研究課題/領域番号 |
06044215
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
狩俣 真彦 沖縄大学, 法経学部, 教授 (30078018)
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研究分担者 |
松鷹 彰弘 沖縄大学, 法経学部, 教授 (90239020)
平良 朝男 沖縄大学, 法経学部, 教授 (50078010)
徐 明珠 香港, 中文大学, 副教授
郭 承敏 沖縄大学, 法経学部, 教授 (40234637)
奥山 正剛 沖縄大学, 法経学部, 教授 (60140985)
山門 健一 沖縄大学, 法経学部, 教授 (80078013)
GUO CHEN Min DPT.OF LAW AND ECONOMICS,UNV.OF OKINAWA,PROFESSOR
MING CHOO Chee CHINESE UNIVERSITY OF HONG KONG,ASSOCIATED PROFESSOR
除 明珠 香港, 中文大学, 助教授
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1994年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 国際都市形 / 香港の返還 / 自由貿易地域 / 国際観光リゾート / 国際交流協力 / 蓬莱経済圏 / 東アジア経済 / 内発型観光開発 / 国際都市構想 / 国際交流・協力 / 蓬来経済圏 / 中台関係(両岸関係) / 華南経済圏 / 改革開放政策 / 香港返還 / APEC / ASEAN / 両岸経済交流 / 中継貿易 / 東アジアの経済発展 / 中国・華南経済 / クリアランス船 / 郷鎮企業 / 中・台・沖関係 |
研究概要 |
調査を通して、沖縄と東アジア諸国との、さまざまなレベルでの交流の可能性を探ってきた。台湾との交流のほかに、中国福建省との間には、姉妹都市関係だけでなく、航路も開設された。また中国やベトナムなど、東アジア諸国に進出し、現地で生産する沖縄企業もあらわれるようになった。 本研究は、中国・華南地域の調査から開始したが、まず進出した日本企業の実態、沖縄との交流の可能性などをテーマに調査を行った。研究の過程で、研究成果を論文、著書等にまとめ、あるいは新聞でも発表し、積極的に沖縄経済の進むべき方向について提言も行ってきた。また、一昨年来、沖縄の基地問題を契機にして、沖縄都市形成構想、沖縄の自由貿易地域の拡充整備、国際観光保養基地など、沖縄振興策に関する論議が急速に高まった。これにについても積極的に発言し、自由貿易地域を拡充することによって、パソコンなど中継加工基地としての可能性があることなども明らかにした。 また沖縄振興策についての論議が高まるなかで、台湾の与党、国民党による沖縄投資計画も明らかになった。規制緩和、特別措置などを条件にした八重山におけるリゾートホテルの建設、自由貿易地域における家電の組立などである。この背景には、香港返還後の台湾の対中国中継基地という問題もあると思われる。この間、石垣港を経由して中国に向かう台湾の貨物(クリアランス船)も増えている。しかし同時にまた、台湾と中国の間には直接往来の動きもあることも事実である。中国と台湾の関係、それに沖縄が加わった蓬莱経済圏も我々の大きな関心事であった。 まちづくりについての比較調査もかなり進展した。中国や熱帯アジア諸国を調査した研究の成果は、報告書にまとめた。調査をもとに「香り」をテーマにしたまちづくりを構想したものだが、沖縄では芳香木の生産、ハ-ブの生産も拡大し、本土出荷が始まっている。また香りの商品の開発も進められている。沖縄、奄美大島のいくつかの自治体においては、すでに「香りのまちづくり」の具体化に動き始めた。 沖縄の観光産業は、90年以降、入込数の鈍化、観光消費や宿泊施設稼働率の低下など「成熟期」の様相を呈している。これは現在の「誘致・外来型リゾート」の限界を示すものであり、さらなる拡大のためには市場をアジアNIESやASEAN諸国に求めざるを得ない。しかし、これら市場のニーズは沖縄の自然や文化にないことから、沖縄としては業務を目的とした旅行、コンベンション・コングレスなどの形でアジア・日本本土間のビジネスの交流のための場を提供することに力を入れるべきであろう。また国内市場に対しては、個性化=多様化した観光需要に対応する、自治体や住民の主導による「内発型リゾート」の振興にも取り組まなくてはならないと思われる。内発型の開発の必要性は、沖縄の産業全体が直面している問題でもある。 会計制度に関してこれら東アジア諸国の大きな特徴は、欧米の会計基準を基礎にしながらも、そこには見られない独自の会計的情報を財務諸表に盛り込もうとしている点にあろう。香港とシンガポールの例に代表的に見られるようである。香港の会計基準書はイギリスの会計基準書を基礎にしており、シンガポールの会計基準書は国際会計基準を基礎にしているといえるのであるが、しかし、各国がそのおかれた経済環境の中で、独自の会計的情報を作り出そうとしており、個々の会計基準書の中にその動きを見ることが出来る。わが国は、特に沖縄は、アジアの一国として、今後、アジア諸国と密接な経済的関わりを保っていく。そのことを考えれば、こうしたアジア諸国の独自の環境から生み出されてきた会計的情報を検討し、わが国の経済環境に適合させながら取り込んでいくことがまさに求められるのである。 沖縄振興策についての論議がこれほどまで高まることは当初予想できなかった。新しい状況のなかで、われわれの研究はさらに継続を迫られている。
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