西南太平洋地域のマラリアと関連血液異常の研究調査

• 研究課題/領域番号: 06041135
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 学術調査
• 研究機関: 自治医科大学 (1995); 国立予防衛生研究所 (1994)
• 研究代表者: 石井 明 自治医科大学, 医学部・医動物学, 教授 (40012752)
• 研究分担者: RZEPCZYK C.M オーストラリ, アクィンランド大学・医学研究所, 研究員 ; LEAFASIA J.L ソロモン諸島国, 医学研究所, 所長 ; 二瓶 直子 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 研究員 ; 中澤 港 (中沢 港) 東京大学, 医学部・人類生態学, 助手 (40251227) ; 内田 ゆりジュリエッタ 自治医科大学, 医学部・医動物学, 助手 (40254908) ; 金沢 保 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 室長 (10194888) ; 太田 伸生 名古屋市立大学, 医学部・医動物学, 教授 (10143611) ; 川端 真人 神戸大学, 医学部・国際交流センター, 教授 (30175294) ; UCHIDA J Jichi Medical School ; KERE N. ソロモン諸島国, 保健省, 次官 ; 藤井 寿一 東京女子医大, 輸血部, 助教授 (70107762) ; 大保保 康人 大阪府赤十字血液センター, 副所長
• 研究期間 (年度): 1994 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円); 1995年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円); 1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
• キーワード: マラリア / 疫学 / 理論疫学 / TNF / 血色素 / DNA診断 / 衛星画像 / 人類生態 / ソロモン諸島 / 血液型 / G6PD欠損 / PCR / パプアニューギニア

研究概要

西南太平洋地域として今年度はソロモン諸島のみに調査を実施した。ソロモン諸島は政権の交代があり、研究所所長の交代もなされたので、当初の予定どうりに実施するには、困難があった。そのため、まず研究代表者を調査地域・方法などについて改めて打ち合わせ・調整するために短期派遣した。幸いに合意が得られ引きつずいて派遣が可能となり、予定の計画が実行された。
ガダルカナル島の東部村落のいくつかが調査の対象として決まり、一部学校も加えられた。疫学的には大変に激しいマラリア流行が検出され、全ての人が感染するとされるholoendemicな状況が見られていたが、クロロキンのみを治療に用いた村落では流行があまり低下する事なく、血液中の原虫血症は半分の人々に検出された。プリマキンや殺虫剤を浸積した蚊帳を導入した村落では20%程度に低下が見らえた。媒介蚊のAnppheles farautiのマラリア媒介の能力(vectorial capacity)が高いことが伺われた。血液の疾患であるマラリアの貧血は重要な症状であるが、それに関連する血色素の量とその異常について調べた。186例で約12%に異常血色素が検出され、3種のタイプであることが判明した。異常ペプチドを単離しアミノ酸配列分析により、タイプを決定した。サラセミア症の存在も認められた。
脳性マラリアは最も重要なタイプであるが、これに関連するTNFa遺伝子プロモーター領域の多型性を検討しTNF1とTNF2を調べた。ソロモンにはTNF2 alleleが住民に存在しない事が分かった。
マラリア原虫(P.yoeli)由来の好中球遊走因子(PyNCF)について流行地の住民の抗体を調べたところ日本人よりも高い価を示した。
マラリアの流行の分布と地理学的景観の関係について衛星画像、現地観察等により検討を加え、マラリア流行の可能性の予測などに利用する基礎成績を得た。
マラリアの感染は媒介蚊の生態と人間の生態の上での接点で発生する。媒介蚊の生態については今まで昆虫生態学者が多くの研究成果を発表しているが、人間のマラリアに関わる生態については、十分明らかにされてはいない。今回人類生態学の手法によりガダルカナル島村落の現場で調査がなされた。成果については分析を進めている。

