研究分担者 |
KARZANOV Ale ロシア科学院, システム科学研究所, 教授
BIOCH Jan C. エラスムス大学, 経済学部, 教授
EITER Thomas ウィーン工科大学, 工学部, 助教授
KOGAN Alexan ラトガース大学, ラトコー研究所, 助教授
BOROS Endre ラトガース大学, ラトコー研究所, 教授
KAMEDA Tiko サイモンフレーザー大学, 計算学部, 教授
柳浦 睦憲 京都大学, 工学研究科, 助手 (10263120)
茨木 智 京都大学, 工学研究科, 助手 (10252488)
永持 仁 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70202231)
BIOCH Jan C エスラムス大学, 経済学部, 教授
BIOCH JauC エラスムス大学, 経済学部, 教授
PILARSKI Slo Simon Fraser大学, 計算学部, 助教授
LIESTMAN Art Simon Fraser大学, 計算学部, 教授
HELL Povol Simon Fraser大学, 計算学部, 教授
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配分額 *注記 |
11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
本研究の対象である分散ネットワークは、情報化社会の基盤技術として大きな役割を担うものである。すなわち、コンピュータをLAN(local area network)やWAN(wide area network)を通じてネットワーク状に結合することによって、すべての利用者が情報にアクセスし、また発信することを可能にすることを目指している。しかし、分散システムの機能と構成法については、さまざまな立場から研究が始まってはいるものの、いずれもまだ端緒についたばかりであって、解決すべき課題は多い。この共同研究は、分散システムの論理的解析を通じて、分散システム構造と機能を動的な側面と静的な側面から解明し、その結果に基づいて最適化を図ることを目的として計画された。また、そのために必要なアルゴリズムを開発し、それらの理論的、実際的評価も併せて行うことも課題として掲げた。 平成6年から平成8年の3年間の成果をまとめると以下のようになる。 (1)分散システム、とくにコテリによる排他制御におけるブール関数の応用。コテリに基づく分散システムの排他制御には他の方式に見られない特長があるが、効率の良いコテリの設計理論は確立しいない。この研究の成果の一つは、数学的に、コテリと自己双対正論理関数が等価であることを示し、論理関数の理論(すなわち、ブール代数)に基づく設計法を提案したことにある。その結果、いくつかのタイプのコテリに対し、その理論的基盤を与えることができた。また、自己双対正論理関数の数学的性質を解明することの重要さが判明したため、この分野の研究を活性化する結果となり、我々の研究はもとより、それに触発された関連の研究が種々発表されることとなった。 (2)正論理関数の同定と双対化のアルゴリズム。上の研究のなかで、とくにこのテーマの重要性が明かとなり、多項式時間で実行可能かどうかに注目が集まった。我々は、この問題が他の分野、例えば学習理論やゲーム理論にみられるいろいろな問題と等価であることを示したが、FeldmanとKhachiyanは、擬多項式時間のアルゴリズムの構成に成功している。 (3)部分定義ブール関数の理論と知識獲得問題への応用。論理関数に対するこれらの研究は、部分定義ブール関数の理論に拡張することができ、その成果は、データの論理的解析に役立つことが明かとなってきた。そこで、この方面の研究にも手を付け、与えられたデータを説明できる論理関数の存在判定問題など、いくつかの理論的成果をあげることができた。これは、それ自体広い応用を持つ重要な分野であるので、今後さらに研究を進めたいと考えている。 (4)グラフのカットとネットワーク流の理論。分散システムを抽象的に捉えると、複数個の要素をネットワーク状に結合したシステムと見ることができる。したがって、システム全体の挙動を調べるには、グラフ・ネッワーク理論が有用であって、たとえばグラフの最小カットはネットワークの信頼性の重要な基準であり、ネットワーク流の理論はネットワーク上の通信トラフィックの解析およびその最適化に役立つ。この観点から、グラフの最小カットとネットワーク流を求めるアルゴリズムを中心に研究を行った。 以上の研究を遂行するため、平成6〜8年度の間に、Tiko Kameda教授(Simon Fraser University),Endre Boros教授(Rutgers University),Thomas Eiter助教授(Wien Institute of Technology),Jan C.Bioch教授(Erasmus University),Alexander Kogan助教授(Rutgers University),Alexander Karzanov教授(Russian Academy of Sciences)らを京都大学へ招聘し共同研究を行った。また、茨木俊秀は、この間、Simon Fraser University,Rutgers University,Wien Institute of Technologyなどを訪問し、研究計画の打ち合わせを行うと共に共同研究を進めた。これらの共同研究の成果は、別紙報告の通り、すでにいくつかの学術雑誌に研究論文として発表されており、また現在とりまとめつつある論文もある。
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