研究課題/領域番号 |
06042018
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
吉村 健清 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (20037435)
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研究分担者 |
GUTIERREZ Ma Medical Department, National San Juan de, Professor
GARCES Migue National Institute of Public Health, Guat, Chief Inve
溝上 哲也 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (60269074)
徳井 教孝 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (50207544)
坂本 元子 和洋女子大学, 文家政学部, 教授 (70049980)
渡邉 英伸 (渡邊 英伸) 新潟大学, 医学部, 教授 (70037381)
MARIO Mirand Medical Department, National San Juan de, Professor
MIGUEL A Gar National Institute of Public Health, Guat, Chief Inve
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
1996年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1995年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 胃がん / 中米 / 疫学 / がん登録 / 組織型 / 症例対照研究 |
研究概要 |
1.中米胃癌の組織型別分布 コスタリカ:1985-92年(8年間)の胃癌は4,522例の登録があった。組織型コード(ICD-O)のみで、Intestinal、Diffuse typeが判別できないもの、およびその他の組織型を除いて、残り750例(男492例、女258例)を解析対象とした(全胃癌登録例の17%)。性、年齢別に組織型別分布をみた結果、男では若年層でIntestinal typeが若干少ないが、35才以上では年齢層で大きな変化はなく、54%がIntestinal typeであった。女では年齢と共にIntestinal typeの割合が顕著に増加していた。 グアテマラ:1980-90年(11年間)に胃癌が1,228例登録されている。2つのtypeに分類できないものを除いて、1,095例を解析対象とした。男では、Intestinal typeの割合は若年壮年層で若干低く、高年層で高くなっていた。女では、年齢と共にIntestinal typeの上昇傾向が見られた。胃癌死亡率が高い女が、Intestinal typeの割合が低い傾向がある。なお、グアテマラについては、人口動態統計でみた胃癌死亡率で、男10万対7.7、女9.3と女の胃癌死亡率が高いことが観察された。 2.中米胃癌の症例対照研究 〔方法〕組織学的に胃癌と確認された70才未満の症例を症候群とした。症例は、コスタリカ、グアテマラの協力病院より収集した。対照症例は、胃癌症例と性、年齢(±3才)、住所地、病院がマッチした悪性新生物でない患者である。生活習慣、食生活についての情報は、質問票を用いて直接面接法によってその情報を得た。同時に採血した冷凍血清を日本に持ち帰り、H.pyloriとPepsinogenについて測定した。また、病理学的検査のため、スライド標本、組織パラフィンブロックを収集した。解析は、Coxの比例ハザードモデルを用いて、相対危険度を算出した。 〔結果〕コスタリカ:1996年12月現在で、胃癌症例73例、対照症例65例について質問票を用いた面接調査を実施した。組織型分布ではIntestinal type 43例、Diffuse type 24例、その他(未同定も含む)6例であった。リスク要因は、今回、症例・対照のマッチが完全なもの(胃癌50例、対照54例)についてのみ解析した。その結果、雇用者、水道非使用者、冷蔵庫の10年以上使用者の相対危険度が高い傾向が見られた。食品では、キャベツ、マスタードリーフ、ハ-ブの相対危険度が1.0を下まわる傾向が見られた。H.pyloriの抗体陽性率は、症候群、対照群、それぞれ73%、68%であった。Pepsinogenについては、3.0≦PG I/IIの者に対し、PG I/II<3.0の者のリスクは3.0(1.3-6.7)で有意に上昇していた。 グアテマラ:1996年12月現在で、面接調査が終了した胃癌症例32例、対照症例36例について解析した。組織型別分布では、Intestinal type 22例、Diffuse type 9例、その他1例であった。その結果、グアテマラでは低収入者の相対危険度が高かった。食品では、豆(フリホ-レス)、ソ-セージ、ソフトドリンクの相対危険度が高い傾向にあった。H.pyloriの抗体陽性率は、症候群、対照群、それぞれ70%、61%であり両群間に差は見られなかった。Pepsinogenについては、3.0≦PG I/IIの者に対し、PG I/II<3.0の者のリスクは、2.2(0.6-8.5)であった。 3.結論 1.グアテマラにおいて、女の胃癌死亡率が男に比べて高いという、これまで他国では見られなかった現象が観察された。 2.胃癌Intestinal typeの割合はコスタリカの女については年齢と共に明らかに上昇しているが、男については顕著でない。一方、グアテマラについては、男女共、年齢と共にIntestinal typeの割合の上昇は見られるものの顕著ではなかった。 3.症例対照研究においては、未だ症例数が十分ではないので、一般生活習慣、食生活については今のところ結論しがたい。コスタリカでペプシノーゲンI/IIが3.0以下の者の相対危険度が3.0と有意に上昇していた。グアテマラについては上昇は見られるものの有意ではなかった。
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