研究課題/領域番号 |
06044002
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
角皆 静男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00001587)
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研究分担者 |
WONG C.S. カナダ国立海洋研究所, 海洋気候化学研究室, 研究室長
GOYET C. 米国ウッズホール海洋研究所, 研究員
DICKSON A.G. 米国スクリップス海洋研究所, 研究準教授
BREWER P.G. 米国モンテレー湾水族館研究所, 研究所長
成田 尚史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50250501)
渡辺 修一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (00167131)
乗木 新一郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (80109511)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1995年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1994年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 海洋 / 炭酸系 / 二酸化炭素 / 全炭酸 / pH / アルカリ度 / 分析化学 / 地球環境 / 全炭素 / PH |
研究概要 |
海洋は、人類活動により環境中に放出された二酸化炭素の重要な吸収源である。しかし、海洋には大気に比べ50倍の炭素物質が存在するために、人類活動により大気中に放出された二酸化炭素による海洋中の炭酸系の変化は、極めた微弱である。この微弱な海洋の炭酸系の変化を全球的に明らかにするためには、海洋の炭酸系に関わる物質を極めて正確に、同質のデータを得ることが必要となる。しかし、測定手法や標準物質が異なるため、世界各国から発表されるデータは、精度が悪かったり、系統誤差を含んでおり、十分に変化を明らかにできない状況下にある。そこで、国内外の海洋の炭酸系を測定している専門家と炭酸系に関わる種々の分析法、データ管理、標準物質等についての討議、相互検定の実施を通してこの点を解決することを目的とした。 平成6年11月に札幌にA.G.Dickson、C.Goyet、C.S.Wong、E.G.Friederich (P.G.Brewerの代理)のほか国内外の多数の研究者に集まってもらい、また、平成8年1月には、プエルトリコに集まった世界の海洋中炭酸系の変動を研究している専門家とともに海洋水中炭酸系の測定に関する問題点を集約した。これにより、最も重要な作業として、マニュアルの作成、相互検定の実施、データの管理があげられた。また、プエルトリコでは、昨年度末に行ったIOSとの相互検定の結果、今年度行われた国内のいくつかの機関が集まって行われた相互検定の結果等についても検討を行った。この結果、次のことが分かった。 1.最も一般的なシャワー式の平衡容器を用いた二酸化炭素フガシティーの測定には、得られる値に平衡容器内の圧力依存性が認められ、平衡容器内の圧測定または圧力制御が必要である。また、バブル式の平衡容器を用いたときには最大で5%の偏りを示すことがあり得る。 2.ブイによる二酸化炭素フガシティーの連続測定には、ガス透過膜を用いた方法が有用である。しかし、これには、膜の劣化、付着生物の影響等まだ解決しなければならない問題もある。 3.全炭酸量は、Dicksonの作り上げた標準海水が有用で、研究室間の偏差を数μmoleにすることが可能である。しかし、スクリップスの大気と平衡にあり、現場と異なることから多少問題となり得る。 4.アルカリ度の測定の標準物質がまだ作られていないが、それを作ることにより系統誤差を数μeq/1とすることが可能である。また、アルカリ度の測定には、一点滴定法と比色によるpH測定法が有用である。 5.炭素安定同位体比の相互検定がC.S.Wongを中心に行われて、研究室間の違いがかなりあった。系統的な差の他に使われた標準試料(全炭酸の標準試料と同じもの)にも問題がありそうである。 平成7年9月には、P.G.Brewer博士を招へいし、彼を中心に海洋水中の炭酸系の問題、ブイを用いた連続測定に関わる最新の技術について検討を行った。彼からは、省エネルギー型のポンプ、小型化された分光光度計等の紹介が行われ、ブイ係留による測定の問題点が提示された。 昨年度末に行ったIOSと北海道大学との相互検定結果は、次の通りであった。 1.IOSに北海道大学の二酸化炭素フガシティー測定用の平衡容器持ち込み、IOSのラインで測定したところ、両者の平衡容器による差は認められなかった。 2.全炭酸には、約10μmole差があるが、北海道大学で作った標準物質の変質も認められた。 3.比色法によるpH測定を比較したところ差が認められた。 4.海水中の炭素安定同位体比の測定には、前処理を含めて約0.7‰違いあった。
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