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社会主義企業「民営化」の進行状況と問題点-東欧諸国における比較研究-

研究課題

研究課題/領域番号 06044155
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関広島大学

研究代表者

材木 和雄  広島大学, 総合科学部, 助教授 (70215929)

研究分担者 阿 岩  内蒙古自治区社会科学院経済研究所, 所長
丘 海雄  中山大学, 社会学系, 副教授
BORKOWSKI TA  ヤギエオ大学、社会学研究所, 教授
OBRADOVIC JO  ザグレブ大学, 哲学部, 教授
油井 清光 (由井 清光)  神戸大学, 文学部, 助教授 (10200859)
高井 康弘  大谷大学, 文学部, 助教授 (00216607)
石倉 康次  広島大学, 総合科学部, 助教授 (40253033)
秋葉 節夫  広島大学, 総合科学部, 助教授 (90192905)
森田 憲  広島大学, 経済学部, 教授 (10133795)
QIU Haixiong  FACULTY OF SOCIOLOGY,ZHONGSHAN UNIVERSITY ASSOCIATE PROFESSOR
TADEUS BORKO  ヤギエオ大学, 社会学研究所, 教授
JOSIP OBRADO  ザグレブ大学, 哲学部, 教授
BORKOWSKI Ta  ヤギエオ大学, 社会学研究所, 教授
OBRADOVIC Jo  サグレブ大学, 哲学部, 教授
DOSUKO SEKUL  ザグレブ大学, 哲学部, 教授
萬成 博  吉備国際大学, 社会学部, 教授 (60079621)
鰺坂 学  広島大学, 総合科学部, 教授 (60135960)
研究期間 (年度) 1994 – 1996
研究課題ステータス 完了 (1996年度)
配分額 *注記
18,000千円 (直接経費: 18,000千円)
1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1994年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
キーワード市場経済化 / 民営化 / ポーランド / 国有企業改革 / 体制転換 / 社会主義市場経済 / 労働者意識 / 東欧改革
研究概要

東欧諸国と中国では市場経済化と企業制度の改革が進められている。本研究では、その進行状況と問題点を明らかにすることを目的として、資料収集と分析作業を実施した。調査対象国はポーランド、スロヴェニア、クロアチア、中国である。その結果多くの知見を得た。なかでも大きな研究成果は、東欧諸国と中国では、同じく市場経済化をめざしつつも、その移行パターンが大きく異なっており、そのことが企業改革の効果に密接な関連があることが判明したことである。
まず1990年以降、東欧諸国では国有企業の民営化が進展した。なかにはかつての経済危機を脱し、経済成長に転じた国もある。このことは民営化の成果の現れのようにみえる。だが我々の調査によれば、必ずしもそう結論づけることができない。このことをポーランドの例で示そう。
民営化の目的は、いうまでもなく経済効率の改善であるが、ポーランドにおいて我々はその成果を検証できなかった。たとえば、工業部門に偏った産業構造は是正されていないし、いくつかの経済指標は、私有部門は公有部門よりも経営効率が劣ることを示している。この問題について我々は2つの原因を提示した。その1つは、資本不足のために、設備投資ができず、新しい技術を導入して効率的な経営ができないことである。もう1つは、そもそも既存の国有企業を民営化して経済効率を上げようという試み自体に限界があることである。国有が私有に変わっても、組織と技術が旧態依然のままでは経営効率は上がらないし、このような企業からは経営センスのある企業家の出現は期待できない。むしろ市場競争力のある企業を創出するには、新規企業の創設を促進する必要があり、そのためにも政府は資本不足の問題を解決しなければならない。なおたしかにポーランド経済は近年比較的高い成長率を示しているが、それは旧コメコン体制のもとで不当に設定されていた交易条件が是正され、輸出品に利益がでるようになったことと、赤字企業の清算が進行し、不必要な財政支出がなくなったことが大きく貢献している。いずれにせよ、経済成長は民営化の直接の成果ではないのである。
次に中国は、改革開放政策のもとで、市場経済化を推進している。その方法は、国有以外の所有形態をとる企業の設立を促進し、これに自由な経済活動を認めていくことにある。東欧諸国のように国有企業と計画経済を解体するのではなく、これと併存させる形で民営企業を出現させ、市場経済を構築を試みている点に中国の特色がある。非国有企業の主要な構成要素は、小規模な私有企業、外資系企業、郷鎮企業の三つである。非国有経済の拡大と発展は中国の高い経済成長を支え、新規企業の設立を主体とする市場経済化の長所を示している。これに対して、国有経済部門は国民経済に占める割合が縮小しているが、最大の問題点は経済効率の低下である。これを端的に象徴するのが、赤字企業の増大であり、その数は国有企業総数の半数以上、国有企業全体の赤字総額は黒字総額を上回るまでになっている。それゆえ、国有企業の改革の進行状況が我々の調査の焦点となった。その結果明らかになったことは、国有企業の改革を進めるためには、次の3点が条件となるということである。
第1に自由に経営を行う非国有企業に対抗させるため、国有企業の経営に対する規制緩和を拡大することである。第2に社会保障制度の整備である。国有企業の財政負担を軽減するため、中国は最近企業丸抱えの社会保障を「社会保険」方式に換え、従業員にも保険料の負担を求めるようになった。しかし中国の社会保険制度は不備が多く、実質的に機能するまでにはいたっていない。第3に国有企業の余剰労働力を吸収する受け皿として、非国有経済の一層の発展が条件となる。我々の調査では、非国有経済の発展は地域的に不均等であり、内陸部では非国有経済の発展が立ち後れており、それが国有企業の合理化を阻んでいることが明らかになった。
民営企業の新規設立を中心とした市場経済化の点で、東欧諸国は中国の経験に学ぶことができる。しかし国有企業の抜本的改革、とくに不採算企業の清算の仕方では、中国は東欧諸国の経験を参考にすることができる。両者の経験を総括してこのように述べることができると我々は考える。

