研究課題/領域番号 |
06044062
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 正道 東京大学, 農学部, 教授 (50018339)
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研究分担者 |
MOO Yung Eui Agricultural Science and Technology Inst, Director
PARK InーCheo Agricultural Science and Technology Inst, Resercher
HWANG CherーW Agricultural Science and Technology Inst, Resercher
RYU JinーChan Agricultural Science and Technology Inst, Director
高谷 直樹 東京大学, 農学部・学術振興会, 特別研究
堀内 裕之 東京大学, 農学部, 助手 (00209280)
EUIM Moo Yung Agricultural Science and Technology Institute R.D.A.
EUN MooーYung Agricultural Biotechnology Institute R. D, Director
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | キチン合成酵素 / Aspergillus / Rhizopus / 先端生長 / キチナーゼ / 胞子形成 |
研究概要 |
初年度は筆者らの研究室で単離されたAspergillus nidulansのキチン合成酵素をコードする遺伝子chsA、chsBに対しA.nidulansにおいてそれら遺伝子の破壊株を作製し、その表現型を検討した。その結果、chsA破壊株では野生株と同様の生育を示したのに対し、chsB破壊株では生育が強く阻害され菌糸の先端が丸く膨らんだ状態が観察された。そこでその発現が菌糸の先端生長に重要であると考えられたchsBをA.nidulansにおいて培地の炭素源の種類により発現制御可能なアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(alcA)のプロモーターの下流に連結した。これをA.nidulansに形質転換し遺伝子の発現を、炭素源の変更により制御することによって表現型の変化を観察したところchsBの発現を抑えると菌糸の生長は著しく抑えられ、単位面積たりの分生子数が野生株の半分程度になることが明らかになった。このことからchsBの遺伝子産物が菌糸の先端生長のみならず分生子の形成にも関与していることが推定された。さらにA.nidulansに存在するchsA、chsB以外のキチン合成酵素遺伝子chsC、chsDを単離しその構造を解析した。一方、植物病原菌の近縁種である糸状菌Rhizopus oligosporusからも2種のキチン合成酵素遺伝子chs1、chs2を単離しその全構造を解明した。さらにそれら遺伝子をSacchromyces cerevisiae中で発現させ、これらの遺伝子が実際にキチン合成酵素をコードしていることを確認するとともに、ノーザン解析によりそれら遺伝子がR.oligosporus内で菌糸生長期に強く発現することをも見いだした。 2年目においてはまずA.nidulansのchsC、chsD遺伝子破壊株を作製しその表現型を検討したところ野生型と差がみられなかったことから単独の遺伝子破壊では表現型に変化の見られないchsA、chsC、chsDの各種二重遺伝子破壊株を作製した。その結果、chsCとchsDの二重遺伝子破壊株の表現型は野生株と変化が見られなかったが、chsAとchsDの二重遺伝子破壊株では分生子の形成効率が野生株の10%程度まで減少した。また、chsAとchsCの二重遺伝子破壊株では菌糸の密度が野生株に比べて粗になりまた分生子の形成効率が野生株の0.002%程度まで低下した。これらのことから、chsB遺伝子産物のみならずchsA遺伝子産物、chsC遺伝子産物も菌糸生長に関与すること、chsA〜chsDの4つの遺伝子産物とも分生子形成に関与することが推定された。一方、筆者らの研究室で単離した菌類型キチナーゼ遺伝子であるR.oligosporusのchi1とSaccharomyces cerevisiaeのキチナーゼ遺伝子であるcts1のそれぞれから推定されるアミノ酸配列で保存されている領域より推定されるDNA配列をプライマーとしてA.nidulansの全DNAを鋳型としたPCR法により増幅された断片をプローブとしてA.nidulansの遺伝子ライブラリーよりキチナーゼ遺伝子chiAを単離した。この遺伝子を発現をE.coilのlacZ遺伝子との融合遺伝子により検討したところ、この遺伝子は菌糸中でも発現しているが分生子形成に際しその発現が二倍程度上昇することが明かとなった。一方、chiAを破壊した遺伝子破壊株の表現型は野生株に比べて変化が見られなかった。 韓国側においては当初の計画を変更し稲のイモチ病の病原菌であるPyriculalia oryzaeに宿主・ベクター系を構築する目的で、現在までに宿主・ベクター系の宿主ととして使用し得る栄養要求性変異株の取得に成功している。また、P.oryzaeのキチン合成酵素遺伝子を単離し、この遺伝子を破壊した株の植物病原性を検討する目的で、P.oryzaeの染色体DNA断片よりPCR法により、キチン合成酵素をコードする遺伝子断片の取得に成功している。 これらの仕事は筆者らの日本側のグループと韓国側のグループの協調関係の下に共同作業で行われた。
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