研究課題/領域番号 |
06041122
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
石黒 正人 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (40023684)
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研究分担者 |
石附 澄夫 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (20250665)
川辺 幸子 (奥村 幸子) 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (20224842)
中井 直正 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (80192665)
川辺 良平 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (10195141)
森田 耕一郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (20167688)
加藤 龍司 宇都宮大学, 教育学部物理, 助教授 (30152721)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
1995年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1994年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 大型ミリ波サブミリ波干渉計 / 電波シ-イングモニタ / ラジオメータ / 大気電波環境 / 気象条件 / 大気電波吸収率 / 位相ゆらぎ / 高分解能イメージング |
研究概要 |
ミリ波およびサブミリ波帯において現在計画されている、世界最高の空間分解能(目標0.1-0.01秒角)と集光力を持つ大型ミリ波サブミリ波アレイ等の大型望遠鏡に最適な設置場所の電波環境等の調査をチリ、ハワイで行ってきた。このような短い波長帯では大気による電波の吸収や位相ゆらぎが大きく、晴天であっても曇量は水蒸気量によってはまったく観測が不可能になる。従ってそのような波長帯で電波望遠鏡の本来の性能を発揮させて観測を行うためには、標高が少なくとも2000m以上の高地で水蒸気量が少なく、電波シ-イングや年間晴天率も良い土地に望遠鏡を設置する必要がある。これまで世界で行われてきた研究調査により、チリの砂漠地帯とハワイの山岳の山頂部が世界的にみて非常に天文観測に向いた気象条件を有する事がわかってきた。しかし、電波シ-イング(大気による空間分解能の限界)やミリ波サブミリ波帯での電波の大気透過率は、これまでハワイの一部でしか調査されていない。本調査研究は、チリの砂漠地帯とハワイ山頂部で電波シ-イングや大気透過率などの電波環境と気象を測定し、さらに地形、標高などと大気電波環境の詳細な関係を調べ、大型ミリ波サブミリ波アレイ等の大型望遠鏡に最良の土地を選定する目的で、進めてきている。 94年度までに、チリ北部の高地の砂漠地帯(4カ所)への気象装置の設置、及びチリ・パラナル山への電波シ-イングモニターとラジオメータの設置・調整を行い、これまで測定されたことのない地域で順調に気象及び電波環境データをとる事ができている。測定は現在も継続中である。また、チリ北部の高地の砂漠地帯数カ所にラジオメータを持ち込み、ミリ波帯での大気吸収率の測定を約10日間に渡って行うことができた。 さらに本年度は、チリの標高4000-5000mのサイトの電波環境を調査するため、新たにチリ・リオフリオ(標高4100m)への電波シ-イングモニター、及びラジオメータの設置を無事行うことができ、順調に無人で気象及び電波環境データをとる事ができた(チリの標高5000mのサイトは、米国電波天文台との協力でデータを取得した)また、94年度にチリ北部に設置した気象装置、及びチリ・パラナルに設置した電波シ-イングモニター、及びラジオメータでの定常観測を継続、データを回収し、データ解析を行った。一方、ハワイにおける候補地(マウナケア山山頂)についても、地理学的な面からの調査、アクセスの容易性、また大型ミリ波サブミリ波干渉計を設置する上での現地機関(ハワイ大学、ハワイ州)との協力体制も含めた検討を今年度末に行う予定である。 これらの測定により、以下の事がわかった。 1)パラナル山の付近は、標高(2600m)にわりには電波環境は良い。しかし、大気吸収率などは、サブミリ波の観測が十分行えるほどではない。サブミリ波の観測が可能な大気吸収率0・05%以下の日数は測定全体の5%未満である。 2)チリ北部の標高4000mを越えるような高地は、アンデス山脈に近く、北部ほど風が強いなど気象条件はそれほ良くはないが、電波環境に関しては、大気吸収率0.05以下の日数は測定全体の50%以上であり、十分サブミリ波の効率の良い観測が可能である事が分かった。また、大気吸収率は、アンデス山脈に近い標高5000mのサイトの方が、アンデス山脈から多少離れ気象の安定した4000m近辺のサイトより、統計的に低い事がわかった。 3)電波シ-イングや大気吸収率についても、標高のより高いサイトの方がパラナル山より良い。位置的には、アントファガスタと同緯度付近の、海岸とアンデス山脈の中間の標高4000mの高地が比較的乾燥しており大気吸収率も小さく、電波環境も良い。 4)電波シ-イング及びミリ波サブミリ波での大気吸収率等の電波環境は、統計的には、チリ北部の標高4000m-5000mのサイトの方がハワイ・マウナケア山(標高4200m)より良く、地理学的にもチリのサイトの方が、ミリ波サブミリ波干渉計等の大型電波望遠鏡による観測に敵している。
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