 (3)ヒマラヤ地方から、中国を経て、日本まで分布する甲虫類のなかで、ベトナムにまで分布を伸ばすグループがある。ゲンゴロウ科の属Nipponhydrusは、従来、日本から2種、ヒマラヤから1種が知られていたものであるが、本調査で、ファンシバン山地から1新種が発見され、分布の空白域が埋められた。 (4)本調査で得られたコレクションをもとに、ベトナム北部のトンボ類がまとめられている。第1報はとしてオニヤンマ科がまとめられ、7種が記録された。このうち3種が新種であった。第2報サナエトンボ科がまとめられており、1新種、1新亜細種を含む10種が記録された。 (5)北部ベトナムの照葉樹林帯で採集されたゴミムシダマシ科甲虫類の分類学的研究で、3族(Strongyliini. Misolampini. Adelini)に属する2新属新種および属Laenaの4新種が命名記載された。 :(6)マダラガ科、ホタルガ亜科に属する2新種が記載された。このうちの1種Eterusia nobuoiは、対馬に特産するツシマキモンチラシE. watanabeiに近縁であるが、斑紋は著しく違う。この要因として、擬態群集が地域によって、大きく変化していることが指摘された。また、もう1種のAchelura haiは、ヒマラヤ地方と台湾に近縁種がいるが、発生時期がまったく違っていた。 3.以上のように、本調査で採集された標本は、国立科学博物館を中心に多くの専門研究者によって順次分類学的研究が進められている。ベトナム北部に生息する多くの昆虫やクモ類が、日本の動物相と密接に関係していることが明らかになってきている。 4.ハノイ農業大学昆虫学研究室の研究者の協力を得ることができた。若いスタッフを同行して調査法を教えたり、採集用具を寄贈ている。これからは、共同で調査研究を行なうことが可能である。
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