低次元構造半導体とデバイス

• 研究課題/領域番号: 06044202
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 上村 洸 東京理科大学, 理学部, 教授 (60011475)
• 研究分担者: PEPPER Micha Cambridge大学, 物理, 教授 ; LIANG Yao Cambridge大学, 超伝導センター, 所長 ; NICHOLAS Rub Oxford大学, 物理, リーダー ; EAVES Lawren Nottingham大学, 物理, 教授 ; BUTCHER Paul Warwick大学, 物理, 教授 ; SKOLNICK Mau Schefield大学, 物理, 教授 ; 三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949) ; 浜口 智尋 大阪大学, 工学部, 教授 (40029004) ; 中山 隆史 千葉大学, 理学部, 助手 (70189075) ; 柊元 宏 東京工業大学, 像情報施設, 教授 (50013488) ; 川路 紳治 (川路 紳路) 学習院大学, 理学部, 教授 (00080440) ; 安藤 恒也 東京大学, 物性研究所, 教授 (90011725) ; 青木 秀夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50114351) ; LIANG W.Y. IRC in Superconductivity, Univ.of Cambridge Director ; NICHOLAS Rob Oxford大, 物理, リーダー ; イーブス ローレンス Nottingham大, 物理, 教授
• 研究期間 (年度): 1994 – 1995
• 研究課題ステータス: 完了 (1995年度)
• 配分額: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円); 1995年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円); 1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
• キーワード: 日英共同研究 / 半導体超格子 / 超強磁場 / 磁気光学 / 磁気輸送現象 / 量子ホール効果 / 高温超伝導 / 総括会議 / メソスコピック系

研究概要

当共同研究は、文部省と英国科学工学研究会議(EPSRC)との相互協定に基ずき、短周期半導体超格子、ヘテロ接合、量子細線、量子ドット等ナノスケールの低次元構造半導体物質についてその電子構造及びメスソコッピク領域を主とした種々の量子現象を明らかにし、その特性をデバイスに応用する基礎研究を行うために、日英の半導体分野の研究者が3年間にわたって共同研究を行うことで、平成3年4月にスタートし、平成6年3月に終了したが、平成6年4月より銅酸化物高温超伝導体もテーマに加えて2年間継続することになり本平成8年3月をもって共同研究は以下に報告するように成功裡に終了した。
本共同研究の一つの大きな特色は、英国側分担者・研究協力者(以下研究者と呼ぶ)がEPSRCのプロジェクトで作成した試料をもって、東京大学物性研究所超強磁場施設に参り、三浦分担者を初めとする日本側研究者と共同して磁気光学及び磁気輸送現象について実験を行い、その結果を両国の実験家・理論家が協力して解析・討論することにより、顕著な科学的成果を挙げてきたことである。
具体的な共同研究の内容としては、まず平成7年度に英国側研究者Nicholas分担者、及びEaves分担者とその協力者Chamberlain博士が、GaInAs/GaAs量子井戸等の試料を英国より持参し、150テスラまでの超強磁場のもとで磁気光学及び磁気輸送現象の測定を行った。上村代表者のグループは平成6年に高温超伝導の新理論を発表したが、この理論について英国側Liang分担者から是非講演をして討論をしたいとの強い要望があり、ケンブリッヂ大学超伝導研究所に滞在して上村代表者の研究協力者である江藤幹夫博士とともに、共同研究を行った。上村がセンターに滞在中に上村理論グループとケンブリッヂ大超伝導センター間で高温超伝導に関する共同研究を平成8年度以降もBritish Council東京事務所の費用で続けることが正式に決定し、その計画によりウイットレー博士が英国側の費用で平成7年5月に理科大に滞在した。江藤博士Pepper分担者とメソスコピック系の諸現象についても共同研究を行った。さらに平成7年2月末には、青木分担者の協力者Maksym博士が東京大学物理学教室に参り、量子ホール効果について共同研究を始めた。Peter Maksym博士は平成7年度も引き続き東京大学理学部物理学教室と東京理科大学に滞在し、結合した量子ドット中の少数電子の振舞いについて主として青木分担者と共同研究を行い平成7年5月6日に帰国した。またケンブリッジ大学のYao Liang分担者が10月28日から1週間と12月13日から1週間の2回東京理科大学に滞在し、上村研究代表者と高温超伝導の機構について共同研究を行った。Maksym及びLiang両博士の費用は、文部省・英国科学技術院の覚書に基ずき、すべて英国側の支出による。
他方日本側からは、青木、安藤、川路、三浦の4分担者の研究協力者百瀬英毅博士が平成7年7、8月の夏期休暇中に渡英し、共同研究を行った。(1)安藤、青木はSheffield大学のM. S. Skolnick分担者の研究室に滞在し、変調ドープ量子井戸における発光スペクトルの磁気振動の理論とそれを実験的に観測する可能性について論議を行った。(2)川路、三浦・百瀬はNottingham大学のL. Eaves分担者の研究室で、トンネルデバイスの強磁場下磁気トンネル現象に現れるカオス的振る舞いについて昨年度物性研究所での共同実験で得られた実験結果について討論を行った。また三浦はOxford大学にR. J. Nicholas分担者を訪ね、同大学に設置されているパルス強磁場施設を見学し、強磁場発生技術について討論を行った。
2年間の共同研究の纏めるために平成7年8月13日、14日の両日、英国のEPSRCとBritish Councilの東京事務所の後援のもとにNottingham近郊のPeakDistrictにあるThornbridg HallでUK-Japan N+N Meetingが開かれた。英国側から18名、日本側から14名が出席した。このN+N Meetingは1990年のAbington,1991年の鳥羽、1993年のAbingtonに続くもので、今回で4回目にあたる。今回のような会議は日英間にさらに多くの実りある協力体制を築く上で非常に有意義であった。なお、上村代表者は現地参加の予定であったが、上村の父の急病のため参加をとりやめた。

