研究課題/領域番号 |
06044059
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須賀 唯知 (1996) 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40175401)
石田 洋一 (1994-1995) 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60013108)
|
研究分担者 |
香山 正憲 工業技術院, 大阪工業技術試験所・ガラスセラミックス材料部, 主任研究官
OHUCHI Fumio Dept. of Materials Science and Engineerin, 教授
伊藤 寿浩 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (80262111)
須賀 唯知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40175401)
S Ohuchi Fum Dept. of Materials Science and Engineerin, 教授
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | SiC-Al界面 / 第一原理分子動力学 / 電子構造 / 凝着エネルギー / 電子顕微鏡 / 変形 / セラミックス-金属界面 / サファイア-Al界面 / 原子間力顕微鏡 / セラミックス / 界面 / 原子構造 / バンド計算 / カーボンナノチューブ |
研究概要 |
平成6年度は9月にOhuchiが来日、石田,須賀、香山の各研究室に滞在し、打ち合わせを行った。石田は、全体の計画を再確認し、須賀と原子間力顕微鏡(AFM)によるSiC等の界面構造観察を共同で行った。大阪工研ではSiC/Al界面の電子構造・原子構造の実験観察法と理論計算法についての討論を行った。11月には香山が訪米し、SiC/Al界面についての理論解析を共同で行うとともに、実験と計算の比較、今後の研究方向について詳細な議論を行った。また須賀が作製したSiC/Al常温接合界面について、高分解能電顕観察、AFM観察を行い、界面での介在物を介さないSiC-Al間の直接結合の存在の可能性が期待される結果を得た。これは、OhuchiによるSiC表面へのAlの吸着系の予備実験結果と基本的に合致することが判明した。また、Ohuchiと香山は強結合近似法による理論解析を行い、SiC表面の再構成構造や原子種が金属との結合性を左右する可能性を明らかにした。さらに、大阪工研ではSiC/Al界面の第一原理バンド計算が行われ、Al-Si間接近する界面モデルとAl-C間が接近する界面モデルとで電子密度分布に差があることなどの端緒的結果が得られた。平成6年度は各種実験観察、理論解析の共同により、SiC/Al界面の原子構造と電子構造についての端緒的知見を得た。 平成7年度はOhuchiが8月から9月にかけて日本に滞在、大阪工研でのSiC/Al界面の電子構造・原子構造の実験観察法と理論計算法について議論を行い、SiC表面の再構成構造や原子種が金属との結合性を左右する可能性を明らかにした。12月に石田及び大学院生の林がワシントン大学のOhuchi教授のもとで強変形を受けたカーボンナノチューブの界面の電子的構造の解析を行った。透過電子顕微鏡による観察結果と計算機シミュレーションは、ナノチューブの変形が曲げによる弾性的な変形とそれに続くグラファイトのsp2からsp3への結合状態変化によってもたらされた構造である可能性が高いことを明らかにした。しかし、期待されていた電子線エネルギー損失分光による変形部の解析は測定条件が十分でなく有意な結果が得られなくなった。須賀らはSiC/Alの常温接合界面について引き続き高分解能電顕観察、AFM観察を行い、実験と計算の比較について議論し、今後の研究方向について詳細な検討を行った。 平成8年度においては、これまでの理論計算に基づいて計算精度をさらに高めた第一原理分子動力学法が大阪工研の香山によって開発され、セラミックス-金属界面の凝着エネルギーならびに原子構造、電子構造が最終的に明らかになった。特にSiC(110)-AlならびにSiC(100)-Alの接合において、接合界面では非常に強いC-Al間の引力相互作用が存在すること、またこの結合がイオン性と共有結合性の両者の結果を持っていることを示した。これらの結果を総合して、この相互作用がSiCとAlの接合メカニズムに最終的に最も寄与しているものと結論された。須賀らのマクロな接合強度の評価においても、CとAlの結合がSiとAlの結合よりも大きいことが示唆され、理論計算とよく一致する結果を得た。また継続して行ってきた高分解能電子顕微鏡による接合界面の微細構造観察によっても、原子レベルでの直接接合が確認された。ただし、Al2O3とAl間の接合界面に関する高分解能TEMによる評価では、接合界面に数nmの厚さのAl2O3の構造ともAlの構造とも異なる構造を有する中間層の存在も初めて確認された。平成9年3月にはOhuchi、須賀が相互に訪問し、これまでの研究を総括するとともに、本研究成果の応用に関する調査研究を行った。その結果、この3年間の研究の集積によって、セラミックス-金属界面の原子・電子レベルでの設計が具体的に可能になったこと、また、これらを結果のパッケージング技術への適用の可能性が有望であるという結論を得た。
|