研究課題/領域番号 |
06044226
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
栗木 恭一 宇宙科学研究所, 電気推進, 教授 (20013659)
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研究分担者 |
國中 均 宇宙科学研究所, 宇宙推進, 助手 (60234465)
ヘイステングス ダニエル マサチュセッツ工科大学, 航空宇宙, 教授
趙 孟佑 九州工業大学, 電気工学科, 助教授 (60243333)
都木 恭一郎 宇宙科学研究所, 宇宙推進, 助教授 (40172142)
佐々木 進 宇宙科学研究所, 宇宙エネルギー, 助教授 (00092221)
小野田 淳次郎 宇宙科学研究所, 飛翔体構造, 教授 (20013740)
名取 通弘 宇宙科学研究所, 宇宙構造物, 教授 (00013722)
HASTINGS Daniel E Massachuset Institute of Technology
ヘイスティングス ダニエ マサチュセッツ工科大学, 航空宇宙, 教授
ヘィスティングス ダニエ マサチュセッツ工科大学, 宇宙航空, 教授
清水 幸夫 宇宙科学研究所, 宇宙推進, 技官
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 高電圧ソーラーアレイ / 電離層プラズマ干渉 / 宇宙実験観測フリーフライヤーSFU / 2次元展開 / SFU / Space Flyer Unit / 地上回収 / 宇宙実験 / スペースフライヤーユニット / 電離層プラズマ / プラズマ干渉 |
研究概要 |
宇宙活動を支える電力供給源として太陽電池は信頼性や実績ともたいへんに優れている。需要電力の増大に対応するためには光発電素子としての効率改善と共に、太陽電池パネルの大型化や発電された電力を高電圧/低損失にて送電する技術を開発する必要性がある。太陽電池パネルを大型化することは一方で限られたロケットフェアリング内に小さく畳み込むという相矛盾した技術を要請する。また高電圧の宇宙での利用は宇宙環境からの影響を受けることが憂慮されている。宇宙科学研究所は無人宇宙実験観測フリーフライヤーSFUに搭載する2次元展開高電圧ソーラーアレイ実験を開発した。これは特殊な折り方で畳み込まれた膜面を宇宙でXY2次元方向に展開し、そのうえに搭載された太陽電池にて最大260Vの高電圧光発電を行うことができる。SFUは文部省、通産省、科学技術庁が共同で開発する再使用型の人工衛星である。高電圧ソーラーアレイ実験はSFUの第1フライトの搭載機器として、本体システムとともに昭和63年度より開発が始まった。栗木教授はマサチュセッツ工科大学と電気推進に関する情報交換を行っていた機会を通じて日本で進められているSFUの計画について紹介したところ、高電圧ソーラーアレイ実験に興味がもたれ、宇宙科学研究所が共同実験者としてマサチュセッツ工科大学ヘイスティングス助教授(現教授)を招待することとなった。双方で互いの研究機関に滞在し意見/情報交換を行いながら共同研究を進め、当該宇宙実験機器の開発を行ってきた。 平成6年度は、完成した高電圧ソーラーアレイ実験機器で用いられる太陽電池アレイの特性値を用いて電離層プラズマ干渉に関する数値シミュレーションおよび実験室模擬実験を日米双方で実施した。その結果、発生するであろう干渉の程度を定量的に予測し日米研究者間にて打ち合わせを行った。これらの研究/打ち合わせを踏まえ、軌道運用計画を最終的に立案し、地上支援装置のメインコンピュータに軌道運用コマンドとして登録した。実験機器の回収を速やかに実施するためにNASA関連施設において打ち合わせを行い、NASAの厳しい基準を満たすために多くの時間と労力を費やしたがようやくその審査に合格した。 高電圧ソーラーアレイ実験はSFUに搭載され、種子島宇宙センターから宇宙開発事業団のH-2ロケットにより平成7年3月に打ち上げられた。宇宙科学研究所内に設置されるコントロール・センターから約1年間、軌道運用された。当該実験は米国研究分担者をコントロール・センターに招き、共同で実施し宇宙実験データを取得した。先進的な構造を採用した高電圧ソーラーアレイを宇宙で展開しその映像を取得することができた。展開の様子は地上試験にて得られたものと異なり、片寄がなく平面性も確保できていた。SFUは平成8年1月にスペースシャトルにより日本としてはじめて地上回収した人工衛星となった。米国での地上作業を完了し3月末に日本に輸入された。この間、回収機器の分析結果と宇宙実験データの照合するために、日米研究者の打ち合わせ、NASA関連施設への調査、学会への発表、を行った。 平成8年度は日本に再輸入された宇宙実験機器を本体より取り外し、個々機能の確認、分解、分析を行った。約1年間宇宙環境に曝された表面は予想外に変色しまた沢山の宇宙デブリの衝突痕を見ることができる。一方、2次元展開の機構は特段の変化はなく地上に帰還後もその機能を維持していた。太陽電池も破損はなく全て見い出されなかった。宇宙飛翔データの分析も進められ、2次元展開アレイの作動によると思われる衛星の振動を捕えることができた。これらの成果を国際シンポジウムにて口頭発表し、また実験機器の回収を実施した米国NASAへ出向き報告した。 日本として初めて開発する再使用型人工衛星SFUを完成させ当初の計画どうりに打ち上げ回収できたことは世界の宇宙開発史上歴史的な事項である。これに搭載する宇宙実験を日米の研究者の努力により達成できた意義は大きい。地理的時間的ギャップを乗り越えるために本国際学術研究は有効に機能することができた。
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