報告書

(4件)
  • 1996 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1995 実績報告書
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (40件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (40件)

  • [文献書誌] 材木和雄: "ミロシェビッチ対スタンボリッチ" 社会文化研究(広島大学総合科学部). 20. 107-128 (1994)

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  • [文献書誌] 材木和雄: "中国民営化的特征" 中日管理比較国際会議論文集『中日管理比較研究』中山大学出版社. 317-320 (1995)

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  • [文献書誌] 材木和雄: "Comparativna Araliza Privatizacije izmedu Hrvatske i Kine" Reuija za Sociologiju (クロアチア社会学会誌). 27. 120-136 (1996)

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  • [文献書誌] 材木和雄(Zaiki,Kazuo): "Chinese wag of Reforming Enterprise system-characteristics in Comparison with East Eupopean Reform" 広島平和科学(広島大学平和科学センター). 19. 205-215 (1997)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "ポスト共産主義ロシアの経済発展 ーガーシェンクロン仮説の再検討-" 経済論叢(広島大学経済学部). 18. 1-15 (1995)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "戦後日本の経験とポーランドの経済改革" 経済論叢(広島大学経済学部). 19巻2号. 1-22 (1996)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "Comparison of Economic Reform in Poland and Postwar Japan" Gospodarka i Przysztosc (ポーランド誌). No.4. 62-66 (1996)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "改革の政治経済学:ポーランドの改革をめぐって" 経済論叢(広島大学経済学部). 20. 1-15 (1997)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "ポーランドの市場経済体制移行 -「バルツェロビチ・プログラム」をめぐって-" 国際協力研究誌(広島大学大学院国際協力研究科). 3. 1-13 (1997)

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  • [文献書誌] 丘海雄: "国有企業収入分配制度改革及其結果" 中山大学学報論叢(中山大学). 1-30 (1995)

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  • [文献書誌] 萬成博: "中国国有企業の組織改革" 吉備国際大学研究紀要(吉備国際大学). 5. 1-25 (1995)

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  • [文献書誌] 油井清光: "Theories on Modernization of Japan Today" International Journal of Japanese Sociology. 3. 45-57 (1994)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "Printization and Foreign Invesments in Eastern Europe" Praeger (New York), 254 (1995)

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  • [文献書誌] 森田 憲: "紛争地域現代史 -中東欧-" 同文館出版, 248 (1996)

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  • [文献書誌] ZAIKI,KAZUO: "Milosevic and Stambolic" Studies in Social Sciences (Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University). 20. 107-128 (1994)

