研究課題/領域番号 |
06042013
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
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研究分担者 |
GURTSEVITCH ウラジミール モスクワ癌研究センター, ウイルス発癌部, 部長
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183176)
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40202337)
石田 貴文 東京大学, 理学部, 助教授 (20184533)
有村 公良 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20159510)
藤吉 利信 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (50173480)
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1994年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病 / HAM / HTLV-1 |
研究概要 |
1.ロシア(カムチャッカ) カムチャッカ首府のペトロパブロフスクにあるカムチャッカ癌センターをベースにして、そこからヘリコプター、水陸両用車等を利用して少数民族の3部落エッソ、チゲル、セダンカを訪ね、診療所また各戸訪問して採血を行い、血液を持ち帰った。採血検体は以下のとおりである。エッソ185検体、チゲル138検体、セダンカ279検体またはペトロパブロフスク20検体の計622検体である。これらの検体はエベンキ、コリアク、イタルマンを主として、その他チュクカ、トクチャ、ラム-ト、アリュートといった少数民族からのものである。抗体検索の結果、1検体のみがPA、ELISAともに陽性であったが、Western blotではgag抗体のみが検出されたので、真性の陽性とは判定できなかった。但し、HTLV-1の変異株存在の可能性も考えられたので、PA、ELISA疑陽性のものも含め、現在、ウイルス分離とウイルス遺伝子の検出をPCRで行っている。またあわせてこれらのリンパ球のHLA検索を行っているところである。HIVについては全て陰性であった。 2.ロシア(ウズベキスタン) タシケントにある免疫研究所の協力を得て、ブハラを中心にサマルカンドにおいて、長い間、イスラム世界で隔離されていたユダヤ人村で採血を行った。ブハラにおいてはユダヤ人241名(うち1名はmyclopathy患者)、ウズベキスタン人17名(うち15名はmyclopathyもしくは白血病患者)の計258名、またサマルカンドにおいてはユダヤ人20名、ウズベキスタン人1名の計21名、総計279名から採血し、血液を持ち帰った。抗体検索ではPA陽性1例、疑陽性4例がみつかったが、ウエスタンブロットでは4例がgagに反応した。このことから現在、ウイルス分離とPCRによるウイルス遺伝子の検出をHLA解析とともに行っている。HIVについては全て陰性であった。 3.中国(雲南省) 雲南省昆明にある昆明ウイルス研究所をベースにして少数民族のイ族、タイ族、リス族、ナシ族、ミャオ族計150例の血清を採取した。その結果、いずれもHTLV-1、HIVともに陰性であった。また昆明ウイルス研究所に飼育されているアカゲザルから採血し、PAによる抗体測定を行ったところ6匹が陽性であり、そのうち5匹がWestern blotによる確認試験で陽性であった。また昆明郊外の西双版納にある中国霊長類センターでアカゲザル15匹から採血したところ、そのうち2匹がPA・Western blotで陽性であった。これらのことから現在、HTLV-1陽性のアカゲザル7匹のリンパ球から、ウイルス分離とPCRによるウイルス遺伝子検出を行なっている。 4.タイ・マレーシア・シンガポール・インド タイ南部のリンフォーマの患者でWB陽性例がみつかった。現在遺伝子を抽出し、さらに家族より採血を計画している。マレーシアではポルネオ島のマレー領の先住民は2千人近くのスクリーニング(マラヤ大に協力)で全て陰性、以前に陽性だった華僑陽性例(WB)については病理標本よりDNA抽出を試みている。また、マレー半島の先住民の調査の糸口が見つかり、現地の医師団が採血に向かうことになった。インドでは、輸血によると思われる新たな陽性例が1例、アンドラプラデッシュ州で見つかった。シンガポール大学に保存されていたパプアニューギニアの試料、9地域1000検体をスクリーニングすることができ、9%の陽性率を見た。これらの試料からDNAを抽出し、そのウイルス間の系統関係に未だ不明の多いメラネシア型HTLVの研究に供する予定である。
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