研究課題/領域番号 |
06042012
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
寺師 慎一 鹿児島大学, 南太平洋海域研究センター, 教授 (90041293)
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研究分担者 |
ASAUA Faleni 西サモア国中央病院 病理部, 主任病理, 医
仙波 伊知郎 鹿児島大学, 歯学部, 講師 (60145505)
国芳 秀晴 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (50244249)
吉田 愛知 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20036453)
内尾 康人 鹿児島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10093733)
北野 元生 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (10142118)
ASAUA Vaasili f Western Samoa National Hospital, Clinical Pathology
FALENIU Asau 西サモア国中央病院 病理部, 主任病理, 医
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
1995年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病 / 疫学調査 / ポリネシア |
研究概要 |
オセアニア海域における成人T細胞白血病ウィルス(HTLV-1)の浸淫状況を調べるため、すでに研究代表者の寺師らによりミクロネシアとメラネシアにおいて抗HTLV-1関連抗原(ATLA)の有無を指標に広範な検索が行われてきた。ポリネシアについては、仏領ポリネシアやハワイにおける疫学的調査はなされているものの、西サモアやトンガなどについての知見は得られていない。そこで我々は調査地として1993年に平成5年度の化学研究費で西サモアの調査を実施した。今回の調査地は、同西サモアを初年度(1994年)に、最終年度(1995年)はトンガを選んだ。 1994年度は、1993年度と同様にわれわれの調査についての西サモア政府の許可がおりるのを待って、同国のHealty Depart-mentおよび首都アビアにある西サモア国立病院の協力を得て、同病院に保管された患者血清を検体として検索をすることにした。同病院は同国の唯一の基幹病院である。首都以外にも国立病院の分院が各地に設置されているものの臨床検査設備を欠き、全ての臨床検査材料は西サモア国立病院に送られている。このことは、われわれの行った同病院での検索が西サモア全土をカバーしていることを意味しているものと考えられる。 われわれが西サモアで検索した患者血清は1953検体をかぞえた。検体のプロトコールによると、男女比はほぼ1:1で0歳から80歳代までの全ての年齢層がカバーしていた。検査方法は富士レビオ株式会社のSerodia,HTLV-1キットを用いたゼラチン粒子凝集法で行った。その結果、全ての検体でATLAは、陰性であった。西サモアの人口が17万人弱であり、われわれの検索症例数を考慮すると、西サモアにおけるHTLV-1の浸淫度はきわめて低いものであると判定しても大きな間違いはないと思われる。ポリネシアの他の地域であるハワイや仏領ポリネシアでの浸淫度が極めて低いとのデータ(一部私信による)とも一致した。 以上の西サモアでの検索結果を踏まえて、1995年度は西サモアの隣に位置するトンガでの調査を行うことを企画した。実施に当たってはあらかじめトンガ政府機関からの調査についての許可と協力を得る必要があり、数回のトンガ政府の厚生省の高官と手紙およびファックスなどでの交渉ののち、最終交渉を8月中に現地で行うことにした。現地でのトンガ政府機関との交渉の期間中、
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トンガでの予備調査を行う必要もあった。現地での交渉には研究代表者の寺師と分担者の北野が携わることにして、これに外国人研究分担者である西サモア国立病院のV.F.Asauaが加わった。Asauaの役割は、本研究調査活動の西サモアでの実績をトンガ政府担当官に説明し、加えてポリネシアにおけるHILV-1についての疫学的調査の必要性を説明することであった。 なお、われわれは8月に行う現地での交渉と予備調査を一次調査、トンガ政府の許可が下りた後に実施する予定の疫学的検索を二次調査と位置付けた。 一次調査については、寺師と北野はトンガ王国の首都Nuk'alofaに8月8日より8日間、Asauaは8月9日より6日間滞在した。滞在機関中、主としてトンガ王国厚生省(Health Depar tment)事務次官のDr.S.T.Pulokaと交渉をもつことができた。交渉案件は次のようであった。1)われわれの調査研究についてのトンガ政府に対する申請、2)調査研究の実施の時期、3)実施に当たっての検体採取対象、4)実施に当たっての現地スタッフによる医療チームの結成、5)その他についてであった。1)については滞在期間中にトンガ王国の厚生大臣、厚生省、外務大臣、国会およびトンガ王国の了承が得られたとの報告を得た。2)については、実施時期を1996年2月とすることで双方の意見が一致した。3)については、われわれとしては、対象を全年齢層に亘らせたいと希望したが、検体採取が確実で便宜的にあるとの判断から、対象を学童に絞りたいとのDr.Pulokaからの申し出がありこれを了承した。4)についてはトンガ側の医師、看護婦、検査技師などを提供し検体採取に当たらせたいとの申し出があり、これを受託することにした。5)その他として、今後とも連絡を密にすることで、本調査研究を成功させることなどを話し合った。滞在中、とくに国立病院を始めとする医療機関や学校の現状の把握に努めため精力的にトンガ国内を視察した。 トンガ滞在後、日を経ずして寺師と北野は病いを得、入院を余儀なくされることになった。北野は手術の適応となった。1996年2月の時点で調査研究の実施に耐えうるだけの充分な体調の回復が両者ともにみられなかった。そのため、本研究の継続は不可能であると判断し、1996年度の二次調査は実施されぬまま、本調査研究は中断のやむなくに終わった。 隠す
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