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  • [文献書誌] ZAIKI,KAZUO: "Characteristics of Chinese Privatization Program" Comparative Studies between Chinese and Japanese Management (Zhon Shan University). 1. 317-320 (1995)

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  • [文献書誌] ZAIKI,KAZUO: "Comprativna Analiza Privatizacije izmedu Hrvatske・i Kine" Revija za Socilogiju (Hrvatsko Sociolosko Drustvo, Croatia). 27. 120-136 (1996)

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  • [文献書誌] ZAIKI,KAZUO: "Chinese Way of Reforming of Enterprise System -Characteristics in Comparison with East Europe" Hiroshima Peace Science (Institute for Peace Science of Hiroshima University). 19. 205-215 (1997)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: "Economic Deveropment in Postcommunist Russia" The Hiroshima Economic Review (The Economic Society of Hiroshima University). 18. 1-15 (1995)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: "Postwar Japanese Expreriences and Economic Reform in Poland" The Hiroshima Economic Review (The Economic Society of Hiroshima University). 19-2. 1-22 (1996)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: "Comparison of Economic Reform in Poland and Postwar Japan" Gospodarka i Prsyszlosc (Zycie Gospodarcze S.A., Poland). 1996-4. 62-66 (1996)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: "Political Economy of Reform ; The Case of Poland" The Hiroshima Economic Review (The Economic Society of Hiroshima University). 20. 1-15 (1997)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: "Polish Transition to Market Economy ; On the Balcerowic Program" Journal of International Development and Cooperation (Graduate School for International Development and Cooperation, Hiroshima University). 3. 1-13 (1997)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] QIU,HAI XIONG: "Reform of Income Distribution System in State-owned Enterprise in China" Anual of Zhong Shan University (Zhong Shan University Press). 1. 1-30 (1995)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MANNARI,HIROSHI: "Organizational Reform of State-owned Enterprise in China" Journal of Kibi International University (Kibi International University). 5. 1-25 (1995)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] YUI,KIYOMITSU: "Theories of Moderinization of Japan Today" International Journal of Japanese Sociology (Japan Sociological Society). 3. 45-57 (1994)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: Praeger (New York, U.S.A.). Privatization and Foreign Investments in Eastern Europe, 254 (1995)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MORITA,KEN: Dobunkan Press (Tokyo, Japan). Modern History of Central and East Europe, 248 (1996)

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      1996 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 森田憲: "改革の政治経済学:ポーランドの改革をめぐって" 経済学論叢(広島大学経済学部). 20巻. 1-15 (1997)

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      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 森田憲: "ポーランドの市場経済体制移行-「バルツェロビチ・プログラム」をめぐって-" 国際協力研究誌(広島大学大学院国際協力研究科). 3号. 1-13 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] Zaiki,Kazuo(材木和雄): "Chinese Way of Raforming Enterprise System-Characteristic in Compartison with East European Reform" 広島平和科学(広島大学平和科学研究センター). 19巻. 205-215 (1997)

    • 関連する報告書
      1996 実績報告書
  • [文献書誌] 森田 憲: "戦後日本の経験とポーランドの経済改革" 経済論叢(広島大学経済学部). 19巻2号. 1-22 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 森田 憲: "Comparison of Economic Reform in Poland and Postwar Japan" Gospodarka i Przysztosc(ポーランド誌). No.4. 30-45 (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 材木 和雄: "Comparativna Analiza Privatizacije izmedu Hrvatske i Kine" Revija za Sociologiju(クロアチア社会学会誌)に掲載予定. 27. (1996)

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      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 丘 海雄: "国有企〓収入分配制度改革及其結果" 中山大学学〓〓〓(中山大学年報). 1-30 (1995)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 材木和雄: "ミロシェビッチ対スタンボリッチ" 社会文化研究(広島大学総合科学部). 20. 107-128 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 材木和雄: "中国民営化的特征" 中日管理比較国際会議論文集『中日管理比較研究』中山大学出版社. 317-320 (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 森田憲: "ポスト共産主義ロシアの経済発展ーガーシェンクロン仮説の再検討-" 経済論叢(広島大学経済学部). 18. 1-15 (1994)

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      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 萬成博: "中国国有企業の組織改革" 吉備国際大学研究紀要. 5(掲載予定). (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 油井清光: "Theories on Modernization of Japan Today." International Journal of Japanese Sociology. 3. 45-57 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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