研究課題/領域番号 |
06044148
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
和泉 好計 鳥取大学, 工学部, 教授 (40026555)
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研究分担者 |
アンドレ マルケ パリ第6大学(ピエール, エ・マリーキュリー大学)・理学部, 教授
パトリック D.ショース ロンドン大学, インペリアルカレッジ・理学部, 講師
ジョナサン D.ゴールド ロンドン大学, インペリアルカレッジ・理学部, 助教授
ピーター ブリック ロンドン大学, インペリアル・カレッジ・理学部, 助教授
ディビッド M.ブロー ロンドン大学, インペリアルカレッジ・理学部, 教授
大城 隆 鳥取大学, 工学部, 助手 (00233106)
BRICK Peter Imperial College Associate Professor
GOLDBERG Jonathan d. Imperial College Associate Professor
BLOW David m. Imperial College Professor
MARQUET Andree Universite Pierre et Marie Curie Professor
SHAW-STEWARD Patric d. Imperial College Lecturer
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | C_1微生物 / メチロトローフ / セリン経路 / ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ / X線結晶解析 / 蛋白質の立体構造 / D-体特異的2-ヒドロキシ / NAD酵素 |
研究概要 |
C_1化合物質化性微生物(メチロトローフ)の資化経路の一つとしてセリン経路が知られている。今までに、酸化経路のメタノールデヒドロゲナーゼおよびセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)の2つの連続した酵素反応に着目してメタノールとグリシンからのL-セリン生産が検討されてきた。このセリン経路を構成する酵素に関しては、高活性で安定な酵素を有するメチロトローフがこれまでに見い出されておらず、系統的な酵素化学的研究や分子遺伝学的研究さらには蛋白工学的研究についてはまったく行われていなかった。そこで本研究ではC_1化合物の微生物代謝に特異的な質化系であるセリン経路の酵素、SHMT、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(HPR)、について構造と機能についての解析を行った。特にセリン経路のマーカー酵素であるについては酵素遺伝子のクローニングと酵素蛋白質の一次構造の推定、ならびにX線結晶解析による立体構造の解明を行った。 SHMTはすべての動植物、微生物に存在し、生体内でグリシンとL-セリンの相互変換とこれにともなうC_1ユニットの供給に必須の役割を担っている。セリン経路上のSHMTはC_1資化に関与する点で生理的意義が異なっている。また、L-セリン生産への利用という観点からも重要な酵素である。このことから、セリン生産菌Hyphomicrobium methylovorum GM2のSHMT遺伝子のクローニングを行い、SHMTの一次構造の解析とEscherichia coliでの発現を行った。 H.methylovorum SHMTのペプチド断片のアミノ酸配列がE.coliSHMTの一部に類似してるいることに着目して、E.coliのSHMT遺伝子の一部をプローブとして用いてH.methylovorumのSHMT遺伝子をクローニングし、塩基配列から一次構造を推定した。これはメチロトローフの資化系酵素として初めての例である。SHMTは434のアミノ酸残基(分子量46、068Da)からない、活性中心のリジン残基近傍にはすべてのSHMTに特徴的なThr(Ser)の連続する配列が認められた。他の微生物起源のSHMTとはアミノ酸レベルで52-66%、ウサギ肝のSHMTとは44%の相同性を有していた。SHMTが欠損したE.coli変異株においてH.methylovorumのSHMTを高発現させた。 精製FHPRのペプチド断片のアミノ酸配列をもとにPCR用プライマーを作成し、PCRでの増幅断片をプローブとしてHPR遺伝子のクローニングを行い、塩基配列から一次構造を推定した。このHPRは322アミノ酸残基(分子量35726Da)からなり、キュウリHPRと30%と相同性を示した。また、3-ホスホ-D-グリンセリン酸デヒドロゲナーゼやD-乳酸デヒドロゲナーゼ(D-LDH)などと23-31%の相同性が認められ、D体特異的2-ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼファミリーに属することが示された。NAD結合モチーフであるGXGXXG(17X)Dは一次構造のほぼ中央に位置しており、これまでに触媒残基として推定されてきたHis,Asp,Arg残基は保存されていた。 硫酸アンモニウムを沈殿材としてアポ型HPRの単結晶を調製し、X線結晶解析(解像度2.4A)によってHPRの立体構造を得た。HPRのサブユニットはNAD結合ドメインとこれにトポロジーが近似な触媒ドメインとから構成され、この2つのドメインは2回軸対称によって関係づけられた。四次構造を形成する2つのサブユニット間においても2回軸対称が認められた。HPR(His,Glu,Arg)の立体配置はL-LDHとほぼ同一であったが、3つのアミノ酸残基とNADHの三次元的な位置関係が異なっていることが推定された。すなわち、L-LDHではヒドロキシピルビン酸のre面側にNADHが存在するのに対して、HPRではs1両側にNADHが位置することによってNADHのpro-R水素がヒドロキシピルビン酸の2位の炭素にs1面から付加してD-グリセリンが生成するものと。
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