研究課題/領域番号 |
06044025
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 (1995-1996) 山形大学 (1994) |
研究代表者 |
中村 孝夫 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (00142654)
|
研究分担者 |
藤沢 直毅 オーストラリア, ニュー・サウス・ウエールズ大学・大学院・生体工学研究科, 研究員
NUGENT Allen オーストラリア, ニュー・サウス・ウエールズ大学・大学院・生体工学研究科, 研究員
SCHINDHELM K オーストラリア, ニュー・サウス・ウエールズ大学・大学院・生体工学研究科, 研究科長教授
梅津 光生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90132927)
ALLEN H.Nuge オーストラリア, ニュー・サウス・ウエールズ大学・大学院・生体工学研究科, 研究員
KLAUS Schind オーストラリア, ニュー・サウス・ウエールズ大学・大学院・生体工学研究科, 研究科長 教授
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 旋回渦流 / 血液ポンプ / ポンプ内表面性状 / 骨格筋駆動人工心臓 / ポンプ流量 / Artificial Heart Pump / Cardiomyoplasty / Laser Doppler Anemometry / Pump Flow / Spiral-Vortex |
研究概要 |
本研究では、血液のよどみや乱流を防ぐことによって抗血液凝固特性に優れると期待される新型の旋回渦流型血液ポンプに対して、流体力学的解析に基づいて特性向上を図り、それを重症心臓病患者への治療手段として臨床利用することを最終目標とした。この独創的な設計の血液ポンプの原型モデルに対して、日本側では主に血液ポンプの評価法の開発と評価(ポンプ拍出量の測定法、及び内壁近傍の流れの解析法の開発)、並びにポンプ製作法の改良に関する基礎的研究を行い、豪国側では流体力学的測定・解析並びに骨格筋駆動法に応用するための基礎研究を行ってその形状を改良・最適化していくと共に、その評価のための動物実験を開始することを目的とした。 まず、本ポンプの特殊形状(コーン型)を利用した新しい原理に基づくポンプ流量測定装置を設計・試作した。すなわちポンプ外壁に装着した電極間の静電容量がポンプ内血液量に依存して変化する原理に基づき、ポンプ内血液量を測定する方式を考案し、測定装置を試作してin vitro評価実験を行い、極めて良好な結果を得、国内の研究会で発表した。またポンプ内ハウジング表面近傍流れの測定に用いる、水素気泡発生装置を設計した。 ポンプの作製法に関しては2軸回転モールディング装置を用いて、技術的な種々の基礎的検討を加え、さらに真空成型機を用いて加工技術の向上を進めた。その結果、ポンプを比較的容易に制作できるようになり、ポンプの最適形状が決定されれば、すぐにでも試作できる体制が整った。そこで現有する旋回渦流型人工心臓プロトタイプ血液ポンプの特性を改善しうると経験的に考えられる、物理的パラメータの異なる種々のポンプを設計・試作して、その評価実験を行い、それらパラメータ(特にダイアフラム形状)のポンプ性能に及ぼす効果について検討して、その結果を国内の学会で発表した。 これに付随して、従来よりも格段に流体力学的特性が優れ、安価な人工心臓用ボール弁の可能性が示唆されたので、そのプロトタイプを新たに設計・試作して、in vitro評価実験を開始した。現在までのところ、順方向圧力損失特性、逆流特性等で極めて良好な結果が得られてきている。 ポンプ内の流れの解析のためには、レーザドプラ流速計でモデルポンプ内流れを3次元的に測定するための基本データ解析方法を開発し、国際会議で発表すると共に、実測・解析を行って、アニメーション画像によるポンプ内流れの表示が可能となった。また骨格筋駆動の補助心臓システム開発のための基礎的データとするだめ、プロトタイプ血液ポンプ・ダイアフラムの力学的特性を調べ、国際会議で発表した。 ポンプ内流れを解析する場合に必要となる、ポンプ内表面性状のポンプ性能(特に抗血栓性)に及ぼす影響を定量的に検討するためには、レーザ光を用いた微細加工技術を応用して種々の表面微細粗さを有する高分子膜を作成し、人工血管状にして動物(羊)に埋め込んで評価実験を行い、その結果の一部を国際会議で発表した。 さらにポンプシステムの総合的評価を行うための予備的急性動物実験を、手術手技の確立と動物介護の方法論の検討、並びにポンプシステムの急性期における特性評価を目的として、豪国において全研究者立ち会いのもとに羊を用いて開始した。その結果、ポンプは良好に動作し、ポンプ内には極めて理想的な旋回渦流が認められた。動物は人工心臓ポンプで8時間維持されたが、真空成型法では克服できないポンプ作製上の小さな欠点が幾つか指摘され、今後は成形方法を射出成型法に変更してポンプを作製していくことになった。 なお本研究で開発しているポンプシステムは、豪国内での企業化にむけて極めて有望視されており、そのための調査が開始されている。
|