研究課題/領域番号 |
06044134
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 寛 (1995-1996) 大阪大学, 人間科学部, 教授 (40093364)
麻生 誠 (1994) 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00014689)
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研究分担者 |
WILKINSON Lo ラトガー大学, 教育大学院, 教授
BOOCOCK Sara ラトガー大学, 教育大学院, 教授
SHIMAHARA No ラトガー大学, 教育大学院, 教授
高田 一宏 大阪大学, 人間科学部, 助手 (80273564)
木村 涼子 (亀山 涼子) 大阪女子大学, 学芸学部, 助教授 (70224699)
平沢 安政 大阪大学, 人間科学部, 教授 (50243150)
友田 泰正 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90087883)
麻生 誠 放送大学, 教育学部, 教授 (00014689)
KIMURA Ryoko Collage of Arts and Sciences, Osaka Women's University
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
1996年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1994年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | マイノリティ教育 / 同和教育 / 地域教育計画 / 学校改革 |
研究概要 |
1 研究の目的 本研究の目的は、同和地区の子どもたちの学業不振の克服や自尊感情の育成といった実践的課題の解決に資する基礎データを収集することであった。 2 研究の経過 調査対象となった地域と学校は、同和教育の実践と地域教育運動の長い歴史をもっている。ところが、同和地区の子どもたちの学業不振は依然として深刻であり、子どもの荒れの問題も解決されない状況が続いていた。研究開始当初、学校教員、保育所保母、地域の教育関係者などの間では教育改革の必要性が認識されていた。だが、その具体的な筋道については共通認識がない状態だった。我々は、学校、社会教育関係施設、保育所の観察、保護者や教育関係者へのインタビューなどを通じて、調査対象地域の教育活動の現状とその問題点の把握につとめた。とくに小学校に関しては、アクションリサーチ的な方法を取り入れ、教員研修や学習指導の改善について分析を行った。 3 主な知見 (1) 学校改革と教員文化 日々の仕事に関わって教員が直面する問題の一つは、授業中の学習規律が確立しないことである。従来は「しんどい子を中心にした仲間づくり」や「全員にわかる授業づくり」といった方向でこの問題に対処しようとしてきたが、問題はなかなか解決されなかった。最近は、個性化や個別化の要素を取り入れ、主体的な学習態度と学習スキル、効力感の育成をめざす授業改革が始まろうとしている。しかし、これまでの集団主義的な視点を重視する実践と新たな課題との関係を整理できないため、総論で授業改革の必要性に同意しても、具体的な改善に躊躇する教員は多い。授業改革が進展しないもう一つの理由は、学校側に地域や家庭と協力しようとする姿勢がないことである。学校が学習指導や生活指導の面で学校外の機関や家庭に協力を求めることは少ない。教員の責任感の強さが、ともすると全ての教育課題を学校で背負い込む態度につながってしまう。結果的に教員の仕事は過重になり、新しい実験的取り組みを行う時間的・精神的なゆとりがなくなってしまう。こうした学校の姿勢は、保護者や地域の潜在的教育力を眠らせたままにする一因にもなっている。最近、小学校の一部の学年では、参観日や懇談会を工夫して、学校と保護者の心理的な距離を縮めようとする試みが出てきた。 (2) 同和地区の保護者 保護者の生活水準は相当程度改善された。しかし、親子関係に様々な困難を抱えた家庭は少なくなく、学校での学習に落ち着いて取り組めない子どもは多い。また、小学校低学年以下の親と中学生以上の親とを比べると、むしろ後者の方が教育への関心が高く、地区内でのさまざまな活動や学校行事、PTA活動などに積極的に参加する傾向がある。このように、同和地区の保護者が直面する問題は、物的・経済的な貧困から子育てのあり方へとシフトしつつあり、同時に、地区内で階層や世代による教育意識の違いが大きくなりつつある。この現状をふまえて、調査対象地域では、多様な形で学年別の保護者交流会や親教育の講座を開き、親のエンパワメントをめざした取り組みを始めている。 (3) 「連携」と地域教育システム 従来からも、保育所、学校、保護者組織などの間で連携のための会議がもたれていたが、情報交換や行事の日程調整に終わることが多かった。また、連携会議メンバーが各組織の意志決定に関与しないこともあった。その結果、連携の取り組みは実効性をもたなくなっていた。調査を通じて、各組織や個人の取り組みを有機的に結びつけ、学校や保育所を含んだ地域全体の教育活動を活性化する推進部が必要とされていたことがわかってきた。また、家庭での子育てを支援するための、子ども向け、親向けの事業展開が青少年センターに求められていることも明らかになってきた。
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