研究課題/領域番号 |
06044118
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中島 剛 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50026233)
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研究分担者 |
ZEMVA Boris ヨーゼフステフアン研究所, フッ素化学研究室, 教授
鄭 容宝 (財)応用科学研究所, フッ素化学研究室, 室長(研究職) (50188653)
TRESSAUD Ala 国立科学研究センター, 固体化学研究室, 教授
ETOURNEAU Je ボルドー第I大学, 固体化学研究室, 教授
DEVILLIERS D ピエールマリーキュリー大学, 電気化学研究室, 教授
CHEMLA Mariu ピエールマリーキュリー大学, 電気化学研究室, 教授
CHONG Yong-bo Research Institute for Applied Science, professor
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1995年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | フッ素化反応 / 炭素材料 / 酸化フッ化バナジウム / 遷移金属高次フッ化物 / フッ素化剤 / 炭素-フッ素複合材料 / フッ素 / フラーレン / カーボンナノチューブ / グラファイト / 層間化合物 |
研究概要 |
1.酸化フッ化バナジウムのグラファイト層間化合物の合成と電気化学的性質 過剰の酸素を含む酸化フッ化バナジウムのグラファイト層間化合物を酸化バナジウムとフッ素ガスを用いて合成した。IR、XPSスペクトル、X線回折測定より、得られた化合物は炭素層1層おきに酸化フッ化バナジウムが挿入された第2ステージで、挿入種は過剰の酸素を伴うVOF_4^-であった。IR吸収スペクトルにはVOF_3の存在を示すV=O、V-Fの伸縮振動が1080cm^<-1>、750cm^<-1>にまたC-F結合を示す吸収が1125cm^<-1>に観察された。XPS測定ではC_<1S>、F_<1S>、O_<1S>、V_<2p>スペクトルにVOF_4^-と過剰の酸素を示すピークが観察された。即ちC_<1S>スペクトルではC-C結合を示す主ピークが283.3eVに現れ、その他、C-F結合、C-O結合を示すピークが288.2eV、284.4eVに観察された。Fisスペクトルは3ケのピークに分離され、682.5eVのピークはV-F結合、684.5eVのピークはほぼイオン結合性のC-F結合にまた687.1eVのピークは半共有結合性C-F結合にそれぞれ帰属される。O_<1S>ピークの内、530.0eVのピークはV=O結合に、532.0eVのピークはC-O結合によると考えられ、更にV_<2p>3/2スペクトルでは516.0eVにV=O結合を、また517.6eVにV-F結合を示すピークが約1:3の割合で観察された。これらの結果は挿入種がVOF_3とFからなるVOF_4^-および過剰の酸素を幾分含んでいることと一致する。 更にLiClO_4-プロピレンカーボネート溶液中、25°Cでクロノポテンショメトリーおよび交流インピーダンス測定によってリチウムの電気化学的挿入反応について検討した。界面の電荷移動過程HAチウムイオンの挿入割合には依存せず、拡散係数D_<Li>および電導度σ_<Li>はC_<17.7>(VOF_3)FではD_<Li>=3.8×10^<-10>cm^2S^<-1>、σ_<Li>=9.3×10^<-7>Scm^<-1>、C_<20.4>(VOF_3)FではD_<Li>=4.5×10^<-10>cm^2S^<-1>、σ_<Li>=2.7×10^<-7>Scm^<-1>であった。 2.遷移金属高次フッ化物を触媒とするフッ素-グラファイト層間化合物の合成と構造 AgF_3およびNiF_3を触媒としてグラファイトのフッ素化を-80℃と室温で行い、生成物の組成、構造を調べた。AgF_3、NiF_3いずれを用いた場合でも第1ステージ〜第4ステージのC_4F〜C_<15>Fが得られた。主な生成物は第2ステージと第3ステージの混合物で組成はC_9F〜C_<10>Fであった。その他第2ステージはC_6F、第4ステージはC_<14>F〜C_<15>Fの組成をもつ化合物が得られた。シート状のパイログラファイトをホストとした第1ステージの相は1.03nmの大きなC軸周期距離を有し、イオン結合性フッ素と半共有結合性フッ素が交互に炭素層間に挿入されたBi-intercalation構造と考えられる。XPS測定により、第1ステージと第2ステージの混合物ではほぼイオン結合性のフッ素(685.6eV)、半共有結合性のフッ素(687.2eV)および共有結合性のフッ素(688.0eV)が共存し、第2ステージと第3ステージの混合物ではイオン結合性フッ素(683.3eV)、ほぼイオン結合性のフッ素(685.5eV)、半共有結合性フッ素(687.4eV)が存在することがわかった。 3.炭素-フッ素複合材料の作成と電気化学的性質 ニッケルメッキ浴に炭素-フッ素共有結合を有するオリゴマーを分散し、電解法によってフッ素オリゴマーとニッケルを銅基板上に共析させ、疎水性の薄膜を作成した。硫酸および食塩溶液中における電気化学的酸化により、その腐食性を調べたところ、腐食量はニッケルよりはるかに少なかった。水溶液中に懸濁したモノブロモベンゼンの還元反応は選択性を有することがわかった。
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