研究課題/領域番号 |
06044129
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
|
研究分担者 |
菅 真一 (斉藤 能彦) 京都大学, 医学研究科, 助手 (30250260)
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
吉政 孝明 京都大学, 医学研究科, 助手 (00252429)
田中 一成 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80179738)
YANAGIZAWA M South Western Medical Center. University, Associate
INAGAMI Tada School of Medicine. Vanderbilt University, Professor
DZAU Victor School of Medicine. Stanford University, Professor
YANAGISAWA M Howard Hughes Medical, Institute・Univ. of, Associate
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | BNP / エンドセリンA受容体 / AT_2受容体 / プロスタサイクリン受容体 / ナトリウム利尿ペプチド / アンジオテンシンII受容体 / エンドセリン / エンドセリン受容体 / 遺伝子 / トランスジェニックマウス / ジーンターゲッティング / 遺伝子導入 |
研究概要 |
ナトリウム利尿ペプチド系に関しては、BNPの心臓における病態生理的意義を明らかにする目的で心筋梗塞、心肥大でのBNPの検討を行った。ラットの心筋梗塞モデルにおいて心室BNP濃度は12時間後に2倍、1日後に5倍に増加し、この増加は非梗塞部においても認められた。免疫組織化学により壊死部周囲に心筋細胞にBNPが強く認められ、残存心筋細胞におけるBNP産生亢進が示された。右室においても梗塞後12時間でBNP濃度は10倍に増加していた。左室のBNPmRNAは梗塞後4時間で3倍に増加していた。以上の変化はANPでは認められず、BNPに特異的な現象であった。 ラット胎児の培養心筋細胞にエンドセリン-1、フェニルエフリン、PMAを添加し、肥大をおこすと、BNPmRNAはc-fosと同様に速やかに増加し、1時間後に最大に達した。この増加は転写阻害剤のActinomycin Dで抑制されたが、翻訳阻害剤のcycloheximideでは抑制されなかった。また心筋細胞からのBNP分泌とBNPmRNAのターンオーバーがANPに比較して亢進していることも証明した。 またヒトのBNP遺伝子の転写調節機構を解明するために、5'隣接領域の構造を解析した。1.9kbのヒトのBNP遺伝子5'隣接領域には複数のcis-acting調節配列が認められ、そのプロモーター活性をchloramphenicol acetyltransferase (CAT)アッセイで測定した。ラットの胎児心室筋細胞において、1.9kbのプロモーター領域は高いCAT活性を有していたが、その30%は-1288から-1095のCT-rich配列に、10%は-289から+110の配列に由来していることが証明された。更にこの遺伝子はANP遺伝子と同じくヒトの第1染色体上に存在することが明かとなった。 ヒトのendothelin-A受容体については選択的スプライシングによるmRNAの多様性について検討を行った。RT-PCRにより肺mRNAから予想される分子量より小さい2種類のフラグメントが得られ、アミノ酸をコードする配列から、199、327bp脱落したものであることが明かとなった。これらはエクソン4およびエクソン3と4の配列であり選択的RNAスプライシングにより多様なmRNAが生じることが明らかになった。 その作用が未だに不明であるラットのアンジオテンシンIIタイプ2(AT_2)受容体をヒト胎児腎臓由来の293細胞に発現させ、受容体機能の検討を行った。グアニンヌクレオチドanalogの結合実験に対する結果から、酸化還元状態が受容体とG蛋白との邂逅に影響することが示唆された。アンジオテンシII添加後のcAMP,cGMP,アラキドン酸の変動は観察されずphosphotyrosine phosphatase活性の明らかな変化も検出されなかった。 またマウスのAT_2受容体遺伝子のクローニングを行いマウス線維芽細胞由来のR3T3細胞に発現させプロモーター活性をluciferase活性を用いて分析した結果、-453から-225の領域に負の調節領域が存在し、細胞の成長に関係することが明らかとなった。更にDNaseフットプリンティング解析を行い、この領域にinterferon regulatory factor (IRF)結合部位が存在し、IRF-1がconfluent状態のR3T3細胞ではAT_2受容体の発現を増加させ、IRF-2は成長過程、confluent状態の相方でAT2受容体の発現を抑制することが明かとなった。 ヒトのプロスタサイクリン受容体遺伝子の構造決定も行った。サザンブロット解析では単一の遺伝子が存在することが証明され、3つのエクソンと2つのイントロンから成る7.0kbの遺伝子がクローニングされた。転写開始点は翻訳開始点の870-872bp上流にあり、1.2kbに渡り解析したヒトのプロスタサイクリン受容体遺伝子の5'隣接領域にはTATA box,CCAAT boxは存在せず、Y box,SP-1結合部位が見い出された。またヒトのプロスタサイクリン受容体遺伝子はトロンボキサンA_2受容体遺伝子と同じく第19染色体上に存在することが証明された。
|