研究課題/領域番号 |
06041131
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | (財)実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
斎藤 宗雄 (斎藤 宗男) (財)実験動物中央研究所, 飼育技術研究室, 室長 (50167417)
斉藤 宗雄 (1995) (財)実験動物中央研究所, 研究員
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研究分担者 |
松崎 哲也 国立精神, 神経センター神経研究所, 室長 (30167647)
小坂 光男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30079983)
酒井 秋男 信州大学, 医学部・環境生理学, 助教授 (70020758)
野村 達次 (財)実験動物中央研究所, 所長 (10072399)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1995年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1994年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 高原ナキウサギ / 高地適応動物モデル / モンゴルのナキウサギ / ダウリナキウサギ / 中国小型ブタ |
研究概要 |
海抜8,000メートル以上の高知に生息するナキウサギは、小型で室内飼育繁殖も可能と思われることから高地適応モデル動物として唯一期待されている動物である。本調査研究は、中国青海省、チベット、ネパールヒマラヤ、モンゴル共和国(外モンゴル)、北米等に調査隊を派遣し、相手国との共同により各種ナキウサギの生態ならびに生物学的特性を調査し、高地医学、環境生理学モデルとしての有用性と限界を検討し、国際的な高地適応モデルとして確立することを目的とした。調査研究は、中国においては中国科学院上海実験動物中心(Shanghi Laboratory Animals Center,Academic Sinica)、モンゴル共和国においてはモンゴル国立大学生物学研究所(Institute of Biology,National University of Mongolia)と密接な連絡のもとに実施された。 平成6年度は、中国におけるナキウサギの繁殖は停滞し本邦への持込みも不可能と思われ、一方、近隣のモンゴル共和国には多数のナキウサギが見られ、名古屋からの直行便も運行され本邦への持込みも期待されることから、ウランバートルに調査隊を派遣し、サミヤ博士(Dr.R.Samiya)の協力を得て、ウンドルトップならびに南ゴビのゴルバンサイハン山脈での生態調査を行い。ウンドルトップではシャーマントラップでダウリナキウサギ(Ocotona daurica)6匹を捕獲し、その3匹にテレメーターを埋込み野生状態における体温を測定した。これらナキウサギ等の持出しについてモンゴル自然省と話し合い、ダウリナキウサギ♀♂16匹、同一地域に生息するスナネズミ(lasiopodomys brandtii)ならびにリス(spermophilys undulatus)を本邦に導入した。これら野生動物は松崎班員により室内飼育・繁殖の試が着手された。 上海におけるクチグロナキウサギ(Ochotona curzoniae)の飼育・繁殖に進展が見られないことから。中国の新しい実験動物候補として中国小型ブタに着目し、上海市、雲南省、広西省、広東省に調査隊を派遣し、雲南省西双版納の微形豚、広西農業大学の巴馬豚、広州種豚場の藍塘豚等の小型ブタを視察調査した。これらのブタは、一般の家畜ブタと比べ外見的に小型であった。しかし、生物学的データは少なく、小型ブタ間の比較の試みも皆無であり、実験動物候補として品種を選定するには困難であった。本邦への持込みも中国農林省が関与することから野生動物よりも難しいと推察された。 平成7年度は、ダウリナキウサギ繁殖のために野生個体の導入と、小型テレメーターが開発されたことから再度野生ナキウサギの体温測定に挑戦するために、ウランバートルに調査隊を派遣した。調査は雨にたたられたが、10匹ナキウサギを本邦に導入し、野生ナキウサギの体温測定についてはモンゴル国立大学で引き続き研究することになった。 中国小型ブタについては、中国科学院上海実験動物中心の施設を整備し、雲南省西双版納の微形豚、広西省原産の香豚(上海種豚場)、貴州香豚(上海種豚場)の3種を導入し、同一飼育条件による発育試験を行った。 また、世界の野生動物実験動物化に関する情報調査のため、中国青海省に酒井班員、北米には野村班員を派遣した。 以上、高地適応動物モデルとしてのナキウサギ調査研究は第I期(平成元年〜3年度)、第II期(平成4〜5年度)。第III期(平成6〜7年度)研究の節目を向かえることになった。中国には青海省を中心に多数の興味あるナキウサギが生息することがわかった。しかし、中国野生動物の持出しは難しく、これらの実験動物化を行うために上海での繁殖を試みたが不成功におわった。この状態を打破するために、III期にはモンゴル共和国に調査隊を派遣し、野生ナキウサギを本邦に持込むことができた。現在、室内飼育は成功し、新たな個体も導入され繁殖が期待されている。新しい実験動物候補中国小型ブタについては最小種であるといわれている版納微形豚、貴州香豚、広西香豚の同一条件での比較が始めて行われている。
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