研究課題/領域番号 |
06044243
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | (財)日本生物科学研究所 |
研究代表者 |
山内 一也 日本生物科学研究所, 主任研究員 (30072888)
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研究分担者 |
小船 富美夫 国立予防衛生研究所, 主任研究員 (80142644)
布谷 鉄男 (布谷 鉄夫) 日本生物科学研究所, 主任研究員 (80099994)
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助手 (80196774)
鎌田 寛 日本大学, 農獣医学部, 講師 (30139050)
甲斐 知恵子 東京大学農学部, 助教授 (10167330)
AMADA Deiaro フランス熱帯獣医学研究所, 主任研究員
THOMAS Barre 英国家畜衛生研究所, 主任研究員
BARRETT Thomas BBSRC Institute for Animal Health, UK
DIALLO Adama Institute d'Elevage et de Medecine Veterinaire des pays Tropicaux, France
DIALLO Adama フランス熱帯獣医学研究所, 主任研究員
BARRETT Thom 英国家畜衛生研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
1995年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1994年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 牛疫ウイルス / 病原性 / 分子疫学 / 組換えワクチン / 遺伝子解析 / PPRウイルス / 分子生物学 / 細胞性免疫 |
研究概要 |
牛疫は発展途上国における家畜の最重要ウイルス疾患である。その原因ウイルスである牛疫ウイルスについての基礎的研究は、日本、英国、フランスが世界の最先端を担ってきている。本研究では、効果的な共同研究体制を確立し、牛疫ウイルスの分子性状、発病機構の分子レベルでの基礎的研究を行い、その成果を牛疫流行地での分子診断法、疫学調査、予防対策の確立に寄与することを目的とした。また、牛疫は人の麻疹に相当するウイルス疾患であり、発熱、下痢などの激しい臨床症状とともに、免疫不全など基礎的な面でも多くの興味ある病原性を示す。本研究では、自然宿主である牛について、これらの多様な病原性の分子機構の解明をも合わせ行った。 主な成果は以下の通りである。 1。牛疫ウイルスの病原性に関するウイルス学的・免疫学的研究 (1)ウサギの感染モデルについて、ウサギT細胞および牛疫ウイルスNP蛋白に対するモノクローナル抗体を用いて、牛疫ウイルスの標的組織であるリンパ組織での病理組織学的検索およびウイルス動態の解析を行った。最初、ウイルス抗原はCD5+T細胞の領域に限局し、ついで全リンパ組織に拡がることを明らかにした。一方、リンパ組織病変は、ウイルス増殖に伴って激しい壊死性変化を示したが、急速に回復することが認められた。 (2)これまで不可能であった強毒牛ウイルスの力価測定法を、B95a細胞の利用により確立した。このシステムで牛疫ウイルス感染牛について、ウイルス増殖が、病変形成に一致して起きていることを明らかにした。 2。組換え牛疫ワクチンに関する研究 牛疫ウイルスH遺伝子を組み込んだワクチニアウイルス・ベクターワクチンについて、牛における有効性、免疫持続性、安全性、遺伝的安全性を検討した結果、すべての面で非常にすぐれていることを確認した。すでに明らかにされている高い耐熱性、自然感染との鑑別システムの利用などと合わせ考え、高い実用性のあることが明らかにされた。 組換え牛疫ワクチンの免疫機構について、これまでに抗体よりも細胞性免疫の重要性を示唆する成績が得られていたため、細胞性免疫の検出のための試験法についての検討を行った。末梢白血球をPhytohemagglutinin刺激でblastさせた後、牛疫ウイルスを接種して自己標的細胞としたが、成績にばらつきがあるため、皮膚組織を用いる方法および、ウイルス接種のかわりに牛疫ウイルスH遺伝子を組み込んだアデノウイルス・ベクターの使用を試みている。 一方、細胞傷害性T細胞の標的として、NP蛋白の関与も考えられることから、NP遺伝子を組み込んだワクチニアウイルスの作成を行い、NP蛋白の発現を確認した。 3。分子疫学的研究 牛疫ウイルスH蛋白に対するモノクローナル抗体を多数作出した。そのうち、PPRウイルスと交差しない抗体を用いて競合ELISAを確立し、アフリカの牛血清で応用を試み、実用性を確かめた。また、NP-DNAをプローブとしたドット・ブロットでも両ウイルスの鑑別が可能であることを明らかにした。 一方、ケニアの野生反芻動物で発生している牛疫感染例から、ウイルスの分離を行い、流行の実体についての検討を行っている。 4。牛疫ウイルスの遺伝子解析 これまでに、我が国で開発された弱毒性ワクチンL株についてH,NP,F,M遺伝子の遺伝子構造を明らかにしてきた。さらに現行ワクチン株であるRBOK株の全塩基配列を決定し、両ワクチンの遺伝子構造の比較を行い、両者の相違点を明らかにした。また、各ウイルス蛋白遺伝子の機能についての解析も行った。 一方、M遺伝子解析の結果、米国での遺伝子解析報告が牛疫ウイルスに近縁の未知のモ-ビリウイルスの存在を示していることを明らかにした。
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