研究課題/領域番号 |
06044236
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道教育大学 (1995) 岡崎国立共同研究機構 (1994) |
研究代表者 |
下山 雄平 (1995) 北海道教育大学, 教育学部函館校, 教授 (50123948)
亘 弘 (1994) 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (10079692)
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研究分担者 |
HYDE Jim ウィスコンシン医科大学, 教授
BUDIL Dave B ノースイースタン大学, 助教授
SWARTZ Harol ダートマス医科大学, 教授
EHRNBERG And ストックホルム大学, 教授
BERLINER Lau オハイオ州立大学, 教授
FREED Jack コーネル大学, 教授
藤井 博匡 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (70209013)
恵良 聖一 岐阜大学, 医学部, 教授 (30152002)
大矢 博昭 山形テクノポリス, 生体ラジカル研究所, 副所長 (00025389)
牧野 圭祐 京都工芸繊維大学, 教授 (50159141)
小野 光弘 山形大学, 工学部, 教授 (60007010)
西川 弘恭 明治鍼灸大学, 教授 (40079695)
HAROLD Swartz Dartmouth Medical College
LAURENCE Berliner Ohio State University
ANDES Ehrenberg Stockholum University
JACK Freed Cornell University
DAVE Budil Northeastern University
JIM Hyde Medical College of Wisconsin
HYDE J. ウィスコンシン医科大学, 教授
BUDIL D.B. ノースイースタン大学, 助教授
SWARTZ H.M. ダートマス医科大学, 教授
KOSCIELNIAK オハイオ州立大学, 助教授
EHRNBERG A. ストックホルム大学, 教授
BERLINER L. オハイオ州立大学, 教授
FREED J.H. コーネル大学, 教授
下山 雄平 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50123948)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
1995年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1994年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | バイオラジカル / 生体オキシメトリー / パルスESR / 超強磁場ESR / 多量子ESR / ESRイメージング / スピンラベリング法 / ベクトルESR法 / 脂質単分子膜 / 空間次元 / 核酸の動的構造 / パルスESR法 / in-vivoESR / 生体内フリーラジカル / ESRオキシメトリー / L-バンドESR |
研究概要 |
近年、生体系の構造と機能に関する研究において、生体超分子系の存在が注目を浴びている。超分子とは、それ自体すでに高次機能をもつタンパク質はDNA等の高分子どうし、又は低分子量の脂質、ペプチド等の生体分子が凝集した系を意味する。サブユニットの集合構造、生体膜及びクロマチン等は生体超分子であり、構成素子間の相互作用と調節によって、さまざまな生理活性を支配している。一方、生体超分子は本来非平衡熱力学系として定義され、ゆらぎの中で生体系の機能・調節を行う。それ故、個々の分子のゆらぎ、すなわち動的性質および動的構造の情報が必須となる。この様な情報を得るには、1 生体分子の拡散運動特に並進拡散および回転拡散の知見と、2 広い周波数帯域にわたる同時測定を一挙に行わなければならない。電子スピン共鳴法(ESR)は局所の情報検出と動的構造に極めて敏感な分光学的手法として知られ、現在迄低分子物質を中心とする生体系に応用されてきた。 本研究計画では、多種類のESRを組み合わせた多相ESR分光法を生体超分子系に応用し、その構造と動的ゆらぎを解明することを目的とした。さらに、ESR画像法によって高次の細胞レベルの超分子構造の解析を行った。班員による今までに蓄積してきた研究成果をふまえ生体超分子系の動的構造研究を基礎として、生体オキシメトリー(酸素計測)さらに、生体ラジカルの動態の二点に主眼をおき調査研究を行った。また、国際規模の共同研究により単独研究を行う以上の相乗効果を狙うべく、多相ESR分光法の世界第一線の研究者を動員した。この研究組織により生体超分子系の動的構造の広帯域、多モードにおける理解が可能となった。 第一に、広い帯域周波数にわたる生体超分子系の同時測定を行うべく、多相ESR、すなわち、CW、飽和移動、ベクトル、パルス多次元ESR、CW-ESR画像そしてパルス-ESRイメージングを組み合わせ総合的検討を行った。1)生体モデル脂質膜の広帯域測定をS,X,QおよびFIR (250 GHz)周波数帯で行い,ゆらぎの周波数分散を明らかにした。さらにCW-ESR画像装置を用い、並進拡散を解析した。2)蛋白質のザブユニット間動的構造について、広帯域測定とCW-ESR画像法を用いて分散特性と運動モード解析を行った。3)生体膜中の、脂質や蛋白質の構成素子間の相関の構造を明らかにし、分散特性運動モード解析を行った。ベクトルESRを用い素子間のエネルギー移動を調べ,脂質-蛋白質の相互作用を究明した。特に、生体における酸素の直接計測、超高磁場ESR、新しいタイプのスピンラベル及びESRイメージングの展開がなされた。特筆すべきは、FreedとBudilによる超高磁場ESR法である。これは、最先端のゆく新しい研究分野である。 第二に、生体ラジカルの動態と生体オキシメトリー(酸素計測)研究である。従来のESRでは困難な生体の細胞外在性または内在性フリー・ラジカルのスペクトルおよび緩和計測を可能にすべく、分光装置に幾つかの改良と開発を行った。まずパルスLバンドESRシステムの作製と実験小動物用を対象としたそのイン・ビボESR装置を開発した。cw L-band ESR装置の発展型としての装置は小動物用のレゾネーターも含め日米のそれぞれの施設で試作し、ファントムによる計測を試行し一部成功している。電気回路の改良にノイズの混入のない小動物の可能なシステムとし、上記目的を達成する予定である。 以上を要するに、二年度にわたる研究において、生体での酸素の直接計測、超高磁場ESR、新しいタイプのスピンラベル及びESRイメージングの展開がなされた。これらは、生体研究の新しいトレンドであるばかりでなく、同時に最先端のESR分光技術の開発を促し、生物科学には不可欠の学問領域である。本研究計画では、各ESR分野の権威を配し、かつまた最先端をゆく生物科学研究の若手研究者を配置し知識の融合が行われた。この結果、生命現象の解明と解析測定技術の開発という、極めて稀有な組み合わせの学問的成果が得られた。
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