研究課題/領域番号 |
06044038
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋市立大学 (1995) 東京大学 (1994) |
研究代表者 |
武田 幸男 名古屋市立大学, 教養部, 教授 (80000579)
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研究分担者 |
盧 重国 啓明大学校, 人文大学(韓国), 教授
李 基東 東国大学校, 文科大学(韓国), 教授
亀田 修一 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (10140485)
李 成市 早稲田大学, 文学部, 助教授 (30242374)
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (50183067)
酒寄 雅志 国学院大学, 栃木短期大学, 助教授 (90187055)
木村 誠 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (40094263)
東 潮 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70243673)
鈴木 靖民 国学院大学, 文学部, 教授 (20052160)
NO Jung guk Gye-myeong University
LI Gi dong Tong-guk University
LI Seong shi Waseda University
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 朝鮮古代都市 / 新羅 / 百済 / 伽耶 / 山城 / 邑城 / 王都 / 皇龍寺 / 新羅王京 / 金石文資料 / 交通路 |
研究概要 |
朝鮮における古代都市の形勢・展開・変質過程の究明を目的に、新羅・伽耶・百済地域を対象とした現地調査を、1994年11月25日〜12月11日及び1995年12月6日〜18日の二回にわたって実施した。主な踏査地域は、初年度はソウル、春川、平昌、江陵、蔚珍、迎日、慶州、釜山、月城、大邱、善山、安東、栄豊、丹陽、忠州、中原であり、第二年度は昌原、咸安、晋州、昇州、楽安、光州、咸平、羅州、木浦、莞島、康津、長興、長城、高敝、井邑、扶安、金堤、全州、益山、扶余、論山、天安、ソウルである。各地の遺蹟・遺物の調査、発掘現場の見学を実施するとともに、研究所・博物館を訪問して現地の研究者との交流をはかった。調査の成果は医科の通りである。 (1)古代王都の構造を新羅・百済・伽耶の史的展開に即して理解するために、ソウル、慶州、扶余、光州、咸安を踏査した。まず、新羅王都の発掘調査として注目される皇龍寺東南隅道遺構発掘現場(慶州)を見学し、新羅王都のこうおう復元作業の現状を把握した。また、ソウル夢村土城と扶余陵山里において、百済の漢山城・泗城時代の王都の状況を観察し、両王都の構造的特徴および前者から後者への発展の様相を確認した。さらに、咸安に遺存する王宮址・土城・山城・古墳を、その相互関連に留意しながら踏査し、伽耶地域における古代都市萌芽期の具体的様相を確認した。 (2)本研究では王都以外の地方都市の研究も重視し、可能なかぎり現地調査を実施した。具体的には、光州の都市遺構(官衙址、街路、山城)を実見し、統一新羅期の都市である武珍州治の構造の一端を理解した。また百済の中方城(金寺洞山城)、古沙夫里城(隠仙里土城)、周留城(位金岩山城)を踏査し、百済地方都市研究の重要な手がかりを得ることができた。 (3)古代都市に随伴する施設である陵墓・古墳・寺院を各地で見学し、古代都市の景観や立地条件を考察した。かなでも全羅南道の前方後円墳とソウル石村洞の積石塚を実地に観察し、当該地域における文化的複合性・重層性を確認したことは、古代都市における文化的諸側面を理解する上で示唆するところが大きかった。 (4)朝鮮の古代都市はかならずその背後または周囲に防御施設として山城を備えていたが、本調査でも鳳儀山城(春川)、北兄山城(慶州)、屏風山城(尚州)、赤城山城(丹陽)、忠州山城(忠州)、蓬山城(咸安)、武珍古城(光州)、金寺洞山城(古阜)、位金岩山城(扶安)等、多くの山城を踏査し、その構造的特性および山麓の都市との関連を理解することに努めた。 (5)古来交通の要衝として著名な大関嶺(太白山脈、江陵)と竹嶺(小白山脈、丹陽)を踏査し、都市と地方を結ぶ内陸交通ネットワークの重要性と歴史的意味を確認した。また、清海鎮址(莞島)、国立海洋博物館の諸相を具体的に認識した。これら交通・交易ルートの確認は都市生活を支えた物資流通の究明に資しては必須の課題であり、今後の都市研究の展望を切り開くものとして期待できる。 (6)古代都市が持つ歴史物資を朝鮮史全体の流れの中で明らかにするため、本研究では朝鮮王朝時代の邑白を踏査対象に加え、近世都市をも視野に入れた調査を実施した。具体的には咸安・楽安・高敞の邑白を踏査し、立地・構造等さまざまな面において、古代から近世に至る都市的発展の様相を確認することができた。また、城壁石刻を判読し、都市構築のめの力役動員の具体相を認識したことは、貴重な成果である。 (7)新羅の冷水碑(迎日)、鳳坪里碑(蔚珍)、南山新白碑(慶州)、中原高句麗碑(中原)をはじめとする石碑、水簡、有銘土器を各地で実見し、文字資料研究のうえでも貴重な成果を上げることができた。
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