研究分担者 |
MISKIMEN R. マサチューセッツ大学, 大学院・核物学理, 助教授
HICKS R.S. マサチューセッツ大学, 大学院・核物理学, 教授
PETERSON G.A マサチューセッツ大学, 大学院・核物理学, 教授
玉江 忠明 東北大学, 理学部, 助教授 (10124174)
松山 晶彦 静岡大学, 教養部, 助教授 (90190545)
PETERSON Gerry University of Mass., Professor
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研究概要 |
1.^3He原子核の高運動量移行領域における磁気的形状因子の測定 MIT Bates研究所の1GeV電子加速器装置からの高エネルギー電子を用いての研究プロジェクトである。(1)目的:運動量移行Q^2=31〜54fm^<-2>の領域において、^3He原子核の磁気的形状因子を測定する。3体の核子で構成される^3He原子核は、MEC(中間子交換電流)効果、△-isobar,NN相関、クォーク・グルオンの自由度等、を調べるのに適した核で、種々の理論計算が提示されている。しかし、高運動量移行では実験データがなく、理論に決着がついていない。このプロジェクトによる実験の結果と理論の比較により、少数核子系のより進んだ解明が期待される。(2)実験計画の進行:この高運動量移行の領域では、^3He原子核の磁気的弾性散乱断面積は10^<-40>cm^2/srのオーダーと非常に小さい。この測定を可能にするため、He冷却装置を用いた^3Heの高気圧体ターゲット(50気圧、温度22K)装置をUMassで開発作成した。このテストを1994年夏に行い成功した。検出系も高分解能スペクトメータを用い低バックグラウンドの検出器・エレクトロニクスを開発した。ターゲット系と検出系の総合予備実験を完了した。(3)今後の計画:Bates研究所のマシンタイムの関係で、本実験を1995年の末、1996年の始めに予定している。実験が完了すれば、データ解析が早期に行なわれ、優れた成果が期待される。(Gordon Photonuclear Conference 1994 報告あり) 2.重陽子のD(e,e'p)同時計数実験 (1)目的:D(e,e'p)同時計数実験を高運動量移行領域(7.5<qμ^2<10fm^<-2>)かつ低n-pエネルギー(3<E_<np><12MeV)で行い、核内の相対論的効果、MEC効果を探る。このD(e,e'p)実験は、断面積が放出陽子の角θ_Pの関数として測定が可能で、今までのシングルアーム実験D(e,e')データの比べ、上記の効果等についてより詳細な解明が期待される。特に、核内の相対論的効果は、このプロジェクトでR_<LT>の相関項で、顕著であるとの予見が始めてなされ、成果が期待される。(2)実験計画の進行:日本グループの作成した液体重陽子ターゲットセルをMITの冷却系に接続してのテストが行なわれ、成功した。スペクトロメーターとしてMEPSとOHIPS用いた実験プラン、またOOPSとOHIPSを用いた実験プランが検討され、現在進行中である。(3)今後の計画:1995年に、OOPSとOHIPSを用いた実験プランの実施が予定される。1996年にはMEPSとOHIPSを用いた実験プランの実施を予定している。(Gordon Conference 1994 報告あり) 3.Ross Hicks教授を日本に招へい(平成7年1月15日〜2月3日)しての研究交流 (1)MITの研究所の施設を利用しての国際共同研究課題{^3He電子散乱、D(e,e'p)}について静岡大学と東北大核理研で研究会を持ち検討と意見交換をした。その他、^<10>Bの電子散乱の結果について、大阪大学理学部核理論研究室で、核偏極等について意見交換をした。(^<10>Bは、Phys.Rev.Cに発表予定)更に、^3He(e,e'd)p実験(玉江参加)について検討をした。即ち、重陽子放出過程について、陽子反跳運動量P_r =0,50,75MeV/c,電子エネルギー380 MeV,246MeVでσ_Lとσ_Tを測定し、2体相関のT=0,T=1の役割について解明した。 (2)CEBAFでの研究プロジェクト:CEBAFは、4GeVの高エネルギー電子を100%dutyで加速する加速器を有し、今世界で最も関心を集めている施設である。1995年にビーム取出しに成功し、1996年から本格的に実験を開始する。UMassとの共同研究(堀田他)である「チ-ラル対称性の破れ」について静大で検討・意見交換をした。その他、東大原子核研究所、東北大、阪大理学部と阪大核物理センターでセミナーを行い、日本の各研究施設の研究者と意見交換をした。その題は、「Testing Chiral Dynamics at CEBAF]「Determination of the N→△ Axial Vector Transition From Factor using CLAS]などであった。 世界のトップレベルの高エネルギー電子散乱の話題は、日本の研究者との交流に非常に成果があった。
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