研究分担者 |
NAーNAKON Mal カセサート大学, 農学部, 助教授
WARGWATTANA チャラムチャイ カセサート大学, 農学部, 特別講師
SURAWATTANAN スイーソム カセサート大学, 農学部, 講師
CRINAWARG Sa カセサート大学, 農学部, 助教授
SUWANKETRIKA ランシット カセサート大学, 農学部, 教授
SUWANAMEK Um カセサート大学, 農学部, 準教授
李 度鎮 農業研究センター, 耕地利用部, 主任研究官 (50272159)
沈 利星 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30272157)
松本 宏 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (10199888)
小林 勝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40087606)
WONGWATTANA Chalermchai Faculty of Agriculute, Kasesart University, Special lecturer
SURAWATTANANON Srisorn Faculty of Agriculute, Kasesart University, Lecturer
CHINAWONG Sombat Faculty of Agriculute, Kasesart University, Assistant Prof.
SUWANKETNKOM Rungsit Faculty of Agriculute, Kasesart University, Professor
SHM Ie-sung Institute of Applied Biochemistry, University of Tsukuba, Associate Prof.
LEE Do-jin Research Center, Paddy Weed Lab., National Agric., Seniorresearcher
WANGWATTANA チャラムチャイ カセサート大学, 農学部, 特別講師
SURAWATTAHAN スィーソム カセサート大学, 農学部, 講師
CHINAWANG So カセサート大学, 農学部, 助教授
MALEE NaーNak カセサート大学, 理学部・植物学科, 助教授
CHALERMCHAI ウオンワッタナ カセサート大学, 理学部・植物学科, 特別講師
SRISOM Suraw カセサート大学, 理学部・植物学科, 講師
SOMBAT China カセサート大学, 農学部・農学科, 助教授
RUNGSIT Suwa カセサート大学, 農学部・農学科, 教授
UMPORN Suwun カセサート大学, 農学部・農学科, 準教授
臼井 健二 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (80087585)
SRISOM Suwan カセサート大学, 理学部・植物学科, 講師
SURANANT Sub カセサート大学, 農学部・農学科, 教授
久島 繁 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (00015801)
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研究概要 |
本研究はタイ国東北部の熱帯モンスーン地域に拡がっている塩類集積土壌において、環境適応力を持つ植物を利用して土壌の塩類化を阻止させるとともに既に破壊された地域にての植生を取り戻した上で有用植生への改変することを目指している。砂漠化または塩類化地域における植生改変を目的とした研究には木本性植物を直ちに移植しようとした例が多いが、灌漑施設の設置や維持に膨大な経費が必要になり、一部の地域を除いては根本的な改善方法にはなれない。そこで、自然現象として起こる植物の遷移に注目してまず不良環境においても育つ雑草を先駆植物として入れて緑化し、周辺の微細環境の改良した後に木本性の有用植物を移植する戦略のもとで、塩類集積土壌地域で利用の可能性のある雑草の探索と組織培養手法を用いた耐塩性植物の作出を目的とした。また、集めた遺伝資源を中心に遺伝工学手法を使った人為的な改良のための基礎研究としてその生理生態的特性と耐塩性機構を調べることにした。 1.耐塩性雑草の探索 タイ国東北部の塩類集積土壌環境で生き残っている雑草を収集して学名を分類し、土壌の性質と関連したそれらの形質を分析した。調査地域は7地域(Nakhonrachasima,Mahasarakam,Khon Kaen,Skonnakhon,Udonthani,Surin,Srisaket)の17箇所を選定した。これらの地域から収集された雑草は33科132種にのぼり、その中で27科79種はEC値が2mS/cm以上の塩類集積土壌でも生育していた。3種(Synostemon bacciformis G.L.Webst.,Chloris barbata Sw.,Dactylocterium aegyptium(L)P.B.)は9箇所以上で広く分布しており広い環境適応性のある雑草と見なされた。塩類集積値のPortulaca pilosa Linn.とS.bacciformisは普通のものに比べて葉が肥厚化されていることとSpor obol us sp.の葉から塩を溢出が観察されてこれらの植物は塩類集積土壌での適応機構を備えていると思われ、その生理生化学的機構の解明の材料として有効であると考えられた。Diplachene sp.は成熟期まで良好な生育を示し高塩類集積地を被覆しており、有望緑化植物の候補として挙げられる。 2.耐塩性植物の選抜と作出 塩類集積地から集めた耐塩性雑草の中でバイオマスの多い多年生植物を選び、組織培養で増殖する技術を確立するとともに、高塩濃度培地からカルスを選抜し耐塩性を持つ植物体への再生を試みた。Vetivar(Vetivera zizanioides Nash)から誘導したカルスの中では1.5%の高塩濃度においても生存しているものがあり、それの再分化植物の作出に成功した。土壌での耐塩性を確認し、その塩類土壌での利用可能性を示した。また、Surin地域から収集したvetivarの系統は他の地域のものに比べて非常に耐塩性を備えているものが見つかり、それらは耐塩性機構の究明の材料としようとして有望である。緑肥資源であるIndigoferahirsutalinn.の耐塩性系統の作出も試みた。 3.耐塩性植物の生理生態と耐塩性機構の解析 耐塩性機構と塩害機構の生化学な解明は耐塩性の低い植物の生長制御や高い耐塩性を持つ新しい植物の創出のための基礎的な研究で、塩類土壌地から導入した植物を中心に解析を進めてた。4種類の豆科力物における高塩条件下での根瘤の形成を調べたところSesbania rostrataとLeucaena leucocephalaにおいて生育と根瘤の形成が良好であることがわかりその機構の解明に取り組んだ。日本の海岸の塩害から集めた耐塩性のチガヤ系統を用いた研究からはそれらが下位葉に多量のNa^+を溜めて展開中の新葉に移動させないことが見つかった。イネでは日本型とインド型の間に耐塩性の違いがみられ、塩ストレスによる葉緑体の破壊と活性酵素の関与の観点から追跡ところ、特に活性酵素消去系中のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の誘導の違いが解明され、その機構の解明が期待される。また、ツノアイマシとMexican sunflowerの他感作用を見い出した。 4.植生改変の可能性と土壌環境の変化 カセサート大学の構内の塩類集積圃場において様々な植物を植え、耐塩性雑草による緑化と木本性植物の移植の可能性を打診するとともにと土壌など微細環境の変化をシミュレーションに必要なデータを集めた。
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