研究課題/領域番号 |
06044125
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 (永田 和弘) 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (50127114)
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研究分担者 |
WALSH David シドニー大学, 主任研究員
GREENSPAN Da ウィスコンシン大学, 准教授
KUHN Klaus マックス, プランク研究所, 教授
細川 暢子 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (00263153)
中井 彰 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (60252516)
KLAUS Kuhn マックス, プランク研究所, 教授
WALSH D.A シドニー大学, 主任研究員
GREENSPAN D. ウィスコンシン大学, 准教授
KUHN K マックス, プランク研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1996年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1995年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1994年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | ストレス蛋白質 / HSP47 / プロコラーゲン / 分子シャペロン / コラーゲン / 細胞内輸送 |
研究概要 |
永田、細川、中井ら京都大学グループは、HSP47のアンチセンスRNAをマウス繊維芽細胞に発現させることによって、細胞内HSP47の産生量の減少した安定発現株を得ることに成功した。このとき、予期せぬことに、HSP47のアンチセンス発現株では、コラーゲンの合成量も同時に減少していることが観察された。その機構を明らかにするために、ノーザンブロットを行なうと、コラーゲン合成の低下は、mRNAのレベルで起こっていることが明らかになった。HSP47の量の低下は、小胞体内部での現象であり、それがどのようにして核への信号として伝えられるのか、きわめて興味深い問題であるが、その機構に関しては今後の研究に待たねばならない。また、このようなHSP47の減少株においては、コラーゲンの細胞外への分泌速度が低下していることも観察された。これは、コラーゲン特異的な分子シャペロンとして、HSP47が実際にコラーゲンの分泌に積極的な役割をはたしていることを示唆しており、機能の解明に大きな知見を提供することになった。 さらに、HSP47発現減少株にI型コラーゲンα1鎖を強制発現させることによって、新生コラーゲン鎖のfoldingおよび分泌に及ぼすHSP47の役割を検討した。HSP47減少株に発現したコラーゲンα1鎖は、細胞中の不溶性分画に回収されることが明らかになり、HSP47が新生コラーゲン鎖の凝集やfoldingを防止するために働いていることがわかった。これはHSP47が、コラーゲン特異的分子シャペロンとして機能していることを強く示唆するものである。 ドイツのK.Kuehnは、III型コラーゲンの導入細胞株、HSP47の導入株および両者を同時に導入した株を独自に作成し、それらの細胞におけるコラーゲンの3量体形成を調べた。彼らの実験条件においては、HSP47を同時に発現させることによるコラーゲンの3量体形成への影響は見られなかった。 しかし、ドイツグループと京大グループとの共同研究によって、IIIコラーゲン単独導入の時に較べて、HSP47と共に導入した細胞においては、III型コラーゲンの過剰な翻訳後修飾が抑えられていること、またその結果として、コラーゲンの融解温度(Tm値)が正常コラーゲンと同じ値にまで回復することが示された。すなわち、HSP47は、コラーゲンのプロセシングの過程に重要な役割を持っていることが明らかにされた。 オーストラリアのD.Walshは、マウス胚発生の時期において、HSP47と相互作用するマウス胚中の蛋白質の検索を共同で行なった。同じ小胞体中のGRP78の他に、HSP47に結合する蛋白質を同定し、現在その分子的な同定を進めている。 アメリカ合衆国のD.Greenspanは来日し、コラーゲン遺伝子の導入実験について情報提供を行なうとともに、cDNA、細胞株の分与を通じて、共同研究に寄与した。
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