研究課題/領域番号 |
06044151
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鳥居 滋 岡山大学, 工学部, 教授 (70032927)
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研究分担者 |
ANNY Jutand Ecole Normale Superieure, 主任研究員
CHRISTIAN Am Ecole Normale Superieure, 教授
黒星 学 岡山大学, 工学部, 講師 (30242316)
田中 秀雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (60032950)
AMATORE Christian Ecole Normale Superieure
JUTAND Anny Ecole Normale Superieure
JUTAND Anny Ecole Normale Superieure, 主任研究員
AMATORE Chri Ecole Normale Superieure, 教授
奥本 寛 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90183251)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | オスミウム / パラジウム / 電解系遷移金属錯体触媒 / 電解系不斉ジオール化 / 電解系不斉エポキシ化 / N-オキシル / ニッケル / マンガン / 電解系繊維金属錯体触媒 / キラルジオール化 / キラルエポキシ化 / 電解系有機レドックス / ルテニウム / 電解系パラジウム錯体触媒 / 電子移動触媒反応 / アリールハライドの還元カップリング |
研究概要 |
電解系電子移動触媒反応の新領域を開拓する観点から、新しい電子移動触媒系の設計と反応制御に関する研究と、発生する不安定活性種の構造や精密電気化学的解析手段(ミクロ電極法等)を用いる電子伝達機構の解明を行った。主に、前者を日本側研究分担者が、後者を国外研究分担者らが担当した。この間相互に訪問し、緊密な情報交換と意見交換を行い、パラジウム、ニッケル、コバルト、オスミウム、マンガン等の金属錯体レドックスおよびAr_3N/Ar_3N^<+・>,N-オキシル(TEMPO)等の有機レドックスを電子移動触媒とする新しい電解系の創製に向けて、電子伝達機構の解明、反応制御の新しい方法論について協力して研究を行った。また、伝導性高分子膜にAr_3N/Ar_3N^<+・>レドックスを固定した新電子伝達系の構築、新しいレドックス機能をもつN-オキシル化合物の合成などにも有意義な成果があった。また、電解系不斉誘起反応を実現するための不斉環境の構築について、Sharpless、Jacobsen、Katsukiらの均一系不斉触媒反応と対比しながら研究を進め、電解系不斉ジオール化反応および、不斉エポキシ化反応の開発に成功した。具体的な共同研究の成果を以下に列挙する。 (1)電解系遷移金属錯体触媒反応:パラジウム、ニッケル、コバルト等の遷移金属錯体触媒を含む新しい電子伝達系の設計とその電子伝達機構の解明をおこなった。まず、ハロゲン化アリールの還元的カップリングやカルボキシル化等の電解系パラジウム錯体触媒反応に於ける電子伝達機構について詳細な研究を行い、本反応がσ-アリールパラジウム(II)錯体の二電子還元によるσ-アリールパラジウム(0)アニオンの生成と、つづく可逆的な結合開裂によるアリールアニオンと配位不飽和パラジウム(0)の生成からなることを明らかにした。これらの成果を基に、新しい電解系遷移金属錯体触媒反応の設計と反応制御について研究を進め、異なるハロゲン化アリールの交差カップリング反応、アシルパラジウムの極性反転、ハロゲン化プロパルギルの位置選択的還元、ハロオレフィンの環化反応等の開発に成功した。これら電解系で発生する活性反応種は、従来の均一系遷移金属錯体触媒反応では見られない構造的特徴や特異な反応性を持つことから、今後、電解系特有の新しい遷移金属錯体触媒反応への展開が期待できる。 (2)オレフィンの不斉ジオール・エポキシ化:キラルオスミウム、ルテニウム、マンガン錯体と電解系で再生・循環する共酸化剤とを組み込んだ新しい電子移動触媒系を設計し、電子伝達機構の解明と反応制御について研究をおこなった。まず、Sharplessらの不斉ジオール化における共酸化剤(K_3Fe(CN)_6)を電解系で再生・循環することから着手し、報告にほぼ匹敵する不斉収率と変換率で電解系不斉ジオール化を実現することができた。 続いて、新しい電子移動触媒系を探索した結果、I_2-K_2CO_3-K_2OsO_2(OH)_4-(DHQD)_2PHAL系およびI_2-K_3HPO_4-K_2OsO_2(OH)_4-(DHQD)_2PHAL系で効率良く不斉ジオール化が進行することを見いだした。本電解系で再生・循環するヨウ素活性種の挙動を中心に電子伝達機構について精査し、I_2とOsO_4^<2->間の電子移動に関する新しい知見を得ることができた。また、塩化物イオンとキラルマンガンサレン錯体とを電子伝達系に組み込んだ不斉エポキシ化反応、さらには、四酸化ルテニウム錯体を再生・循環する電解系Baeyer-Villiger反応などの開発にも成功した。 (3)電解系有機レドックス電子移動触媒反応:トリアリールアミンやN-オキシル(TEMPO)を電子移動触媒とする新しい電子伝達系を開発した。具体的には、トリアリールアミンとパラジウム錯体の複合レドックス系でのWacker型反応や、TEMPOとルテニウム錯体の複合レドックス系でのアルコール酸化反応の開発に成功している。また、新しい有機レドックスとして、トリアリールアミンをペンダントとして固定化した導電性ポリマーや二個のN-オキシル基(TEMPO)を共役系で結合した新規レドックス活性物質を設計し、それらの調製と電気化学的特性についても研究を進め、これらが新しい機能物質として興味深い性質を持つことを明らかにした。
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