研究課題/領域番号 |
06041136
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
渡辺 勧持 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 社会福祉学部, 部長 (00090423)
|
研究分担者 |
SUREE Roenkn タイ国精神遅滞者, 福祉財団東北支部, 支部長
MAYUREE Yokt チェンマイ県養護施設, 施設長
RUAIPORN Pra チェンマイ大学病院, ソーシャル・ワーカ部, ワーカー
VANRUNEE Kom タイ国精神遅滞者, 福祉財団, 研究委員長
杉山 克己 同朋大学, 社会福祉学部, 講師
島田 博祐 発達障害研究所, 社会福祉学部, 研究員 (40280812)
三田 優子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 社会福祉学部, 研究員 (20261208)
大島 正彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 社会福祉学部, 主任研究員 (60142171)
SASTRI Saowa コーンケーン大学病院 リハビリテーション部, 主任
高橋 知江 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・社会福祉学部, 研究助手
小沢 温 国立リハビリテーションセンター, 研究員
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
1996年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1995年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1994年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | CBR / 発展途上国 / 知的障害者 / タイ / 地域生活援助 / アジア / 入所施設 / リハビリテーション / 地域社会 / 知的障害 / 障害者 / 地域サービス / 国際援助 / コミュニティ |
研究概要 |
1.発展途上国の現況調査 本調査では、タイを中心に、インドネシア、スリランカ、フィリッピン、ベトナム等の発展途上国における知的障害者のCBRの状況を調査した。CBRは、それまでの欧米式の障害者への援助が経済的に高価であり、一部の人のみに貢献し、技法が発展途上国に適切でないとの理由があげられていたが概ね正しい。実地調査での結果は、欧米の主導によるCBR計画では、CBRの家庭援助にあたるワーカーの技術取得に幅があり、地域の文化に適合した技術が開発される場合と地域社会から遊離した技術が行われる場合に差が見られた。また、タイでは欧米のCBRを参考にタイの人々によるCBRの展開を調査した。そこでは地域内でのサービスが欧米に比較し、地域全体、あるいは地域の社会資源との密接な関連がもたれ、地域の中の障害を持つ人々全員を対象にするという新しい方策がとられた。人々による連携もよく行われていた。しかしながら、農村部においては、県の一人のソーシャルワーカーが多くの範囲を担当し、CBRの展開はそのソーシャルワーカーが関心を持つかどうかの問題となる。技術取得に関する機会を大幅に改善する必要があり、今後の日本からの援助の場合にはむしろこうしたタイの人々によって地域の中での連携と感心が高まる場所で長期的に技術援助を行うことが求められる。 2.海外からの援助 援助については、北欧、アメリカの調査、また知的障害者アジア会議、および、国際発達障害研究会議に出席して情報を収集した。現在のCBR援助の方法は二つの大きな問題がある。一つは、欧米の個人主義と発展途上国の集団主義との関係で専門家による援助がそれまでの隣人による援助を壊す場合。二つはCBRのリハビリテーションが医療技術的なレベルであることで、ほとんどのCBRは成人を対象としており、そこではむしろ教育と就労が大きな問題となる。その意味ではCBRよりもCBS(Community-Based Support)という表現の方が適切である。これらの欧米のCBRに関する援助の実態は、今後、日本からの援助を行うときのいくつかの方向を示唆している。これらは、(1)知的障害者を援助している団体および地域の行政および寺院等の福祉に関係する有力者との連携が計画の早期から行われること。(2)CBRの展開を村のワーカーを中心としたスタッフを要請する点に集中して技術伝達を急がないこと、むしろ地域全体との交流に多くの時間を割くこと。(3)従来CBRの中心的なテーマは家庭訪問であるが、家庭への訪問は家庭内で孤立、隠蔽という危険性がある。むしろ、村の集会や集まりの中で近隣の人々に開かれた形でリハビリテーションを行うことが望ましい。(4)多くの問題が貧困な生活環境と関連する。そのため、CBRは識字教育や地域開発、新生児検査、簡単で工賃の得られる仕事の導入、補助具を作る職人の育成などの動きと連携しながら進めることが必要である。 3.日本、欧米の知的障害者のサービスとの関係。CBRは発展途上国の援助に伴って生まれた概念である。しかしながら、それは欧米や日本に見られる「地域でともに暮らす」という理想、施策と関係している。そのため、発展途上国の研究は日本のサービスを見直すことにもなる。アジアの国々では、日本は特にすでに経済発展を遂げ、入所施設中心のサービスを展開した唯一の国であり、本調査を実施している間、この問題を多くのアジアの人々と考察してきた。その結果、(1)日本の中規模型の入所施設は今後アジアでも展開する。(2)日本で現在、地域生活援助に使われている既存の入所、通所施設を介在した方策は、これまでにない新しい試みであり、これからの一つのモデルとしてその功罪が問題となる、という新しい知見を得た。この観点に立ってみると例えば、フィンランド、ノルウエイのように戦後入所施設を展開した国々の知的障害者の地域生活への展開は日本と異なり、例えばノルウエイのように1996年現在入所施設者が皆無となったように急速に行われていることも調査で分かった。これには、むしろ社会の人権を基本とした施策なり意識が日本とどう違うかということが大きな論点となると思われる。アジアの国々は日本と同じ方式でくる可能性が強い。
|