研究課題/領域番号 |
06044102
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉開 泰信 名古屋大学, 医学部, 教授 (90158402)
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研究分担者 |
BLUESTONE Je シカゴ大学, ベンメイ研究所, 教授
広松 賢治 (廣松 賢治) 名古屋大学, 医学部, 助手 (80252237)
BLUESTONE Jeffrey a. The Ben May Institute, THe University of Chicago
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | γδ型Tリンパ球 / IL-15 / 細菌感染 / 妊娠子宮 / 上皮間γδ型Tリンパ球 / 免疫制御 / γδ型T細胞 / ストレス蛋白質 / TCR遺伝子 / 自己反応性 / アポトーシス |
研究概要 |
1 研究目的 本研究ではγδ型T細胞による免疫制御機構を解明するために、 (1)細菌(Salmonella choleraesuis)感染症モデルを用いて、感染防御機構におけるγδ型T細胞の役割を明らかにする。 (2)腸管上皮間に存在するγδ型T細胞の機能について急性GVHDの腸管病変モデルを用いて検討する。 (3)子宮上皮内γδ型T細胞の妊娠維持機構における役割を明らかにする。以上、3題を目的としている。 2 研究成果 γδ型T細胞の生体防御機構における役割について以下のような成果を得た。 (1)感染防御機構 サルモネラ感染したBALB/cマウス増加してくるγδ型T細胞の特異性を検討した。γδ型T細胞をパンニング法でenrichして98%以上の純度のγδ型T細胞をた。γδ型T細胞はPHA刺激自己脾臓細胞存在下でサルモネラ死菌に反応して、γIFNを産生した。そのVレパートア-はγ鎖はVγ1/Vγ4、δ鎖はVδ6およびVδ5が優位をしめた。次にこのγδ型T細胞のクローニングをおこなった結果、Vγ1/Vδ6T細胞クローンとVγ4/Vδ6T細胞クローンの2種類がクローン化できた。そのうちγ1/Vδ6T細胞クローンはマイコバクテリア由来のHsp65に、Vγ4/Vδ6T細胞クローンはBALB/c脾細胞およびMethA腫瘍細胞に反応し、その反応性は抗Hsp60抗体であるML-30にて阻害された。 γδ型T細胞のTCRとLFA-1のクロスリンキングによる反応性を検討した。αβ型T細胞は抗TCR抗体と抗LFA-1抗体で強い増殖反応を示したが、γδ型T細胞は抗TCR抗体単独では増殖するものの、抗TCR抗体と抗LFA-1抗体の刺激には全く反応性を示さなかった。DNA解析ではこのシグナルによってアポトーシスが誘導されていることが分かった。In vivoに抗LFA-1抗体を投与するとサルモネラ感染後の肝臓におけるγδ型T細胞の増加が抑制され、菌の増加が認められた。感染症においてγδ型T細胞が何故一過性に増加してその後減少するのか、アポトーシスの感受性で説明されるのかも知れない。 (2)急性GVHD BDF1 (C57BL/6xDBA/2) F1マウスにC57BL/6脾臓細胞を投与すると、急性移植片対宿主片(GVHD)がおこってマウスは死亡する。急性GVHDでの腸管病変形成におけるγδ型腸管上皮間Tリンパ球の役割を抗γδ型TCR抗体を投与してγδ型T細胞の機能を抑制したマウスで検討した。コントロール抗体投与群ではB6脾臓細胞投与後9日目までに宿主由来のγδ型腸管上皮間Tリンパ球(i-IEL)が増加し、12日目で急激に減少した。ドナー側のi-IELは脾臓細胞投与後12日目になってはじめて検出された。この時期にクリプト領域のアプトーシス細胞が著しく増加した。一方、抗γδ型TCR抗体を投与したマウスでは抗体投与14日目まではγδ型i-IELが検出されなかった。脾臓細胞投与後12日目でのドナー型i-IELの出現が遅れ、クリプトのアポトーシス数も減少した。これらの結果より、宿主側のγδ型i-IELが急性GVHDの腸管病変形成に貢献している可能性が示唆された。 (3)妊娠維持機構 同系(C3H/HexC3H/He)および異系(C3H/HexAKR/J)妊娠マウスにおける子宮上皮間リンパ球(IEL)中のγδ型T細胞の比率を調べた。非妊娠マウスの比べて妊娠マウスで妊娠12日目より増加した。増加率は異系妊娠マウスで同系妊娠マウスより著しかった。γδ型T細胞の表面マーカー出の検索ではCD45RB^+,IL-2a,CD69^+,LFA-1^<1high>が多く増加していた。 (C3H/HexAKR/J)妊娠マウスの子宮IELのAKR/J脾臓細胞への反応性を^3H-thymidineの取込みで調べた。Whole IELでは全く反応性を示さなかったが、magnetic beadsを用いてγδ型T細胞をのぞいたIELは反応するようになった。子宮IELよりγδ型T細胞を分離し、C3H/Heリンパ節の異系リンパ球混合反応培養系に加えた。父系のAKR/Jアロ抗原のみならず、third partyのC57BL/6アロ抗原に対する反応性も抑制された。この抑制効果は抗GFβ抗体で阻害された。実際、妊娠子宮γδ型T細胞はTGFβを産生していることが明らかとなった。
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