研究課題/領域番号 |
06044201
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
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研究分担者 |
BECK Sephan Imperial Cancer Research Fund DNA Sequen, 主任研究員
DAWKINS Roge University of Western Australia, 教授
GERAGHY Dani Fred Huntchinson Cancer Research Center, 助教授
TROWSDALE Jo Imperial Cancer Research Fund Human Immu, 主任研究員
安藤 麻子 東海大学, 医学部, 講師 (40101935)
BECK Stephan Imperial Cancer Research Fund DNA Sequen, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1996年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1995年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1994年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | HLA領域 / 遺伝子構成 / 嚢胞性腎疾患 / cDNAクローニング / 疾患感受性遺伝子 / 尋常性乾癬 / 耳下腺腫 / ベーチェット病 / HLAクラスI領域 / 強直性脊椎炎 / 塩基配列解析 / 疾患原因遺伝子 / 発現遺伝子 / HLA / コスミドクローン / 多型性 / コスミドコンティグ / ホモロジー解析 / ショットガン法 / YACクローン / ショットガンシークエンシング |
研究概要 |
ヒトの主要組織適合複合体であるHLA抗原遺伝子群は、免疫応答に関与し顕著な遺伝的多型性(アロ抗原)をしめす白血球抗原を支配しており、しかもさまざまな疾患に対する感受性を規定しているという。興味ある特徴を有している。このHLA領域は4,000kb以上からなり、HLA遺伝子はもちろん、HLA遺伝子以外の機能不明の新しい遺伝子が次々と明かにされており、これらの非HLA遺伝子とHLA抗原と相関する疾患との関連が注目されている。そこで、本研究は、我々と同様にHLA領域のYACクローンを多数分離している英国ICRF研究所とサンガーセンター、オーストラリア西オーストラリア大学、米国フレッドハンチンソン研究所との共同研究として、HLA遺伝子領域の構造解析を行ない、次のような知見がえられた。 HLA-DP領域よりセントロメア側の領域については、常染色体劣性の嚢胞性腎炎の発症に関与する可能性の高いHKE6遺伝子のcDNAクローン及び、HKE2、HKE4遺伝子のcDNAクローンを分離した。研究分担者のJ.Trowsdaleはすでにこの領域にRING1の遺伝子を分離しているので、研究代表者らと共同してこの領域180kbを含むYACクローンのコスミドコンティグを作成した。その結果、セントロメア側より、HSET-HKE1.5-HKE2-HKE3-RING1-HKE6-HKE4-RXRBの各遺伝子が同定された。また、嚢胞性腎炎の発症に関与する可能性の高いHKE6遺伝子、及びRING1、HKE4を含むコスミドクローン(42kb)の全塩基配列をショットガン法によって決定した。その結果、cDNAクローンとの塩基配列の比較から、RING1は、5エキソン、HKE4は、7エキソン、HKE6は、9エキソンから構成されていることが明らかになった。これらの3遺伝子以外の領域は、Alu配列が密に存在することが明らかになった。 一方、HLAクラスII-III領域間についても、同様に450kbのコスミドコンティグを作成し、一部については塩基配列を決定した。その結果、ヒトの耳下腺腫の転座切断部位近傍に位置し、マウスのint-3遺伝子のヒトホモログ遺伝子であることから、耳下腺腫の腫瘍化に関与している候補遺伝子として、NOTCH4を単離した。さらにNOTCH4のコスミドフラグメントをプロープとして、合計4kbの長さを持つNOTCH4 cDNAクローンを分離した。 このNOTCH4のシグナル配列領域にみいだされたCTG繰り返し配列とNOTCH4遺伝子の多型性を日本人健常者及び耳下腺腫の患者について検討したところ、CTG繰り返し配列には5種類の多型性が存在したが、耳下腺腫患者の腫瘍組織では繰り返し配列数の増加は認められなかった。さらに、NOTCH4遺伝子とその周辺領域について、ジェノミックサザンハイブリダイゼーションによって観察される欠失や転座などの異常は、現在までのところ認められていない。 また、HLAクラスI領域については、原因遺伝子がマップされる疾患のうち、HLA-B51と相関するベーチェット病、HLA-Cw6とCw7に相関する尋常性乾癬に注目した。まずHLA領域の散在する19個の多型をしめす遺伝マーカーを利用して、ベーチェット病はHLA-BとMICA遺伝子周辺の非HLA遺伝子、尋常性乾癬はHLA-C遺伝子周辺の非HLA遺伝子が、原因遺伝子であることをつきとめた。そこで、両疾患の非HLA遺伝子の単離のために、クラスI遺伝子領域についての構造解析を行った。すなわち、MICA-HLA-A-HLA-C遺伝子付近をカバーするコスミドクローン14個の計452kbの塩基配列を決定した。これらの塩基配列のデータについてホモロジーの検索やコーディング領域の予測により、遺伝子の存在が予想された領域について、塩基配列データに基づいて設計したプライマーを用いたRT-PCR、ノザンハイブリダイゼーション、cDNAライブラリーのスクリーニングによるcDNAクローンの単離により、新発現遺伝子の同定を行った。その結果、この領域に21個(これらの内、10個は既知の遺伝子で11個が新遺伝子)の遺伝子とESTとヒットする7ヶ所の領域をみいだすことができた。また、この領域に35個のdinucleotide繰り返しが見い出され、今後本領域にマップされる疾患の感受性遺伝子の同定に有効な遺伝マーカーになると考えられた。
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