研究課題/領域番号 |
06045007
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 幸三 群馬大学, 工学部, 教授 (60008456)
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研究分担者 |
MENZIES Alan 東北ウェールズ高等教育インスティチュート, 助手
WILLIAMS Pet 東北ウェールズ高等教育インスティチュート, 助教授
PHILLIPS Gly 東北ウェールズ高等教育インスティチュート, 教授
米山 賢 群馬大学, 工学部, 助手 (40230841)
瀧上 昭治 群馬大学, 工学部, 助手 (70143203)
久保田 仁 群馬大学, 工学部, 助教授 (20089816)
荒井 健一郎 群馬大学, 工学部, 助教授 (50008455)
甲本 忠史 群馬大学, 工学部, 教授 (00016643)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ヘパリン / 電子線照射 / APTT活性 / アンチトロンビンIII / 脱硫酸 / ハイラン / アラビアゴム / DSC / 抗血液凝固活性 / 結合領域 / 化学修飾ヘパリン / ヒアルロン酸 / アラビアガム / 収着水 / 凍結束縛水 |
研究概要 |
ヘパリンは決まった組成を持つ化学種ではなく分子量や硫酸基含量の異なる不均一な混合物であ究から低分子量ヘパリンが種々のすぐれた生化学的特性を示すことが明らかになり、分子量や分子量る。ヘパリンは抗血液凝固活性剤として広く臨床で用いられている。ヘパリン活性は分子量や硫酸基含量と関係しているが、複雑な構造と物性との関係は未だ充分明らかにされていない。近年臨床的研分布の特性化が特に重要な研究課題となっている。 本研究では、(1)電子線照射量と照射ヘパリンの分子量及び多分散性、(2)in vivoに近いAPTT活性及び人血漿中のアンチトロンビンIIIとの反応から求めたAT-III活性と照射線量との関係、及び(3)ヘパリン中のフリーなアミノ基及び糖残基のC_6位に存在する水酸基の量と照射線量との関係について検討し、電子線照射によるヘパリンの構造変化と活性との関係について究明した。 試料はナトリウムヘパリン613(藤川株式会社)を用いた。電子線照射はカスケード型電子加速器(原研高崎)を用い照射速度10kGy/pass、全照射線量50〜2500kGyで固体状態で行った。ヘパリンの分子量(Mn=8000)は照射線量の増加と共に、最初急激に低下して500kGyでは4500となり、以後徐々に減少し、2500kGyでは3220となった。多分散性の指標、Mw/Mn値は照射線量に対して未照射ヘパリンの値1.52からほぼ直線的に減少し、2500kGyで1.22を与えた。フリーなアミノ基及び水酸基の数は500kGyまでは、ほとんど変化しなかった。その後、線量の増加に伴い徐々に増加した。このことから、電子線照射によりヘパリンの低分子化が進むとともに、ヘパリン糖鎖の脱硫酸が起こることが示唆された。APTT活性は、50〜150kGyの僅かな照射で、未照射ヘパリンの活性(166u/mg)より、最高で約30%増加した。これに対して、AT-III活性はほぼ同じ活性を示した。線量の増加に伴ってAPTT活性は急激に減少し、2500kGyではほとんど失活したが、AT-III活性は未照射ヘパリンの70%に相当する活性を保持していることがわかった。これらのことから、(1)低線量照射ではヘパリン主鎖の切断が優先して起こり、引き続いて高線量では、脱硫酸が起こること、(2)抗血液凝固活性には分子量効果があり、50〜150kGyの僅かな照射で活性が30%上昇すること、及び(3)高照射線量での活性の減少は、脱硫酸化に起因することがわかった。 ヒアルロン酸(HA)は哺乳動物の結合組織などに存在する、等モルのN-アセチル-D-グルコサミンとD-グルクロン酸よりなる直鎖状の保水性に富んだ高分子量の多糖類で、人口硝子体など医用材料や化粧品の保湿剤として用いられている。また、アラビアゴムはアカシアセネガル(A.senegal)の樹脂から抽出された、ガラクトピラノースよりなる複雑な構造をした架橋性電解質多糖類で、食品の乳化剤などとして広く利用されている。 本研究では、ヒアルロン酸をホルムアルデヒドで架橋した水溶性のハイランと、ジビニルスルホンで架橋したハイランゲルの水和特性を示差走査熱量計(DSC)により調べた。また、アラビアゴムの収着水と比較検討し、架橋多糖類中の収着水の状態を究明した。 DSCによる水の相転移測定より、ハイラン-水及びアラビアゴム-水系には、不凍水、凍結束縛水、及び自由水の存在が確かめられた。系中の凍結束縛水の一部は、凍結融解の過程を繰り返すと自由水に転移した。しかし、試料を室温で半日放置するとこれら水は可逆的に束縛水に復帰した。これは、架橋多糖類中にはポリマーとの相互作用の程度が異なる2種類の凍結束縛水が存在することを示唆する。自由水に可逆的に変化する束縛水は、架橋ポリマーの網目構造中に存在し、ポリマーに弱く束縛された水と推定される。一方、自由水に変化しない束縛水は、多糖の親水性基と強く相互作用している水と考えられる。 アラビアゴムはハイランに比べ、凍結束縛水、特に、ポリマーと強く相互作用した束縛水の保持量が少なかった。これはハイランが架橋剤により、強固な分子間架橋を形成し、水を網目構造中にしかりと保持しているのに比べ、アラビアゴムでは分子鎖の絡まり合いが少なく、緩い網目構造を形成しているためと考えられる。しかし、架橋剤を変化し調製した水溶性ハイランとハイランゲルでは、不凍水や束縛水量に相違が認められなかった。
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