研究課題/領域番号 |
06045011
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
伊豫谷 登士翁 (1994, 1996) 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70126267)
鈴木 茂 (1995) 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10162950)
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研究分担者 |
サカイ ナオキ コーネル大学, アジア研究, 助教授
ドベリー ブレット コーネル大学, アジア研究, 教授
コシュマン ヴィクター コーネル大学, アジア研究, 教授
八木 久美子 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90251561)
丹羽 泉 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80242220)
藤井 毅 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20199285)
鈴木 茂 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10162950)
中野 敏男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10198161)
DEBARY Brett Cornell University
KOSCHMANN Victor Cornell University
ドベリー ブレッド コーネル大学, アジア研究, 教授
山之内 靖 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (60014429)
ブレット バリー コーネル大学, 教授
ヴィクター コシュマン コーネル大学, 教授
小松 久男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30138622)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 日本研究 / 国民国家 / エスニシティ / ナショナリティ / 多文化主義 / レイシズム / オリエンタリズム / 移民 / 民族 / NIES |
研究概要 |
本プロジェクトは、アメリカにおける日本研究と日本における日本研究との交流を通じて、(1)相互の日本研究の比較、(2)アメリカにおける日本像の変化、(3)冷戦体制崩壊後のアメリカにおける日本認識の変容、を探ることを目的として発足した。コ-ネル大学東アジア学部は、アメリカにおける日本研究をリ-ドしてきた研究組織であり、これまで地域研究としての日本研究の方法に関して鋭い問題提起をおこなってきた。「アメリカにおける日本研究の新動向」や「日本の社会科学の状況」などをテーマとして、両大学は、これまで、毎年、各々の大学においてワークショップを開催してきた。これらのワークショップには、両大学のプロジェクト主要メンバーだけでなく、海外並びに国内の他大学を含めた種々の研究機関から多くの研究者が参加した。本年度は、1996年7月に開催した本学でのワークショップには、コ-ネル大学からサカイ氏が参加し、「翻訳について」というテーマで報告を行い、さらに氏の近著『死産される日本語・日本人』をめぐる合評会を開いた。このワークショップには、台湾から陳光興氏も参加した。10月に丹羽および伊豫谷がコ-ネル大学で開催されたワークショップに参加し、伊豫谷は「日本社会と移民」、丹羽は「在日朝鮮人のアイデンティティをめぐって」というテーマで報告した。 さらに、今年度は、このプロジェクトの最終年度であり、これまでの交流の成果について話合い、双方において次のような理解に達した。第一は、これら相互の研究交流を通じて両大学の研究者の問題意識の理解が深まり、地域研究の相互交流にとって不可欠な各々の国における研究のバックグラウンドを知ることができた。すなわち、両大学のメンバーは、地域研究として日本研究が行われる場合の、日本像がいかに創り出されるのか、その総合的な把握を持つことが可能となった、と考えられる。とくに、ここ数年のアメリカにおける「ジャパン・バッシング」の高揚が同国の新しいレイシズムの登場と不可分であることなどは、きわめて興味あるイシュであった。第二は、ここでの人的交流は、研究者レベルだけでなく、大学院生の相互交流を深めることにも大きく寄与したことである。両大学の間で、大学院学生の相互の留学が行われ、かれらがパイプ役となって、両大学で行ったワークショップがきわめて活発な議論が可能になった。彼らが日本研究の担い手となるにしたがい、日本研究は、今後、日本の特権ではなくなるであろうと思われる。第三には、これら両大学の研究交流の成果が、『ナショナリティの脱構築』(柏書房)として公刊され、さらに同書の英文版がコ-ネル大学出版会から出版されることになり、今年度に、その翻訳は完了した。同書は、すでにコ-ネル大学の大学院においてテキストとして取り上げられ、また本学でも大学院の学生を中心とする研究会において合評会を開いた。第四には、各年度に開催したワークショップには、海外からは、Charles Taylor ならびに D.Gaonkar,Benjamin Lee,Pinghui Liao、陳光興氏が参加した。さらに、昨年度には、伊豫谷がコ-ネル大学において在外研究(留学)を行い、他方V.コッシュマン教授が本学において1年間の研究を行った。これらを通じて、両大学を核とした国際的な研究交流は一層拡大となった。 伊豫谷が在外研究期間にオーストラリア国立大学との間においても研究交流を始め、従来の東京外国語大学、コ-ネル大学に加えて、オーストラリア国立大学との間にも交流を広げ、3大学を中心とする研究プロジェクトに発展させることができた。また、国内においては、ワークショップに多くの研究者の参加を得ることができ、プロジェクトは両大学の交流を越えた大きな成果を挙げた。来年度以降、このプロジェクトは、これらの成果を引き継いで、日本研究を基盤としつつ、カルチュラル・スタディズをはじめとする新しい研究の流れを踏まえて、「多文化主義の国際比較」という共通テーマのもとに、国際学術交流を行うことになった。本年度の最大の成果は、このような強固な研究体制を作り上げ得たことにあるであろう。
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