研究課題/領域番号 |
06044192
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
渡辺 稔 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50012638)
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研究分担者 |
WALSH Michae カルガリー大学, 医学部, 教授
GILES Wayhe カルガリー大学, 医学部, 教授
宇山 佳明 (財)東京都臨床医学総合研究所 薬理研究部門, 研究員
大矢 進 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (70275147)
村木 克彦 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (20254310)
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60117794)
GILES Wayne カンガリー大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1994年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | イオンチャネル / 平滑筋 / Kチャネル / クローニング / RT-PCR法 / in situ hybridization / 心筋 / カリウムチャネル / 冠動脈 / 抗不整脈薬 / PCR法 |
研究概要 |
細胞膜一回貫通型のmini K(あるいはlsK)チャネルは腎臓において最初に発見・クローニングされた。その後、心筋を含む多くの組織でmRNAの存在が同定されており、平滑筋組織としては子宮で見出されている。心筋の遅延整流性K電流は2つの成分からなっており、そのうちの活性化の遅い成分を担うKチャネルについては不明な点が多く、遺伝子レベルで完全に同定されてはいない。lsKをその候補のうちの1つに挙げている研究者もいる。平滑筋での知見は子宮に限られている。そこで血管を含めた多くの平滑筋組織から総RNAを抽出し、既に知られているlsKチャネルcDNAをもとに作製したプライマーを用いて、RT-PCR法により総RNAを鋳型にして解析した(RT-RCR法をCalgary大で習得した)。その結果、大動脈、十二指腸、回腸、気管、膀胱からPCR産物が得られ、その塩基配列はどの組織においてもlsK遺伝子と100%相同であった。また発現の程度も各平滑筋間で同様であった。この部分の結果は投稿準備中である。 交感神経や内皮細胞の機能を薬物により除去した腸間膜動脈の潅流標本において、細胞膜2回貫通型の内向き整流性Kチャネル(IRK1)をやや選択的に抑制する低濃度のBa^<2+>を、他種のKチャネルを抑制するグリベンクラミドや低濃度のテトラエチルアンモニウムの存在下に潅流液に加えると、潅流圧が上昇した。この結果は腸間膜平滑筋の静止膜電位の維持にIRK1が寄与しており、Ba^<2+>によるIRK1抑制は平滑筋細胞に脱分極を引起こし、電位依存性Caチャネルを介するCa流入を増大させていることを示唆している。そこでIRK1遺伝子をウサギ腸間膜動脈からクローニングするため、心筋IRK1遺伝子をもとにプライマーを作製し、腸間膜動脈から得た総RNAを鋳型にしてRT-PCR法を適用した。およそ1400塩基対の長さを持つPCR産物が得られたので、これを2つの制限酵素を用いて3つの部位に分けてサブクローニングした。その結果、塩基配列はウサギ心筋IRK1と100%相同であった。さらに、内皮細胞を注意深く除去した腸間膜動脈から得たRNAからも同じPCR産物が得られたので、おそらく平滑筋由来のIRK1遺伝子と考えられる。このcDNAからcRNAを作製し、アフリカツメガエル卵母細胞に注入したところ、当然のことながら低濃度Ba^<2+>により抑制される内向き整流性K電流の発現が観察された。一方、ウサギ腸間膜動脈から単離した平滑筋にwhole-cell clamp法を適用したところ、Ba^<2+>感受性の内向き整流性K電流は極めて小さいが存在していることがわかった。他種のK電流も静止膜電位付近では極めて小さいので、幾つかの種類のKチャネルが静止膜電位の維持に寄与しており、IRK1はその一つと考えられる。以下は名市大・薬学部で行われた。これらのことから、抵抗血管の腸間膜動脈の平滑筋細胞にも心筋と同じIRK1が存在し、重要な生理的機能を果していることがウサギにおいて強く示唆された。今後、さらにin situ hybridizationを行って、腸間膜動脈の平滑筋細胞にIRK1が発現していることを示す必要がある。この部分はCalgary大で行われる予定である。 ヒト、ウサギ、ラットなどの心房筋・心室筋細胞に存在するCa非依存性の一過性K電流(A電流)と類似の電流が平滑筋細胞にも存在するが、その生理的な意味は異なっていることを我々は既に明らかにしている。このKチャネルはラット心筋においてはKv4.2かKv1.4が主であると報告されている。そこでラットの血管を含む機種かの平滑筋においてA電流を担っているKチャネルを遺伝子的に同定するため、ラット脳由来のKv1.4とKv4.2の遺伝子をもとにそれぞれプライマーを作製し、ラット平滑筋RNAを鋳型にRT-PCR法を用いて解析した。PCR産物が得られたので、今後サブクローニングを行い塩基配列を決定する予定である。Calgary大ではラット脳由来Kv1.4のKチャネルをGH3細胞に発現させ、外液K濃度変化によるチャネル活性の変化やKチャネル抑制薬の作用を検討した(投稿準備中)。 RT-PCR法を用いてクローニングしたcDNAの哺乳動物培養細胞への形質移入について、名市大での成功率が非常に低いので、その検討をCalgry大に人員を派遣して検討した。またIRK1と他の2回貫通型Kチャネルのキメラ遺伝子の作製法の検討のためCalgary大に人員を派遣した。今後これらの技術力の上昇により各テーマの新たな進展が期待される。
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