研究課題/領域番号 |
06044089
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 岐阜大学, 医学部, 助教授 (70054020)
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研究分担者 |
劉 約翰 重慶医科大学, 感染症寄生虫症研究所, 所長
SCHANTZ Pete アメリカ合衆国感染症研究センター, 寄生虫病疫学部, 副部長
FLISSER Ana メキシコ国立自治大学, 医学部, 教授
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
伊藤 誠 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90137117)
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (80142305)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 寄生虫病 / エキノコックス症 / 嚢虫症 / 血清診断 |
研究概要 |
エキノコックス症(単包虫症、多包虫症)ならびに嚢虫症は最も重篤で難治性の寄生虫病であり、近年世界規模でその流行の拡大が深刻になってきている。WHOはこれらの寄生虫病への監視体制を強め、流行地での簡便かつ特異性の高い診断法の確立が急務であることを強調している。本研究の代表者伊藤亮ならびに国外の共同研究者達はWHOエキノコックス症、嚢虫症ワーキンググループの主要メンバーとしてエキノコックス症(単包虫症、多包虫症)ならびに嚢虫症についてのガイドライン作成その他で協力してきている研究仲間である。 「エキノコックス症、嚢虫症の血清学的鑑別診断法に関する研究」が平成6年単年度の国際学術研究(共同研究)に採択された。この国際共同研究ではそれぞれの研究者が個別に、或は一部共同研究としてこれまで進展させてきていたエキノコックス症、嚢虫症それぞれに対する血清学的診断法に関する最新の成績を持ち寄り、新しい鑑別診断法の確立に向けての共同研究を推進することを主な目的とした。以下にその実績概要を報告する。 1)多包虫症患者における病態と抗体応答との相関についての解析:アメリカ国立感染症センターにおいてSchantz博士らが病態解析を行った15症例の多包虫症患者血清について、WHOが推奨しているEm2-ELISA法と伊藤が報告したEm18をマーカーとするEm18ウェスタンブロット法とを用い、病態と抗体応答との相関についての解析を試みた。その結果はEm18ウェスタンブロット法がEm2-ELISA法よりも病態との相関性が高いことを強く示唆する成績であり、緊急治療を必要とする患者と瘢痕病巣だけを有し、治療を必要としない患者とを術前に鑑別できること、予後のモニタリング法としてもEm18を用いることができることを強く示唆する成績であった。この成績は新しい検査法の開発が可能なことを示唆するものであり、Ito,Schantz & Wilson(1995).Em18,a new serodiagnostic marker for differentiation of active and inactive cases of alveolar hydatid disease.Am.J.Trop Med.Hyg.51,41-44として発表した。 2)Em18ウェスタンブロット法による多包虫症と単包虫症患者との鑑別診断の可
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能性の解析、IgGサブクラスの解析・中国、重慶医科大学の劉教授から送られた多包虫症、単包虫症患者血清を用い、Em18に対する抗体応答の有無と多包虫症、単包虫症との相関を調べた結果は、Em18に対する抗体応答の有無は多包虫症と単包虫症との鑑別に非常に有用であること、IgGサブクラスとしてはIgG4とIgG1の動態が病態との相関において重要であることを強く示唆する成績であった。この成績についてはWen,Craig,Ito et al.(1995).Immunoblot evaluation of IgG and IgG subclass antibody responses for immunodiagnosis of human alveolar echinococcosis Trop.Med.Parasitol.に掲載予定であり、他にIto et al.(1995).Antibody responses against Em18 and Em16 serodiagnostic markers for alveolar and cystic echinococcosis patients from northwest china.を現在投稿中である。 3)Em18の分離、精製、Em18-ELISA法の確立 大阪大学の堀井博士、岡本博士の協力により、エキノコックス材料からEm18の分離、精製を試み、Em18、Em16を主成分とする部分精製に成功した。名古屋市立大学の伊藤博士の協力によってEm18/Em16-ELISA法への利用を考えた。中国、重慶医科大学劉教授を招聘し、劉教授がアルベンダゾルを用いて治療、経過観察中の100例を越える血清サンプルを用いて、Em18/Em16-ELISA法、Em2-ELISA法とによる抗体応答の動態解析を試みた。その結果、上記の部分精製抗原を用いるELISA法の信頼性がEm2-ELISA法よりもその特異性において優っていることが判明した。これらの成績については、Ito et al.(1995).Immunodiagnosis of alveolar echinococcosis versus cystic echinococcosis or other parasitic diseases by ELISA using partially purified Em18 and Em16 enriched fraction compared with Em2plus-ELISAを現在、投稿準備中である。 4)、5)中国、メキシコ、アメリカ、韓国への伊藤亮の出張ならびにメキシコ、中国からの共同研究者の招聘:上記の共同研究の実施、共同研究の論文作成、今後の研究打ち合わせの目的で中国、メキシコ、韓国、アメリカへ出張し、またメキシコ、中国から共同研究者を招聘し、上記の成果を上げることができた。 隠す
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