研究課題/領域番号 |
06044193
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
栗山 欣也 (栗山 欣弥) 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20079734)
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研究分担者 |
SARVEY John ユニホームドサービス大学, 医学部, 教授
NORMAN Bower バーミンガム大学, 医学部, 教授
廣内 雅明 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70181196)
木村 宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (40079736)
BOWERY Norman UNIVERSITY OF BIRMINGHAM MEDICAL SCHOOL
BOWERY Norm バーミンガム大学, 医学部, 教授
BOWERY Norma ロンドン大学, 薬学部, 教授
中安 博司 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60135465)
JOHN M.Sarve ユニホームドサービス大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
17,600千円 (直接経費: 17,600千円)
1996年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1995年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1994年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | GABA_B受容体 / 精製 / G蛋白関連型受容体 / モノクロナル抗体 / Gi蛋白 / cDNA cloning / G蛋白連関型受容体 / Gri蛋白 / G蛋白質連関型受容体 / 免疫組織化学 / アミノ酸の部分配列 |
研究概要 |
昨年度において、精製GABA_B受容体より得られたアミノ酸配列の情報を利用したPCRにより、Gタンパク連関型受容体と思われる新規のcDNAクローンを得た。このcDNAをプローブとして、ラット胎児脳及び小脳からのcDNAライブラリーをスクリーニングし、数個の陽性クローンを検出した。これらのクローンは約1〜4kbの長さを有しており、塩基配列を調べたところ、下流側はpoly A配列を持つことから3′非翻訳領域と考えられ、その上流に翻訳領域と考えられる配列が存在していた。しかしながら、データベースを検索したところ、ヒトのhepatocyte growth factorのレセプター(HGF-R)ファミリーの一種であるSEP遺伝子と同様の配列を示すことから、そのラットにおける配列であると考えられた。これらの陽性クローンには、プローブそのものの配列は存在せず、約50%のホモロジーで3′側非翻訳領域とクロスハイブリダイズしたものと考えられた。さらなるスクリーニングを試みたが、プローブそのものの配列を示す陽性クローンは得られなかった。この278bpのcDNAプローブを用いたノーザンブロッドも試みたが、明確なmRNAのバンドを認識することができなかった。 そこで、PCRによる検討を試みた。すなわち、rapid amplification of cDNA end(RACE)法を行なった。現時点で、翻訳領域と考えられる278bpの塩基配列の情報しかないので、この配列中から幾つかのforward primerとreverse primerを作製した。これらのプライマーをcDNAの両端に連結したアダプタープライマーとの間で5′-RACEと3′-RACEを行った。その結果、既知の278bpの塩基配列につながる幾つかのフラグメントを得ることができた。データベースでこの配列を検索したところ、複数のGタンパク連関型受容体としかホモロジーを示さなかった。しかしながら、既知の神経伝達物質受容体とはほとんどホモロジーを示さず、最も近いものはolfactory受容体であり、DNAレベルで約58%、タンパクレベルで約38%であった。この配列には疎水性の高い領域が存在し、膜貫通領域と考えられた。このような比較的保存性の高いと考えられる場所をはじめ、受容体間を越えて認められるような特徴的な配列と同様なものが、今回得られた配列中にも幾つか認められた。すなわち、3番目の膜貫通領域のプライマーである3F1と、精製GABA_B受容体より得られたアミノ酸配列の情報であるValの連続配列のプライマーであるMVR2からなる278bpの塩基配列は、その疎水性領域の分布より3番目の膜貫通領域の終りから5番目の膜貫通領域のはじめまでと予測された。今回、上流側と下流側の塩基配列がさらに明らかになるにつれて、5番目の膜貫通領域のところがプライマー配列中の塩基の置換により幾つかのアミノ酸配列が変化し、Valの連続配列でなくなった。しかしながら、6番目の膜貫通領域と予測されるところに、Valの連続配列が存在することが明らかとなった。これは、当初蛋白レベルの解析でValの連続配列が出現する可能性が考えられた時、Gタンパク連関型受容体の中で6番目の膜貫通領域がValの連続配列を持つ可能性が一番高いことを予測していたので、このことからも、今回明らかになった塩基配列はGタンパク関連型受容体であり、GABA_B受容体蛋白からの情報が有効であったことを示唆していると考えられる。 さらに、上述の塩基配列の結果を踏まえて、3F1とMVR2の配列を見直したプライマーを作製し、RT-PCRによる組織部位別の発現解析を行った。その結果、GABA_B受容体が発現している大脳皮質や小脳をはじめ、海馬や脊髄においてもこのcDNA配列の発現が確認された。以上の結果より、本cDNA配列がGABA_B受容体の可能性を有する新規のGタンパク連関型受容体であることが示唆された。
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