研究課題/領域番号 |
06044186
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
指吸 俊次 高知大学, 理学部, 教授 (00019564)
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研究分担者 |
ポーター トッド D. ケンタッキー大学, 薬学部, 助教授
キャンベル ウイルバー ミシガン工科大学, 生化学, 教授
CAMPBELL Wilbur h Michigan Technological University, Professor
PORTER Todd d University of Kentucky, Associate Professor
キャンベル ウイルバーH ミシガン工科大学, 生化学, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ヌクレオチド結合モチーフ / シトクロムb5還元酵素 / 硝酸還元酵素 / 結晶構造 / アミノ酸置換 / シトクロムP450還元酵素 / ヌクレオチド / モチーフ / NADH-シトクロムb5還元酵素 / ミノ酸置換 |
研究概要 |
本年度の研究では、最近同定された「フェレドキシンNADP^+還元酵素(FNR)ファミリー」に含まれるNADH-シトクロムb5還元酵素(b5R)、硝酸還元酵素(NR)およびNADPH-シトクロムP450還元酵素(P450R)に見い出された新しいヌクレオチド結合モチーフ(GxGxxP,RxYT/S)の構造について研究を行なった。 1。ヒトb5Rと、植物の硝酸還元酵素のFAD結合ドメインは、一昨年(1994年)中に2.5A-2.0A分解能での結晶構造が、b5Rについては我々の共同研究者、高野(摂南大学)のグループにより、また、NRにつては研究分担者キャンベル博士の共同研究者らによりそれぞれ結定された。それらの結果から、FNR(フェレドキシン-NADP還元酵素)の活性中心(ヌクレオチドFAD,NADHの結合部位)の構造との違いが明らかになった。なお、P450Rについては、すでに結晶構造の予備的なデータについての報告が発表されたが、全構造の決定は近々発表されると聞いている(ポーター私信)。 2。これらの酵素は同じFNRファミリーに属しているが、b5RとNRは、特に以下の諸点でFNRと異なることがそれぞれの結晶構造の解析から明らかとなった。即ち、(1)前2者の方がFNRよりタンパク質全体がコンパクトに詰まっている、(2)前2者のカルボキシル-末端と補酵素FADは離れているが、FNRではカルボキシル-末端のチロシン残基がFADと近接し、相互作用している、(3)b5RのFb5からFa1へ向うループはFADをカバーしているが、FNRではカバーしていない(FNRでは、FADがより溶液に露出している)、(4)前2者ではアミノ-末端ドメインとカルボキシル-末端ドメインをつなぐループが長く、bシートを含んでいる、こと等が明らかとなった。 3。ヌクレオチド結合モチーフの解析に関して、b5Rでは特にカルボキシル-末端部分の疎水性アミノ酸残基(フェニールアラニン、バリン)がヌクレオチドFADの結合を安定化していることが、結晶構造の解析から判明していたが、この点をさらに、部位特異的変異法によりアミノ酸置換した種々の変異酵素を作りそれらの性質を解析した結果から明らかにした。即ち、カルボキシル-末端のフェニルアラニン300,バリン299や、フェニルアラニン298などの疎水的なアミノ酸を側鎖の小さなアラニンに置換しても殆ど失活は起こらないが、それらを欠失させると劇的な活性の失活が起きることが明らかとなった。 4。硝酸還元酵素のFAD結合ドメインでは、酵素に含まれる5分子のシステインのうち242番目のシステインがNADHとの結合に関与していることをアミノ酸置換を行なった変異酵素の解析により示した。硝酸還元酵素については、現在、キャンベルらがFAD結合ドメインとシトクロムb部分との融合タンパク質をつくり、酵母細胞で大量発現させて結晶構造を解明し、シトクロムbから補酵素FADへの電子伝達機構を解明すべく研究を進めている。 5。一方、P450RはFNRフアミリ-のなかでは、1分子中に2種類の補酵素(FMN,FAD)をもち、しかも同酵素にはアミノ-末端側に約120残基の長さの挿入配列がある特徴のある酵素である。この長い挿入配列がヌクレオチドFMN,FADの結合とどのように関わっているかを明らかにするために、ポーターらはこの挿入配列(120残基)を削除した変異酵素を作った。大腸菌での発現系では、変異酵素の発現が確認されたがタンパク質が沈澱してしまい、活性が測定できなかった。そこで現在、P450Rのアミノ-末端側ドメインとb5Rのアミノ-末端側ドメインを入れ替えたキメラ酵素を作製中である。もし、このキ-メラ酵素が活性のある酵素として発現出来れば、P450Rにおける挿入配列の役割解明についての重要な情報がえられると思われる。
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