研究分担者 |
出村 誠 東京農工大学, 機器分析センター, 講師 (70188704)
GULLION T. Department of Chemistry, Florida State Un, Assistant
NICHOLSON L. Center for Advanced Technology, Cornnel U, Assistant
CROSS T.A. National Magnetic Resonance Facility, Flo, Professor
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
棚沢 一朗 東京農工大学, 工学部, 教授 (30013105)
松田 浩珍 東京農工大学, 農学部, 助教授 (80145820)
永井 正敏 東京農工大学, 大学院生物システム応用科学研究科部, 助教授 (20111635)
松岡 秀明 東京農工大学, 工学部, 教授
NICHOLOSON L Cornell University, Assistant
GULLION Terr Department of Chemistry, Florida State Un, Assistant
CROSS Timoth National Magnetic Resonance Facility, Flo, Professor
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研究概要 |
本研究は、角度依存、距離依存解析法を組み合わせた従来にない新しい固体NMR法を国際共同研究としてフロリダ州立大学のクロス、ギャリオン両教授並びにコ-ネル大学のニコルソン博士らと共同開発し、高分子の原子レベルでの構造解析を行うことを目的とする。この解析法は、現在、広く用いられている固体CP/MAS NMR法で到底得ることのできないX線回折に匹敵する原子レベルの固体構造の解明が可能であるとともに、X線回折では行うことのできなかった非晶構造の解明や原子座標を基にした分子レベルでの詳細なモデルビルディングに基づくダイナミックスの解析を行うことも可能となる。平成6〜8年度の3年間の実績を上記に記す。 平成6年度は、絹、ポリアミド繊維ならびにポリエチレンテレフタレート配向膜の原子レベルでの新しい構造解析を行うために、日本の研究代表者および研究分担者を派遣し、また、米国の研究分担者2名を招へいし、双方での実験、解析、討論を行った結果、多くの研究実績を得ることができた。^<15>N、^<13>C-^<15>Nならびに^2Hラベル絹を、既に、我々が確立してきたカイコの絹糸線培養(培地に同位体ラベルアミノ酸を加える)によって得、その角度依存固体NMRデータの解析から、結晶部の詳細な構造や、物性発現のための非晶部と結晶部の関わり等を検討した。さらに、米国側で^<15>N-^<15>Nスピン拡散2DNMRの開発を具体的に推進することで同意した。これらの成果は、Chemistry Letters(日本化学会)、Sen-i Gakkaishi(繊維学会)に発表した。ポリアミド繊維についても同様の解析手法を用いて、構造情報を得、成果は、Solid state NMR,Polymer J.、Macromol.Chem.Phys.の関連誌に報告した。さらに、ギャリオン教授のグループとの共同研究によって、同位体ラベル原子間距離を精度良く決定するREDOR法を用いて、絹の^<13>C,^<15>Nダブルラベル絹モデル化合物について、ラベル部位間の距離を決定した。今後^<13>C-^<13>Cまたは、^<15>N-^<15>Nダブルラベル絹を用いて、全く新しい固体NMR法であるCROWN法の開発に着手することになった。尚、その成果はPolymer J.に発表し、さらに、ポリエチレンテレフタレートの成果については、化学工業日報で紹介された。 平成7年度は、絹フィブロイン繊維、特に、重水素ラベル化試料を作製し、原子レベルでの新しい構造解析を行うために、日本の研究代表者および研究分担者を派遣し、また、米国の研究分担者2名を招へいし、双方での実験、解析、討論を行った。^<15>N、^<13>C-^<15>Nならびに^2Hラベル絹の角度依存固体NMRデータの解析から、結晶部の詳細な構造や、物性発現のための非晶部と結晶部の関わり等を検討した。第一に、^<15>N、^<13>Cラベル絹フィブロイン繊維の角度依存固体NMR法から得られた配向角を分析するコンピュータプログラムを作成し、X線法では困難なアミノ酸サイトについて、主鎖内部回転角を決定することに成功した。 第二に、重水素ラベル化試料から得られた配向試料について、固体重水素NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルシミュレーションから、CD結合に関する配向角ならびにダイナミクス解析を行った。第三に、^<15>N、^<13>C、さらに、^<17>Oラベルサイト間の精密原子間距離決定法をT.Gullion博士を中心に進展させた。これらの成果は、Asakura,Demura,Crossらによって環太平洋国際会議にて、また、Gullion博士らによって米国国際会議にて発表した。 平成8年度は、平成6年、7年度に測定、解析してきた結果のまとめ、ならびに国際会議での口頭発表、国際雑誌への論文投稿を重点的に行った。特に、平成8年8月に、研究代表者が渡米し、コロラド州キ-ストンで開催された国際会議で研究成果を発表した。 3年間の本研究によって、今後の固体NMR解析の新しい展開について、我々の研究成果の現状を踏まえて、綿密な意見交換を行うことができ、固体NMR法による新しい高分子構造解析に関する成果が達成された。
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