研究成果

• [文献書誌] 上村 洸: "Electronic Structures and Renormalized Fermi Surface of LSCO" J. Physical Society of Japan. 64. 2585-2593 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 安藤恒也: "Magetic Properties of Ensembles of Carbon Nanotubes" J. Physical Society of Japan. 64. 4382-4391 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 青木秀夫: "Manifestation of spin degrees of freedom in the double fractional quantum Hall system" Physical Review B. 52. 13780-13783 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 川路紳治: "Electron Concentration and Mobility Dependence of Breakdown of the Quantum Hall Effect" J. Physical Society of Japan. 64. 1881-1884 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 三浦 登: "High Mangetic Fields in Semiconductor Physics" Proc. 22nd. Int. Conf. Phys. Semiconductors.1111-1118 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 中山隆史: "Abinitio Calcalation of Two-photon-absorption Spectra of Semiconductors" Physical Review B. 52. 4986:4997 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 上村洸,中尾憲司: "電子物性論" 培風館, 1-298 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Hiroshi Kamimura: "Electronic Structures and Renormalized Fermi Surface of LSCO" J.Physical Society of Japan (J.Phys.Soc.Jpn.). 64. 2585-2593 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuneya Ando: "Valley Mixing and Interface Fluctuations GaAs/AlAs Super lattices" Jpn.J.Appl.Phys.34. 4522-4525 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuneya Ando: "Magnetic Properties of Ensembles of Carbon Nanotubes" J.Phys.Soc.Jpn.64. 4382-4391 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hideo Aoki: "Manifestation of spindegrees of freedom in the double fractional quantum Hall system" Phys.Rev.B. 51. 7874-7877 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hideo Aoki: "Composite-fermion analysis of the double-layr fractional quantum Hall system" Phys.Rev.B. 52. 13780-13783 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Shinji Kawaji: "Electron Concentration and Mobility Dependence of Breakdown of the Quantum Hall Effect" J.Phys.Soc.Jpn.64. 1881-1884 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Shinji Kawaji: "Phase Boundaries between Quantum Hall Metal and Hall Insulator in Si-MOSFET's and Many-Body Enhancement of Valley-and Zeeman-Splitting" J.Phys.Soc.Jpn.64. 2311-2315 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Takashi Nakayama: "Ab initio Calculation of Two-photon-absorption Spectra of Semiconductors" Phys.Rev.B.52. 4986-4997 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Noboru Miura: "High Magnetic Fields in Semiconductor Physics" Proc.22nd Int.Conf.Phys.Semiconductors.1111-1118 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hiroshi Kamimura (One of the authors): Elsevier Science S.A.Materials science education, 15-21 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] 上村洸: "Electronic Structures and Optical Properties of (GaP)n(AIP)n" Japanese J.applied Physics. 33. 6121-6128 (1994)
• [文献書誌] 安藤恒也: "Valley Mixing in Short-Period Superlattices and Interface Matrix" Physical Review B. 47. 7240-7252 (1993)
• [文献書誌] 青木秀夫: "Electronic structure of superhoneycomb systems" Physical Review Letters. 71. 4389-4392 (1993)
• [文献書誌] 川路紳路: "Quantu transport in semiconductor surface and interface channels" Surface Science. 299/300. 563-586 (1994)
• [文献書誌] 浜口智尋: "Strain Evaluation at Si/Sio2 Interface Using the Electroreflectance Method" Japanese J. Applied Physics. 32. 2735-2739 (1993)
• [文献書誌] 三浦登: "High Field Cyclotron Resonance and Valence Band Structure in Semiconducting Diamond" Physical Review B. 48. 10917-10925 (1993)
• [文献書誌] 上村洸,仁科雄一郎,水田正志(編者): "Physics and Chemistry of Nanometer-scale materials" Elsevier Sequoia, 202 (1993)
• [文献書誌] 上村洸(編者): "シュミレーション" サイエンス社, 178 (1993)
• [文献書誌] 青木秀夫,塚田捷,M.Schluter,F.Levy(編者): "New Horizons in Low-Dimensional Electron Systems" Kluwer academic Publishers, 470 (1992)
• [文献書誌] 安藤恒也,浜口智尋,難波進(編者): "Science and Technology of Mesoscopic Structures" Springer-Verlag, 300 (1992)