研究成果

• [文献書誌] A.Hirono,H.Fujii,S.Miwa and A.Ishii: "Molecular analysis of glucose-6-phosphate dehydrogenase variants in the Solomon islands." Am.J.Human Genetics.56. 1243-1245 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Kimura,O.Kaneko,A.Inoue,A.Ishii and K.Tanabe: "Amplification by polymnerase chain reaction of Plasmodium falciparum DNA from giemsa-stained thin blood smears." Mol.Biochem.Parasitol.70. 193-197 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Y.Mizushima,H.Kato,H.Ohmae,T.Tanaka,A.Bobogare and A.Ishii: "Relationship of haptoglobin polymorphism to malaria in the Solomon Islands." Intern.Med.34. 342-346 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] J.Y.Uchida,T.Kasahara,A.Bobogare,S.Saefafia,M.Kawabata,N.Ohta and A.Ishii: "Falciparum malaria in Solomon Islands detected by a paper disc PCR method." Jpn.J.Parasitol.,. 44(2). 119-127 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Matsuoka,J.Kobayashi,G.C.Barker,K.Miura,Y.Chinzei,S.Miyajima,A.Ishii and R.E.Sinden: "Induction of anti-malarial transmission blocking immunity with a recombinant ookinate surface anfigen of Plasmodium berghei produced in siikworm larvae using the baculovirus expression vector system." Vaccine. (in press).
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 石井 明(分担): "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(ソロモン諸島の医療情報)" 熱帯医学協会, 123,(17-19) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 石井 明(分担): "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(ソロモン諸島国のマラリア)" 熱帯医学協会, 123,(20-29) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 石井 明、大久保 康人、瀬尾 たい子、真弓 忠、N.Kere (分担): "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(ソロモン諸島のマラリアと特殊血液型などの血液学的情報)" 熱帯医学協会, 123,(68-69) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 石井 明、A.Bobogare,藤井 寿一 (分担): "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(ソロモン諸島のマラリアとG6PD欠損症)" 熱帯医学協会, 123,(63-67) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 水島 豊、加藤 弘巳、大前 比呂思、田中 俊昭、A.Bobogare,石井 明: "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(ソロモン諸島国のマラリアと貧血、栄養、およびhaptoglobin多形性との関連性)" 熱帯医学協会, 123,(70-78) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 大前 比呂思、内田ゆりジュリエッタ、水島 豊、加藤 弘巳、田中 俊昭、石井 明、A.Bobogare,S.Kirimaoma,佐々 学: "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(PHCにおけるマラリア臨床診断の役割と限界)" 熱帯医学協会, 123,(36-41) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 大前 比呂思、川本 文彦、水島 豊、加藤 弘巳、田中 俊昭、石井 明、J.Leafasia,A.Bobogare,S.Kirimaoma,佐々 学: "ソロモン諸島とマラリア、佐々 学監修(超音波診断のマラリア疫学とコントロールへの応用" 熱帯医学協会, 123,(42-50) (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 石井 明: "竹田 美文、多田 功、南嶋 洋一 編集" 熱帯感染症(熱帯の保健衛生), (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] A.Hirono, H.Fujii, S.Miwa and A.Ishii: "Molecular analysis of glucose-6-phosphate dehydrogenase variants in the Solomon islands." Am.J.Human Genetics.56. 1243-1245 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Kimura, O.Kaneko, A.Inoue, A.Ishii and K.Tanabe: "Amplification by polymnerase chain reaction of Plasmodium falciparum DNA from giemsa-stained thin blood smears." Mol.Biochem.Parasitol.70. 193-197 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Y.Mizushima, H.Kato, H.Ohmae, T.Tanaka, A.Bobogare and A.Ishii: "Relationship of haptoglobin polymorphism to malaria in the Solomon Islands." Intern.Med.34. 342-346 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] J.Y.Uchida, T.Kasahara, A.Bobogare, S.Saefafia, M.Kawabata, N.Ohta and A.Ishii: "Falciparum malaria in Solomon Islands detected by a paper disc PCR method." Jpn.J.Parasitol.44 (2). 119-127 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] H.Matsuoka, J.Kobayashi, G.C.Barker, K.Miura, Y.Chinzei, S.Miyajima, A.Ishii and R.E.Sinden: "Induction of anti-malarial transmission blocking immunity with a recombinant ookinate surface antigen of Plasmodium berghei produced in silkworm larvae using the baculovirus expression vector system." Vaccine. (in press). (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Sasa, A.Ishii, N.Nihei (ed.): Japanese Association of Tropical Medicine. Solomon Island and Malaria, 123 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より