研究課題/領域番号 |
06044214
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
目加田 英輔 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20135742)
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研究分担者 |
KLAGSBRUN Mi ハーバード大学, チルドレンズホスピタル, 教授
関口 清俊 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 教授 (50187845)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部生化学教室, 助手 (60202272)
三田村 俊秀 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80268846)
馬田 敏幸 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (30213482)
岩本 亮 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (10213323)
常岡 誠 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50197745)
MICHAEL Klag ハーバード大学, チルドレンズホスピタル, 教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
1996年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1994年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | ジャクスタクライン / インテグリン / HB-EGF / CD9 / TM4ファミリー / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / 膜結合型細胞増殖因子 / 細胞接着 / ジフテリア毒素リセプター / 細胞増殖因子 |
研究概要 |
膜結合型細胞増殖因子HB-EGFは、本研究の共同研究者である東山繁樹、クラグスバーンらによって1991年に見いだされた新しい増殖因子であるが、一方で目加田がこれまで広範な解析を進めてきたジフテリア毒素リセプターでもある。本研究は、ジフテリア毒素の側からの目加田のグループのこれまでの知見、解析方法、実験材料に関する集積と、HB-EGFの発見者であるクラグスバーン博士の増殖因子の側からの知見を総合して、HB-EGFのジャクスタクライン機構についての解析を行うことを目的としている。 平成6-8年の共同研究を通じて以下のような成果を得ることができた。 (1)HB-EGFにジャクスタクライン活性があることの実証 HB-EGFを発現した細胞とEGFファミリー増殖因子依存的に増殖するレシピエント細胞を共培養し、レシピエント細胞が細胞接着依存的に増殖するかどうかを調べたところ、増殖促進が認められた。この増殖促進活性は、HB-EGFの発現量に依存し抗HB-EGF抗体で中和されること、この活性はトランスウェルで両者の細胞を隔離すると認められなくなることから、HB-EGFのジャクスタクライン活性によるものであることが示された。 (2)DRAP27/CD9によるジャクスタクライン活性の増強 ジフテリア毒素リセプターアソシエ-ト分子として見いだしたDRAP27/CD9のジャクスタクライン活性への影響を調べたところ、DRAP27/CD9はHB-EGFのジャクスタクライン活性を著しく上昇させることが明らかになった。一方HB-EGFのパラクライン活性にDRAP27/CD9は影響しないことが判った。 (3)無毒性ジフテリア毒素によるHB-EGFマイトジェニック活性の阻害 ジフテリア毒素あるいはその無毒性ミュータントがHB-EGFのEGFドメインに結合し、その結果HB-EGFの細胞増殖活性を阻害することが判り、HB-EGFの中和抗体と同じ目的で使用できることを見つけた。HB-EGFのマイトジェニック活性を中和する抗体の分離は一般に極めて困難で、この発見は今後HB-EGFの生理活性を調べる上で極めて重要である。また、ジフテリア毒素は他のEGFファミリーの増殖因子には結合しないこと、を見いだした。 (4)ヘパラン硫酸プロテオグリカンの関与 HB-EGFのジフテリア毒素リセプターとしての作用に、ヘパリン様分子の関与が必要であることをヘパラン硫酸プロテオグリカン欠損細胞や大腸菌で合成したリコンビナントHB-EGFを用いて明らかにした。この事は、HB-EGFにヘパラン硫酸プロテオグリカンがアソシエ-トしていることを意味しており、ジャクスタクラインにおけるヘパラン硫酸プロテオグルカンの関与が示唆された。 (5)パラクライン-ジャクスタクライン転換 TPA刺激により膜に結合したHB-EGFが急速に切断されて培養液中に分泌されることを見いだした。この事実は、ジャクスタクラインからパラクラインへの転換が引き起こされることを意味しており、この転換がC-キナーゼを介する機構で制御されている可能性を示した。 (6)インテグリンα3β1のアソシエーション 免疫沈降による共沈殿、架橋試薬によるクロスリンク実験から、DRAP27/CD9にインテグリンα3β1がアソシエ-トしていることを明らかにした。さらに、インテグリンα3β1は、DRAP27を介してHB-EGFとアソシエ-トしていること、3者のコンプレックスが細胞間接着部位に局在していることを見いだした。 以上の成果より、HB-EGFが単に増殖因子として単独に存在するのではなく、細胞接着因子や細胞外マトリックス蛋白質を含んだ機能的複合体として存在し、細胞接着を介した細胞間相互作用に働いていることが示唆された。
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