研究課題/領域番号 |
06044037
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
嶋田 裕 千葉大学, 医学部, 教授 (70009116)
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研究分担者 |
PEXIEDER Tom ローザンヌ大学, 準教授
PERRIARD Jea スイス工科大学, 教授
小宮山 政敏 千葉大学, 医学部, 助手 (70175339)
豊田 直二 千葉大学, 医学部, 講師 (00188822)
PEXIEDER Jean-Claude Swiss Federal Institute of Technology
PEXIEDER To ローザンヌ大学, 医学部, 準教授
PERRIARD Je スイス工科大学, 教授
立木 幸敏 国際武道大学, 体育学部, 助手 (20255178)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
1996年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1995年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1994年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | アイソフォーム / ミオシンアルカリ軽鎖 / トロポニンI / 筋原線維 / 心臓 / レチノイン酸 / 形態形成 / 分子種 / エピトープタギング / 心筋細胞 / 筋原線維形成 / アクチン / ミオシン / コネクチン / ネブリン / 細胞内導入 |
研究概要 |
1.筋蛋白質アイソフォーム変換機構の解析 (1)筋原線維形成過程におけるアイソフォームの変換機構を解明するため、ミオシンアルカリ軽鎖を対象として、それらのcDNAをラットおよびニワトリ心室筋の培養細胞に導入し、発現したアイソフォームの筋原線維への取り込みの態様を調べた。 発現させる蛋白質を内在性のものから区別するために、導入するcDNAには外来のアミノ酸配列をコードする塩基配列(エピトープタグ)を組み込んでおき、発現した蛋白質はタグに対する抗体で特異的に標識した。また、異なるタグを組み込んだ2種類のアイソフォームのcDNAを発現させることにより、発現したアイソフォームの分布を同一の細胞内で比較した。蛍光標識2次抗体およびフォロイジン染色により目的の蛋白質を可視化した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。 本実験により以下の結果が得られた。非筋型のアルカリ軽鎖(3nm)は常に細胞内に瀰漫性に分布し、速筋型(1fと3f)は常に筋原線維のA帯に局在した。遅筋型(1sa)は3nmと共に発現させると筋原線維にわずかに局在するが、心筋型(1sb)や速筋型と共に発現させると瀰漫性に分布するようになった。1sbは3nmや1saと共に発現させるとA帯に局在するが、速筋型と共に発現させると細胞内全体に分布するようになった。これらの結果から、ミオシンアルカリ軽鎖は非筋型→遅筋型→心室筋型→速筋型の順に筋原線維に組み込まれやすくなることが判明した。この順序は筋細胞の発生過程における蛋白質の出現順序と類似している。このことから、アイソフォームの変換過程では、後から出現したアイソフォームが速やかに筋原線維に組み込まれることによりアイソフォームの変換が効率よく行われるものと考えられた。 (2)ミオシンアルカリ軽鎖は基本的にN末葉およびC末葉の2部から成り、タイプ1の軽鎖(1f、1sa、1sb)では、さらにN末葉のN端側に伸長部が存在する。これらのうち、どの部分が筋原線維への取り込まれ易さに影響するかについて、アイソフォーム間で一部を交換したキメラcDNAを作製して筋細胞に導入し、同様の方法により調べた。 実験の結果、筋原線維への組み込まれ易さの違いはN末葉におけるアミノ酸配列の違いにより生じることが明らかになった。さらに、このN末葉を細分したキメラcDNAを作製して解析を行ったところ、第2EFハンドドメインにおける15個のアミノ酸の違いが重要であることが明らかになった。これらのアミノ酸がミオシン重鎖と直接結合することに影響し、それによりアルカリ軽鎖のアイソフォーム間でミオシン重鎖との親和性に差が生じるものと考えられた。 2.心筋型および骨格筋型筋蛋白質アイソフォームの筋原線維への取り込み機構に関する解析 (1)胚心筋と骨格筋ではトロポニンIの存在様式が異なる。その機構を解析するため、心筋と骨格筋(胸筋)のトロポニンI(それぞれ、CTnIとFTnI)のアイソフォームを培養心筋と胸筋細胞に強制的に発現させ、それらの筋原線維への取り込みについてエピトープタグ法を用いて調べた。CTnIとFTnIは心筋の筋原線維に結合した。しかし胸筋では、FTnIは筋原線維に取り込まれたが、CTnIはほとんど取り込まれなかった。CTnIは胸筋細胞においては選別されることが示唆された。 (2)CTnIとFTnIの頭部(N末側)を交換したキメラTnIおよび欠損TnIを強制発現させ、TnIアイソフォームの筋原線維への取り込みのメカニズムについて分析した。TnIは機能的に異なる二つの部分を持つことが示唆された。すなわちTnIの尾部(C末側)は心筋および胸筋の筋原線維に特異的に結合する部位であり、TnIの頭部(N末側)は尾部の筋原線維への結合力を増幅したり、特異性を変化させる調節部位であると考えられた。 3.心臓の形態形成と奇形の発生 (1)形態過程の心臓の表面微細構造を走査電子顕微鏡的に観察した。この時期の心臓を構成している細胞には、心筋、心外膜、心内膜および心膜があり、これら4つの異なるタイプの細胞は走査電顕的に鑑別が可能であった。このうち心外膜の形成過程を調べると、初期には静脈洞より突出する絨毛様突起をおおう扁平な細胞層が、心筒心室部背面に連続しているのがみられた。次にこれらの細胞は心室を輪状にとり囲み、また頭・尾側にのびて心球・心房をおおって行った。 (2)レチノイン酸投与した妊娠マウス胚子の心臓には心奇形が多く発生する。催奇形率は妊娠8日目に20mg/kgを腹腔内に投与した場合が最も高く、異常にはTGA、DORV、VSD、A-loop、L-loopがあった。
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