研究課題/領域番号 |
06044099
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河野 恭廣 (河野 泰廣) 名古屋大学, 農学部, 教授 (90023407)
河野 恭広 (1995) 名古屋大学, 農学部, 教授
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研究分担者 |
PARDALES Jr. ビサヤ農科大学, フィリピン塊根茎作物研究研修センター, 助教授
飯島 盛雄 (飯嶋 盛雄) 名古屋大学, 農学部, 助手 (60252277)
山内 章 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30230303)
PARDALES JR. jose roca Philippine Root Crop Research and Training Center, Visayas State College of Agri
JOSE Roca Pa ビサヤ農科大学, フィリピン塊根茎作物研究および研修センター, 助教授
谷口 武 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023409)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | キャッサバ / 根系 / サツマイモ / 耐旱性 / 地温 / 土壌水分 / 根 |
研究概要 |
高根域温度条件がサツマイモとキャッサバの根系および地上部の発育に及ぼす影響の評価 人工気象室内において気温25℃、根域温度25℃、40℃を設定し、両種の地上部の成育反応、根系については、構成要素レベルでの発生・伸長反応を精査した。実験と採取した試料の解析・分析の一部は昨年度中に行ない、その残りを本年度行なった。両種とも、地上部で認められた高根域温度に対する反応は促進的であり、これまで報告した、イネ科作物の場合とは対照的であった。根系反応では、根系全体でみた場合、サツマイモでは促進的、キャッサバでは抑制的であったが、根系要素別にみると、両種ともとくに高次側根の発育が促進されることを見いだした。 なお、この概要は第2回アジア作物学会議(1995年8月21日〜25日)において発表し(様式5、10研究発表参照)、現在投稿論文を取りまとめ中である。 2.キャッサバの活着期の根系発達に及ぼす土壌乾燥の影響の評価 活着期、すなわち植え付けから約3ケ月後までのキャッサバに対する、乾燥の時期および期間の及ぼす影響を、とくに根系発達に注目して検討した。植え付け後9〜44日に乾燥処理を与えた場合(前期乾燥処理)、44〜82日に同処理を与えた場合(後期乾燥処理)、いずれも土壌を湿潤に保った対照区と比べて葉数、地上部乾物重が有意に減少した。また、植え付け後9〜82日目まで乾燥処理を与えた区(全期乾燥処理)では、後期乾燥処理区と類似の地上部生長の減少傾向が認められた。根系発達についてみると、前期乾燥処理区では、不定根数・長、第1次・2次・3次側根数、乾物重が減少した。しかし再灌水後、これらの値は増加する傾向を示した。一方、後期乾燥処理区では、同様の不定根数・長、第1次、第2次側根数は乾燥によって減少したが、第3次側根数は促進される傾向を認めた。また、不定根が太くなることによって、根系乾物重も増加した。全体として、これらの結果はキャッサバは活着期においては乾燥に対して感受性が高いことを示している。 なお、この結果は原著論文として日本作物学会紀事に公表した(様式5、10研究発表参照)。 つづいて、この成果をさらに発展させるために、サツマイモを加え、対象品種、乾燥処理時間・方法を増やした、いくつかのポット実験を昨年度から開始している。現在、順次、採取した試料の解析、分析を進めている。 また、この成果が出た段階で、これらの種・品種の水分生理を含めた耐旱性と根系発達・機能を、圃場試験によって評価することを計画している。現在実験圃場にそのための雨よけシェルターを作成中である。 3.農家圃場におけるサツマイモ根系発達の調査 フィリピン国レイテ州の、4農家のサツマイモ圃場(Abuyog,Salvacion,Calipayan,San Austin)において、土壌の性質、およびサツマイモ根系の土壌深度別分布を調査した。その結果、土性はすべてシルト質壌土であった。また、4調査地間では、表層5cmまでの土壌水分は、13〜21%、有機物含有量は1.76〜1.86%、リン含有量は30.2〜43.4ppm、カリウム含有量は13.7〜33.8%、pHは、5.03〜5.19の範囲にあった。また、根長密度・根重密度および土壌貫入抵抗値の土層別分布についての結果を現在解析中である。 今後もこの調査を継続し、ポット・圃場試験の結果と比較する予定である。 以上のように、本研究は、これまでほとんど未解明であったこれらの作物の根系発達と、その土壌温度・水分に対する反応性を明らかにしつつある。得られた成果の一部は、すでに公表済みか、あるいはその直前の段階に至っているが、他の多くの部分は実験・調査が継続中であり、それらはすべて、現段階ではフィリピン側の研究所において行なわれている。したがって、今後は、実験が終了したものから共同でデータを取りまとめ、これらの作物の根系発達・機能が、それらの耐旱性において果たす役割の実態を明らかにし、論文として公表していく予定である。また、新たな研究のための予算を申請する計画を立案中である。
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